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窓越しの空  作者:
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疑問

 家に帰り少しの時間リビングのソファに座りでくつろいでいた。


 それにしても疲れた……。


 雨に予定を狂わされた……。


 体も心も忙しかったな……。



 薄暗い静かなリビングでさっきまでの自分を振り返り何もせずぼーーっとする事でやる気の回復を待った。

 相変わらず空は雲に覆われていて薄暗いけれど、今の私にはお日様のサンサンとする光を浴びで明るく温かいリビングより今の感じの方が断然良かった。


 何もせずただぼーーっとする時間が少しずついろんな気持ちを思い出した自分を現実へ引き戻しつつある。


 小雨になった雨の音はほとんど聞こえない。

 目を凝らして見ると雨が降っているのがわかる程度。

 わがままだけど、雨の音がもう少し大きい方がありがたかった。

 雨の音で今の自分に引っかかった気持ちを流してもらえそうに思った。

 

 でも、思う様にいかないのが現実だった。




 さぁ……、夜ごはん作んなきゃ……。




 私はようやく重い腰を上げキッチンに立ち料理を始めた。

 凝った料理はしないけれど、料理を作る事は好きだ。

 その時だけは無心になれる。

 今日も有り合わせで作るメニューを考える。


 そんなに時間をかけずに作る料理。


 結婚した当初は毎日あれこれ今よりも考えて作っていたんだろう。

 もうそんな事すらあまり覚えていない。




 そういえば、ハンバーグ、作ってないな……。




 私はずいぶんハンバーグを作ってない事を思い出した。

 夫はハンバーグが好きでいつもおいしそうに食べていた。

 夫が好きなハンバーグを最近作っていない。



 夫がおいしそうに食べる姿を私は見たいと思っていなかった。

 作ってよかったと思える自分がどこかに行ってしまっていた。

 使ってあげようとする気持ちが薄れていた。

 私の夫への愛情というものが薄れていたに等しい。

 まだ40過ぎ、老夫婦の様な生活には早すぎる。




 私自身も変えなきゃ……。




 明日は出張の予定ではないはずだし、今日みたいに急に予定が変更になる事もきっとないだろう……。

 明日は久しぶりにハンバーグにしようと思った。



 夜ごはんの支度が終わりしばらくすると、夫が珍しく早く帰ってきた。




「あ、おかえり。 早いね」




 リビングに入ってきた夫にそう言った。





「ただいま。 今日、ありがとう」





「珍しいね、忘れ物。 でも今日出張じゃなかったの?」





「あ、急遽取りやめて昼からの会議に出る事になったから。 書類も会社の机の引き出しに入れようと思ってたのにずっと入れるの忘れててさ。 今日は助かったよ」





「そうなんだ。 あ、亮輔って部長になったの? 課長だと思ってた」





「え……、なんで?」





「今日、芹沢さん?総務の。 芹沢さんと電話で話した時もそう呼んでたし、受付の人もそう言ってたよ」





「……あ、そうそう……、役職が変わったんだ。 やってる事はそんなに変わってないけど……」





「いつ変わったの?」





「もう、1年くらいになるかな……」





「え! そんなになるの!?」





「あ、別に報告する事でもないかな……と思ってたから……」



 それって言わないものかな……。

 言わなかった事より、1年も前から変わっていた事の方にびっくりした。



 私に背を向け着替える夫はどんな顔をしているんだろう。

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