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窓越しの空  作者:
7/100

最初の一歩

 スカイさんからのメールを見ていたら、急に着信があった。


 派遣会社の木村さんからだった。

 間違いなく今日の面接の結果だ。

 明日以降かな……と思っていたのにもう結果が出たのか……。


 私は恐る恐る電話に出た。



「……はい、安堂です……」



「あ、木村です。 今日はお疲れさまでした! 企業さんから連絡がありまして、ぜひ来てほしいと……!」




 え!?




「え!? ほんとですか? ありがとうございます!」




「よかったですね! 少しずつやっていきましょう!」



 来週から始まる私の社会復帰……。

 まずは2ヶ月。

 また緊張するなぁ……。


 初日は木村さんも派遣先へ挨拶も兼ねて一緒に出社してくれるそうだ。


 新しく始まる日常。

 どうなるんだろう……。


 まぁ、やってみないとね……。



 木村さんからの電話を切ったスマホの画面には、スカイさんからのメールがまた表示された。



 ほんとに最近バタバタしてて忘れてたなぁ。


 私はスカイさんに返事を返した。



 『スカイさん、こんばんは。 最近忙しくて空の写真を撮れずにいました。 私は専業主婦なんです。 最近社会復帰しようと動いていました。』



 そう送るとすぐに返事が返ってきた。



 『そうだったんですね。 yuuさんに何かあったのかと思って心配していました。 僕はyuuさんの投稿を楽しみにしています。 yuuさんの写真や言葉はなんか優しく感じます。』



 そんな事を言われると思ってなかった。

 特に深い意味も持ち合わせてはいない写真と言葉を投稿していただけの私は少し申し訳なく思った。




 『そんな深い意味もなく投稿していたんです。 今まで専業主婦だったので何かを変えたくて始めた投稿でした。』




 私は正直にスカイさんに話をした。



 SNSという顔が見えない世界で、想像を掻き立てる様な事になってしまうのは良くない。


 現実はただの自分を変えるためのきっかけの一つだった。



 もちろん、空は好きだが本当に好きな人はもっといる。

 私は深い知識もないただ好きなだけの人。



 少しでもスカイさんの私はのイメージを違うものにしたかった。


 しばらくすると、また返事が返ってきた。




 『専業主婦から何を変えようとしたのですか?』



 私は思った事をそのまま返信した。




 『このまま専業主婦でいいのか、と思い始めたのです。 仕事を始める事にしました。 自分の人生も残り半分程でしょう。 今まで置かれていた場所で留まりたくなくなったんです。』




 『僕も何の変わり映えのしない毎日を送っています。 yuuさんは変わろうとしたんですね。 凄いじゃないですか! その行動が大事だと思います! それで、何か変わるきっかけを掴めましたか?』




 『スカイさんは毎日楽しくないんですか? ご家族がいたりお子さんがいたりすると違うでしょうね。 私は子供がいないんです。 時間、持て余すでしょ? だから仕事を始めようと思って……。 それで、今日仕事が決まりました。』




 『そうなんですか? よかったですね! どんな仕事を始めるんですか? 僕には家族はいません。 独身です」




 あ、独身なんだ……。

 何となく私より若そうな感じがする。


 スカイさんは文面では穏やかな人の感じがして、何を話すにしても抵抗がない自分がいた。


 そしてよく考えると私は夫より先にスカイさんに採用になった事を話していた。


 想像を掻き立てる様な事がない様にと思っていたけれど、私も案外、スカイさんという人を想像していたりする。


 SNSとはそういうものなのか……。

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