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窓越しの空  作者:
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穏やかな毎日

 仕事を辞め、私はゆっくりとした時間を過ごしていた。

 次の派遣先が決まるまでのしばらくの間、またのんびりとした時間を過ごす。


 夫がいれば朝ごはんを作り夫を見送る。

 いなければ、深夜までテレビを観たり、朝、少し遅く起きてみたり……。


 相変わらず出張ばかりの夫との仕事を始める前の生活スタイルにすっかり戻ってしまっていた。


 元に戻るのも早い。


 それ程、習慣付いていたのだろう。



 夫は結婚当初からずっとこんな感じで、仕事が中心の生活の人。

 それはずっと変わっていない。


 子供もいないし、休日といっても子供のためにどこかへ出かける計画を立てたり……という事もない。


 私自身も各地を飛び回って疲れている夫にうちに帰り束の間の休息中に無理にどこかへ行こうと提案する事も自然となくなり、今のスタイルが当たり前となっていた。


 それが嫌な訳でもなく、それか夫との時間の過ごし方だった。




 次の派遣先はどんなところになるのかな……。

 今度声をかけてもらえる企業もいいところだといいな……。



 私は少しの不安を抱きつつもまた仕事をする事に楽しみを感じていた。


 あれから向井さんとは連絡を取っていない。

 あの、報告事項のやり取りはもう終わってしまった。

 私もあれ以来、何かが起きる訳でもなくいつもの日常を過ごしていた。



 あの出来事はなんだったのだろう……。



 そう思うけれど、私に対して何らかの気持ちをぶつけたかったのには違いない事しかわからない。


 あの電話の女の人とクローゼットにしまわれた送られて来た写真……。


 忘れるはずもないが、知る手立ては何もなかった。

 ただ、向井さんが言った、『気になる事』


 あれはどういう意味だったのだろう……。

 そして、向井さんの中で解決できたのだろうか……。


 向井さんに矛先が向かなければ、私も以前の様に普通に暮らせている事だし、このままそっと暮らさせてもらえればいいかな……。



 私が会社を去る事があの電話の女の人の願いだったはず……。



 これで、終わり……。

 もうあんまり考えるのはよそう……。



 いろんな頭の中をよぎる事を抑えようとしていた。


 私と出会った事により、向井さんが何かに警戒した日々を過ごす事になるなんて。



 なぜ出会ってしまったんだろう……。

 SNSで終わりになっておけばよかったのに……。



 そんな事を思いながらも私は向井さんも普段通りに過ごせている事を願った。




 仕事の契約を終えもうすぐ1ヶ月が過ぎようとしていた頃、派遣会社から久しぶりに連絡が入った。




「安堂さん、お元気ですか? 何されてます?」




 営業の木村さんからだった。




「何もせず家でのんびりしてますよ。 変わらずお元気そうで……」




「いや! そうでもないんですよーー。 先週、熱が出て休ませてもらったところです。 もう、フラフラで……。 前の日に友達と飲みに行ったんですがそのお店の空調が強くて……。 たぶんそれでしょうね……」



 木村さんにもそういう事があって当たり前か……。

 熱に負ける事だってある……。


 けど、なかなかそんな事もないんだろうな……と、いつも元気な木村さんからは想像できない事で想像するとおかしくて少し笑ってしまった。




「それでですね……」




 木村さんは話を続けた。

 私にどうかという業務内容の企業からの募集があり、現在その企業で進められているプロジェクトが終わるまでの約2年間、やってみないか?という事だった。、


 以前とは全く違った職種で、気持ちを新たに始める事もできそうだったのですぐに返事をした。


 すんなり話が進み、木村さんの話すテンポも軽快だった。


 企業への面接の日程を後日連絡してくれるとの事で、切り際に、



「安堂さん! また頑張りましょうね!!」



 と、言ってくれたいつもの木村さんの元気そのものの言葉にまた楽しんで仕事を始めようと思えた。


 気持ちをやる気にさせてくれる木村さんは凄い……。


 その時の私はいたい



 ある朝、自宅の電話が鳴った。

 今は何かあっても個々に携帯へ連絡が来る事が多く、自宅の電話が鳴るのは珍しい。

 もう使う事もないしどうしようかな……と思っていたところだった。


 私は珍しく鳴った電話を取った。

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