突然現れた
どういう事か……。
目の前にいるこの人が、向井さんがスカイさん……?
あの、連絡を取っていた、私が好きになった、突然いなくなった……スカイさん……?
私が好きになったスカイさんは文字でしか知らなくて、人として目の前に現れたその人を、スカイさんと認識するには難し過ぎた。
私は、向井さんの言葉を飲み込むことすらできずにいた。
「安堂さん……、もう忘れちゃいましたか……?」
私をまっすぐ見つめるその目はいつも以上に優しく感じた。
私は本当に向井さんとやり取りをしていたのか……。
頭の中でスカイさんと向井さんが繋がらない……。
本当であれば出会えた事を嬉しく思うはずなのに、信じられない気持ちやびっくりする気持ちの方が強かった。
スカイさんを忘れようとここまで復活できた心も、せっかくここまで忘れられたのになぜ今……という気持ちになる事もできなかった。
複雑過ぎる気持ちになった。
私は何が言わなきゃいけない焦りを感じ、やっとの思いで言葉を発した。
「あの……、まだ理解できなくて……。 確かにスカイさんという人は知っていますけど……、ほんとに向井さんがスカイさんなんですか……?」
「そうです。 信じられませんか?」
「もう繋がりがなくなってしまって、もう繋がる事もないだろうと思っていました……。 なぜ、私だと気付いたんですか?」
スカイさんも私の顔を知らない。
なのになぜ、私だとわかったのだろう……。
私の疑問に納得する答えを出してくれるのか?
心のどこかで騙されたくないと思い、向井さんのこれから言う言葉に構えて挑んだ。
「安堂さんのスマホの中の空のフォルダです」
そのフォルダの中には今まで撮ったものが残ってあって、SNSにアップしたものは全て削除したので見直す事はできないが、そのフォルダなら見る事はできる。
これまでの写真を向井さんに見せた時、ある写真に目が止まり、向井さんも最初は半信半疑だったが私の下の名前を知り、確信したと言っていた。
「その写真はどんな写真だったんですか……?」
「デパートの屋上からバルーンが上がっている写真です」
確かにその写真はSNSにアップした……。
「俺、その写真を見て、yuuさんが近くに住んでるって気付いたんです。 俺、隣町に住んでます、ってメールしたんですけど、メールしたのを覚えてませんか?」
あのドキドキした瞬間を私はまだ覚えていた。
あのメールが私の恋を加速させた。
スカイさんの文字から伝わる穏やかさに癒されたのだ。
いつしかメールが楽しみになり、まだ何も知らないあなたに恋をした。
会う約束までしたけれど、あなたはその前に私の前から姿を消した……。
どれ程恋しくて、悲しくて、あなたに会いたいと思う日々を過ごしたか……。
私は向井さんがスカイさんだとわかった。
まさか、叶わないものと思っていたスカイさんと繋がる事がもうできていたとは思ってもみなかった。
もし、私があの日、自分のスマホの写真フォルダを見せなければ、向井さんも私に気付く事なく過ごしていたんだろう……。
私という人に会って、スカイさんとしてどう思ったのだろうか……。
会ってしまってよかったのだろうか……。
後悔はしていないだろうか……?
私の前に急に現れたスカイさんにいろんな事を聞いてみる事にした。




