冷たい視線
スーパーを出て、駐車場の自分の車まで歩く。
今日はお買い得な海老をゲットできて満足し、車までの足取りも軽やかだった。
早く帰ってごはん作ろう……。
そう思い、足早に車まで歩いていた。
「安堂さん!」
後ろから声をかけられ、振り向くと意外にももう帰ってしまったと思っていた向井さんだった。
少し後ろにはさっき一緒にいた女の人もいた。
一瞬、どう話していいものかと考えたけれど普段通りに話す事にした。
「あ、こんにちは。 お買い物ですか……?」
そう言って一緒にいた女の人にも軽く会釈をした。
その女の人からは、私を見て、誰?という事を口にしなくともそれがわかる程、冷たい視線を感じ取ってしまった。
「そうなんです。 僕はここが近くて……。 安堂さんはここのスーパーでは初めてお見かけした様な……」
「いつもは別のところが多いんですが、今日は気分転換にと思ってやってきました……。 人が多くてびっくりしました……」
「今日はチラシが入ってたんですかね……? 多かったですね!」
向井さんはその一緒にいる女の人に構う事なく私と話している事に私は気になって仕方がなかった。
話している間、向井さんの後ろでつまらそうにしているのがわかるのだ……。
早くこの場を終わらさなければ……。
それしか頭になかった。
「……では、私はこれで……。 また会社で……」
「また、空の写真、待ってますね!!」
そんな話をしてわかれたが、そんな中も一緒にいた女の人は何を言う訳でもなく私をじっと見つめていた。
やっぱり彼女なのかな……。
彼の向井さんとの馴れ馴れしくされるのが嫌だったのかな……。
それなら、空の写真って何……?って感じだろうな……。
私は急いでその場を去った。
家に帰り、夜ごはんの準備にかかった。
ごはんを作りながらもさっき会った二人の事を考えていた。
会社で今日の事を聞いていいものなのか、どうなのか?
向井さんも一緒にいた女の人の事を私に紹介する訳でもなく、いつもの感じで私と立ち話してたけど、彼女だったら紹介しないかな……?
私だったら、するかな……。
じゃあ、彼女じゃないのかな……?
きょうだい?
いや……、きょうだいはいないって言ってたと思う……。
友達??
友達だったら紹介しないものなのかな……。
そんな気もする……。
答えの出てこない事に意味もなく色々考えた。
でも、一緒にいた女の人の冷たい感じは凄く印象に残ってしまった。
何か悪い印象を与えてしまったのかな……。
同僚なだけだけど、向井さんと話して欲しくなかったのかな……。
何だか向井さんの印象と真逆でその二人が一緒にいた事に勝手な違和感を感じてしまった。
私は料理をする事に集中して、自分の気付かない間にさっきの事は忘れてしまっていた。
洗い物を片付けていると玄関ドアが開いた。
「ただいま」
夫が帰ってきた。
「また、キャリーバッグ、玄関に置いてきてるーー! こっちまで持って来てよーー」
「疲れた! ユウがやって……」
もう……。
この前はちゃんとしてくれてありがたかったのに……。
するならずっと続けて欲しいのに……。
私はいつもの如く、玄関へキャリーバッグを取りに行った。




