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窓越しの空  作者:
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 落胆しかない。


 どうしたんだろう……。

 都合が悪くなったのかなぁ……?


 何度もメールを確認したが、スカイさんからのメールは来ていなかった。


 2時間待ったけれどスカイさんは現れず、私は仕方なく帰る事にした。


 周りには楽しそうにしている人ばかり。

 おいしそうなアイスを食べる親子や、腕を組んで話をしながらすれ違うカップルを見て羨ましく思った。

 私はその人とは違って、悲しさ一色だった。

 とぼとぼと帰る私が道沿いのお店のショーウィンドウに反射して映る自分を見ると、いつもより着飾った自分がいた。


 そんな自分を見て、浮かれてた事に恥ずかしくなり人目を避ける様に小走りで帰った。



 調子が悪くてメールもできないくらいなのかな……。

 救急車で運ばれたりしてない!?

 大丈夫なのかな……。



 私は心配になり、安否の確認とまた連絡が欲しいという内容のメールを送った。



 スカイさんと会えると思っていたのに、今日は残念だった。

 そんな風に思っていたが、その気持ちは更に奈落の底へと引き摺り落とされる。



 スカイさんがまたSNSを辞めた。



 一体何のために戻ったんだろう……。

 私に会いたいからと言っていたのは嘘だったのか……。


 もう何も考えたくない……。

 この気持ちの浮き沈みをこんな短期間で経験するなんて想像もしていなかった。


 改めて気付いてしまった事は、やっぱりスカイさんを全く忘れていなかった事。

 あんなにまで会いたかった人にもう少しの距離まできていたのに、やっぱり会う事は実現しなかった。


 もうほんとに忘れよう……。

 私は既婚者だし、やっぱり夫以外の人を想うなんていけない事なんだよ。

 してはいけない、タブーな事。


 これはいい経験だった。

 そう思おう……。


 そう思っても気持ちの切り替えはそう簡単ではなかった。

 自分でもわかっていた事だったけれど、私にはその選択肢しか残っていなかった。



 仕事中も深いため息をついてしまう事があった。



「どうしたの!? 大きなため息! 何かあった?」



 米田さんが心配して聞いてくる。

 気を張ってそういうのを見せない様にしていたのだが、米田さんの感じが不思議とどうも私に気を抜かせるのだ……。


「あ、いえ…何でもなかったんですけど……、すみません!」



「そう? 何でもないならいいけど! さ! やってしまおう!」



 目の前の仕事を何とか終わらせて、小休憩に入った。


 私は少し外の空気を吸いたくて工場へと繋がる渡り廊下でボーーっとしていた。

 ちょうどいい風の温度。

 ふわっと気持ちいい風が吹いて、心を落ち着かせていた。


 目の前の事に集中しよう……。

 何かに必死になっていた方が楽だった。

 早くスカイさんを思い出しても悲しい気持ちにならない様になりたかった。


 あーー、そんな事もあったな……。

 もし、この先、会う事があったなら笑顔で会いたいな……。


 そうなるまでにはもう少しかかりそうだった。



 外を眺めている私に後ろから声がかかった。

 振り向くと、この前話しかけてきてくれた向井さんだった。



「お疲れ様です。 ここで小休憩ですか?」




「お疲れ様です。 風が気持ちよくてここで黄昏てました……。 向井さんはここによく来るんですか?」




「僕もたまにですけど、来ますよ」




「そうだったんですね……」



 私はそれ以上話す事が見つからず、この時間をどうくぐり抜けようかと考え出していた。

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