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窓越しの空  作者:
23/100

再び

 どれくらいぶりだろう……。

 名前を見るだけでドキドキする。

 同じ名前の人がたまたま送ってきたメールなだけかも知れないけれど、私はまたあの時の気持ちになっていた。



 何度も見てきた同じ名前。

 急にいなくなってしまったあの日から、探す術もなく、ただ時が過ぎ、忘れる他になかった。

 忘れようとしても心は嘘をつけず、目にする事もなく、形すら知らないあの人を想うどこにもぶつけようのない気持ちをただ一人抱えながら過ごしてきた。


 その人と同じ名前の人からのメールを開いてみる。




 『yuuさん、お久しぶりです。 お元気ですか? また登録し直しました。』




 スカイさんなのかな……。

 半信半疑ではあったが、嬉しさの方が勝っていた。




 『スカイさん? どうして帰ってきたの?』




 私はそれを聞かずにはいられなかった。

 スカイさんがSNSを去った理由は私にもあるのに、そのSNSに戻ってくるなんてあるだろうか……。




 『やっぱり、yuuさんに会いたくて。 帰ってきた。 空の写真、消しちゃったんだね。』




 そう……。

 あの写真たちは、あなたを思い出すから全部消してしまった。

 忘れようとしていたところだったのに、なぜまた現れたりするかな……。

 また気持ちが戻ってしまう。




 『また前みたいにメールできるの?』




 そう返信したが、その日はスカイさんから返事は来なかった。



 毎日、スカイさんからのメールを待った。

 でも、その期待を裏切る様にメールは来なかった。

 SNSに戻ってきてくれた事の喜びと、連絡が途絶えた今と、複雑な気持ちだった。

 仕事が忙しいのかな……、とか、以前よりはそこまでの気持ちがなくなっちゃったのかな……、とか、考えなくてもいい事も含めいろんな事を思っていた。



 一瞬で舞い上がった気持ちは今はどこかへ行ってしまった。

 毎日、浮かない日を過ごす事になった。



 一体何だったんだろう……。

 スカイさんは本当に私に会いたいと思って帰ってきたんだろうか……。


 私は、居た堪れなくなりスカイさんにメールをしてみた。




 『スカイさん、忙しいのかな……。 今までみたいに連絡取れるのかと思ってたけど……。 違うの?』




 私の本音をぶつけたメールだった。

 また返事は来ないんだろうな……と思っていたが、意外にもすぐ返ってきた。




 『あ、ごめん。 少し忙しかったんだ。』




 そっか……。

 忙しかったのか……。


 ……でも以前だったらそれでもこんなに返信が遅くなる事もなかったのにな……。

 比べてはいけないとは思っていながらも比べてしまう。

 ほんの数ヶ月前でもスカイさんの日常が変わる事だってある。

 またこうして連絡が取れる様になった事を喜ばなきゃ……。


 その後、スカイさんから続けて連絡が来た。




 『yuuさん、どこかで会わない? やっぱり無理かな?』




 あの時会っておけば変わる事もあったのかな……。


 そう後悔していた事もあって、今回そう言われた事には前程の抵抗はなかった。

 それより、会いたい気持ちの方が強かった。

 もう前みたいな後悔はしない。




 『会おう!』




 私はその一言だけ伝えた。


 スカイさんは初めて会うし、お昼にどこかでランチでもしようと提案してくれた。


 私の休みに合わせてくれて、待ち合わせの駅前で待った。

 夫も出張先への移動日で朝早くから出発した。

 私は夫が家を出た後、昨日夜に着ようと決めていた服をクローゼットから取り出し、メイクにいつもより時間をかけた。

 玄関先に置いてある鏡に自分を写しチェックした。



 これでよし!



 やっとスカイさんに会える……!

 どんな人なんだろう……。

 どんな声なんだろう……。


 想像もできない事を想像しながら待ち合わせの駅前に着いた。



「yuuさん!」



 そう声をかけられるのを待った。




 けれど、その日、スカイさんは現れなかった……。

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