表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
窓越しの空  作者:
19/100

無気力な毎日

 スカイさんがSNSを去って以来、私は何もかものやる気を失っていた。


 夫のいない日は何もせず、ただぼんやりと一日を過ごす事が多く、あれだけ毎日撮っていた空の写真も撮るのをやめた。


 あの空の写真も全部削除した。

 見ているとスカイさんを思い出して辛かったのだ……。


 そんなに遠くはない街でスカイさんは何をしているんだろう……。


 ぼんやりと空を見ながら、後悔ばかり頭に浮かぶ。



 あの時、どうして写真交換しなかったんだろう……。

 考える事なんてなかったのに……。

 写真くらいさっさと送っておけばよかったのに……。



 そんな事ばかり思いながら毎日を過ごしていた。



 夫が出張から帰ってくる時はいつもより気持ちをしっかり持って接していた。


 夫が珍しく洗濯物を自分で洗濯機まで持って行った事もこれ以上ないくらい褒めた。


 本当ならありがたい、と、やればできるじゃん、と、思うところだが、今の私にはそんな事はどうでもよかった。

 自分のやる気のないところを悟られない様に褒めいるだけで何とも思っていなかった。



 人というものは、こんなにも気持ちの浮き沈みのある生き物なんだとこの歳になるまで知らなかった。



 私は間違いなくスカイさんに恋をしていたんだろう……。



 どうしようもない恋をしてしまったんだという事に後になって気付くなんて……。


 私は今までこんなに恋焦がれるような恋をして来た事がなかった事に気付いた。



 何となくの恋愛だけだったんだ……。



 自分で言うのも何だけど、覇気がない。

 何をしても楽しくない。

 目が笑ってないのが自分でもわかる。


 どうにもならない事なのに、頭の中はスカイさんの事でいっぱいだった。


 これまでのスカイさんとのやり取りのメールを最初から読む事か毎日の日課。



 最初はぎこちない、どこか事務的というか、ガチガチの敬語なのに、そのうちその言葉が柔らかくなっていくのがわかった。



 この辺りから心を開き始めてるな……。



 そういうのが読んですぐわかるメールだった。


 読んでいくうちに、メールの頻度が高くなり、自分の心を表現する様になる。


 メールだけだから、どうとでも表現できる。

 優しく、綺麗なところしか見ていないと言っても間違いではない。

 その言葉たちは更に素敵なものへと変化するのも当たり前だ。


 それでもその言葉たちを望んだ私。

 その言葉たちに癒され、会いたいとまで思った。



 でも、そのメールも読んでいくうちに終わりを知っている私はどんどん読みたくなくなっていく。



 こんな自分を経験した事がない私は、ここからどう切り抜けていけばいいのかを模索していた。


 毎日こんなのも嫌でどうするものか……と思っていたそんな時、派遣会社から連絡があり、また短期だがやってみないか、という仕事の依頼がやってきた。



 仕事に打ち込むのもいいかも。

 暇だからスカイさんの事を考えてしまうんだ……。


 毎日毎日、ソファに座り読んでも何も変わらないメールのやり取りを手慣れた手つきてスクロールして行く。


 悲しくなるメールに近付くとその手は止まる。


 そしてまた後悔する……。



 スカイさんの事を忘れよう……。

 仕事を楽しみにしよう。

 何もしないでいる事よりもずっと早く忘れる事ができそうだと思った。



 私は迷わず、派遣先での面接を受ける事を伝えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ