無気力な毎日
スカイさんがSNSを去って以来、私は何もかものやる気を失っていた。
夫のいない日は何もせず、ただぼんやりと一日を過ごす事が多く、あれだけ毎日撮っていた空の写真も撮るのをやめた。
あの空の写真も全部削除した。
見ているとスカイさんを思い出して辛かったのだ……。
そんなに遠くはない街でスカイさんは何をしているんだろう……。
ぼんやりと空を見ながら、後悔ばかり頭に浮かぶ。
あの時、どうして写真交換しなかったんだろう……。
考える事なんてなかったのに……。
写真くらいさっさと送っておけばよかったのに……。
そんな事ばかり思いながら毎日を過ごしていた。
夫が出張から帰ってくる時はいつもより気持ちをしっかり持って接していた。
夫が珍しく洗濯物を自分で洗濯機まで持って行った事もこれ以上ないくらい褒めた。
本当ならありがたい、と、やればできるじゃん、と、思うところだが、今の私にはそんな事はどうでもよかった。
自分のやる気のないところを悟られない様に褒めいるだけで何とも思っていなかった。
人というものは、こんなにも気持ちの浮き沈みのある生き物なんだとこの歳になるまで知らなかった。
私は間違いなくスカイさんに恋をしていたんだろう……。
どうしようもない恋をしてしまったんだという事に後になって気付くなんて……。
私は今までこんなに恋焦がれるような恋をして来た事がなかった事に気付いた。
何となくの恋愛だけだったんだ……。
自分で言うのも何だけど、覇気がない。
何をしても楽しくない。
目が笑ってないのが自分でもわかる。
どうにもならない事なのに、頭の中はスカイさんの事でいっぱいだった。
これまでのスカイさんとのやり取りのメールを最初から読む事か毎日の日課。
最初はぎこちない、どこか事務的というか、ガチガチの敬語なのに、そのうちその言葉が柔らかくなっていくのがわかった。
この辺りから心を開き始めてるな……。
そういうのが読んですぐわかるメールだった。
読んでいくうちに、メールの頻度が高くなり、自分の心を表現する様になる。
メールだけだから、どうとでも表現できる。
優しく、綺麗なところしか見ていないと言っても間違いではない。
その言葉たちは更に素敵なものへと変化するのも当たり前だ。
それでもその言葉たちを望んだ私。
その言葉たちに癒され、会いたいとまで思った。
でも、そのメールも読んでいくうちに終わりを知っている私はどんどん読みたくなくなっていく。
こんな自分を経験した事がない私は、ここからどう切り抜けていけばいいのかを模索していた。
毎日こんなのも嫌でどうするものか……と思っていたそんな時、派遣会社から連絡があり、また短期だがやってみないか、という仕事の依頼がやってきた。
仕事に打ち込むのもいいかも。
暇だからスカイさんの事を考えてしまうんだ……。
毎日毎日、ソファに座り読んでも何も変わらないメールのやり取りを手慣れた手つきてスクロールして行く。
悲しくなるメールに近付くとその手は止まる。
そしてまた後悔する……。
スカイさんの事を忘れよう……。
仕事を楽しみにしよう。
何もしないでいる事よりもずっと早く忘れる事ができそうだと思った。
私は迷わず、派遣先での面接を受ける事を伝えた。




