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窓越しの空  作者:
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気持ちの上書き

 スカイさんとのやり取りが始まって半年が過ぎた。


 相変わらず、秘めたメールだけの関係は続いていた。


 夫には話さない日常であった事を寝るまで延々と話す事が当たり前の事になっていた。


 スマホを持てばSNSを開きメールをチェックする。

 メールが届いていた時のあの嬉しさといったらない。

 お互い、好意を持ってしまった。

 いけない事がではあるが、楽しくて幸せな時間だった。



 お願いだから、この時間を奪わないで欲しい……。



 そう願いながら、この先どうしよう……、と、考える事も多くなった。

 その気持ちが頭の中を支配する時もあったが、それをスカイさんに伝えた事はなかった。



 そうだね。 もう辞めようか……。



 迷いながらもそう言って欲しくなかったのだ。

 私は自分で自覚する程、どんどんズルい女になっていった……。



 私は短期の仕事を終え、それ以降まだ仕事が決まっていなかった。

 約2ヶ月派遣先を待っている状態だった。


 もうそろそろ派遣先を見つけたいな……、そう思って以前担当してもらった営業の木村さんに聞いてみるも、今は依頼自体が少なく案内できる求人がないとの事。


 ただ、時期的にもうしばらくすると出てくると思うので待っていてもらえたら……と話してくれた。



 仕方ないよね……。

 しばらくは待ってるしかないか……。



 13年ぶりの社会復帰はとてもいいものだった。


 自分の力でお金を稼ぐ事に専業主婦とは違った感覚があった。

 環境も変われば行動範囲も変わり、自分に携わる人も変わる。

 今まで知り得なかった事を知る事もできるし、これまでとは違う自分の時間の過ごし方になる。



 子供もいないし、出張ばかりの夫で独身みたいな気分だった。


 仕事をしていた方が刺激があって楽しく思えた。


 そんな毎日の方が充実していた。




 ある時、いつもの様にスカイさんとメールをしていた。




 『ねぇ、yuuさん。 もうそろそろ会わない?』




 そう言われた。


 会う事をリアルに考えてしまった時、実際の自分はどう思うのだろうと考えた。



 お互い、顔も知らない。

 もし、イメージと違った……とかになったらどうするの?

 お互い、きっといいところしか見えてない。

 なのに会って大丈夫なのか……。


 けど、だからこそ、イメージが違ったりするとそこで終わる事ができるからいいのかも知れない……。


 そうなると、今まで楽しかった時間を無くす事になるのは寂しいと思うんだろうな……。



 いろんな思いが自分の気持ちを上から上から書き換える。




 『私たち、顔も知らないんだよ。 会ってイメージと違った、とかになったらどうするの……?』




 スカイさんの私のイメージが違ってしまう事を恐れた。


 顔がわからずとも私は楽しい今を守りたいんだ……。


 そう思った。




 『じゃあ、写真、交換しておく? 俺はいいけど……。』




 私は容姿に自信がある訳ではなかった。

 だからメールというものの方で繋がっている方が楽だったのかも知れない。


 メールだけの関係に満足している訳ではない。

 もちろん、会ってみたいと思う。

 自分の五感でスカイさんを感じてみたいと思う。


 でも、私にはまだそこまでの勇気がなかった。

 既婚者という一番の理由。



 もし会ってしまったその後の事を、スカイさんのこれからを考えて私は少し怖気付いてしまった。

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