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窓越しの空  作者:
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些細な事

 それからもスカイさんとのやり取りは続いた。


 最初は空の投稿にコメントをくれていたけれど、今はメールだけになった。


 私もあのグレーな空の写真を投稿してからは投稿していない……。


 毎日、些細な事を話す。

 仕事の話や何となく思った事。

 意味もない事でも話すのが楽しかった。


 一度、どうして何の意味もない空の写真にコメントをしようと思ったのかと聞いてみた事がある。


 スカイさんは、



 『この人は優しい人なんだろうな……、ただyuuさんにそれだけを感じたから。 実際にやり取りしてみてもそう思う。 思った通りかな、って思う。 俺にとっては意味のない写真じゃなかった。』



 そう言っていた。



 ドキドキさせられる気持ちを鎮める事が日に日に多くなる。


 やり取りが続く中で少しずつ敬語が取れていったり、日常の会話だけではなく、気持ちを表現する事もどうしても増えていく。



 でも当たり前だが私の中でブレーキがかかる。

 私はそう自分が感じた時、スカイさんに悟られない様に他の話題に変えたり、気付かないふりをしていた。

 それが最大限のルールだと、それは破ってはいけないものだと、それだけは強く思っていた。



 ある日、私は会社で大きなミスをしてしまった。

 仕事を始めて1ヶ月くらいが経った頃、少し仕事に慣れてきた頃だった。


 社員さんの力を借りて何とか事なきを得たが、私は自分の不注意でいろんな人に迷惑をかけてしまった事に落ち込んでしまった。


 そのまま家に帰り、夜ごはんを作りながらも今日のミスの事の頭から離れない。

 何とか作り終え、帰ってきた夫にその話をした。



「え? そんな事? 何とかなったんならそれでいいじゃん。 それに派遣でしょ? 契約期間だってもうすぐでしょ?」



 私が想像していたのと違った。


 私は結婚して初めて仕事の事を夫に話した事になる。

 もし、私が専業主婦にならず結婚後も仕事をしていたとしたら、こんな言葉が返ってきていたのか……?



 契約期間?

 だからミスしてもいいの?

 派遣だからミスしてもいいの?


 違うでしょ……。


 夫の言葉は冷たく感じた。


 確かに夫は仕事のできる人なのかも知れない。

 だからなのか、見えていて欲しいところが見えてない気がした。

 典型的な部下の気持ちがわからない人に夫が見えた。



 私は何でこの人と結婚したんだろう……。



 仕事のミスの話からそれを考えてしまった。



 夫の何か良かったのか……?

 どんなところが好きだったのか……?

 どんなところに惹かれたのか……?



 もしかしたら、いつからか、そうなってしまったのかも知れない……。

 仕事における立場もあるし……。


 夫の事を思い返す自分もいれば、擁護する気持ちもまだ持っている自分もいた。


 何だか考える事が面倒になってきた。

 今は夫と同じ空間にいたくなかった。

 何で仕事の事を話したんだろう……と後悔さえする。



 私は今日も早めに寝室に入り、スカイさんにメールを送りたかった。

 夫に話した仕事の事を聞いて欲しかった。

 スカイさんとやり取りをする方が楽しかった。

 何も知らないから、楽なんだろうなーー。

 

 私は完全にスカイさんに癒されていた。

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