鼓動
『こんにちは。 お仕事からさっき帰られたんですか? 忙しかったんですか? お疲れさまです。 投稿は何でもないんですよ。 気にしないでください。』
何でもない……。
スカイさんからのメールが来ない事でペースが崩れたなんて言えない……。
当たり前だと思っていた事は当たり前ではない。
少しメールのペースを落とした方がいい……。
そう思っていた。
スカイさんからの返信はすぐ届いた。
『俺はyuuさんをこのSNS上でしか知りません。 でも、優しさだけは伝わります。 yuuさんを守ってあげたいと思うんです。』
そんな事を言われて、SNS上とはいえ困るけれど嬉しい気持ちもある事に間違いはなかった。
けれど、私は結婚している。
スカイさんにちゃんともう一度話しておかなきゃ……。
『スカイさんは優しい人ですね。 私は大丈夫ですよ。 スカイさんとのやり取りは楽しいです。 けれど、私は結婚しています。 私より結婚していない人の方がスカイさんにとってはいいと思います。 この瞬間も素敵な出会いを見逃してしまうかも知れませんよ!』
スカイさんは独身でこれから素敵な人を見つけないといけない人でもある。
私に時間を使うのはもったいない気がした。
スカイさんは穏やかそうでやり取りしていても私も穏やかな気持ちになれる。
癒されているのは私の方だった。
けれど、スカイさんをその一時的な感情に付き合わせる訳にはいかない。
スカイさんのこれからの未来かあるのに私が足を引っ張ってはいけない、とそう思った。
もう今日で終わりにしよう……。
短い間だったけど、やり取りは楽しかったな……。
スカイさんはどんな人がわからないけれど、でも、あったかい人なんだろうな……。
SNSで出会った人だし、顔も知らないけれどいい人なんだろうな、と想像しかできないけど、幸せになって欲しいな……。
どんな人がだったんだろう……と興味はあるけれど、知らないまま今日で終わる方がいい。
いい人だと思う分、幸せになって欲しい……。
ただただ、そう願った。
そのままSNSを閉じようとした時、またメールが入った。
スカイさんからのメールだとすぐにわかった。
『俺はそれでもyuuさんをもっと知りたいと思いました。』
そこに書いてあった言葉は私の想像とは全く別のものだった。
私を知りたい?
結婚していても?
どうして……?
SNS上の作られた人物像でしかない。
お互い、わからない事が多すぎる。
理想や想像だけで判断してはいけない。
私の何を思って知りたいと思ったのだろうか……。
いろんな事が頭の中を駆け巡るが、でもそう言われた事は素直に嬉しいと思った。
それが私の本音だった。
スカイさんからのメールを何度も読み返していると、またメールが届いた。
『俺は、yuuさんのほんとの気持ちが知りたいです。 俺とのやり取りはもうしたくないですか?』
ドキドキと強く打つ鼓動を感じた。
結婚している私にどんな興味があるんだろう……。
結婚してるんだよ……。
なのにそこまでどうして思えるんだろう……。
他にたくさんいるのに、どうして私なんだろう……。
私は私を知りたいと言ったスカイさんにダメだよ、と言う事ができなかった……。
私の立場を考えるとダメな事はわかっていた。
私の頭と心は違った事を考えていた。
ずるいな……。
これからどうなるんだろう……。




