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最終話 涼音と将也

 間一髪だった……。

 何か胸騒ぎがして早めに家を出たのが幸いしたな。

 おかげで、涼音を守ることができた。

 できれば……もっと早く着いていれば、未然に防げただろうに。


……今度からは家まで迎えに行こうかな。


 もうそろそろ涼音の家族にも会っておきたいし……なんて。


 カッコつけてる場合じゃないよな。


「大丈夫か……何もされてないか?」


 サマードレス姿が艶やかでいながら清楚な雰囲気の涼音の全身を確かめる。

 衣服に乱れはない。

 よかった……未遂か。


「うん、大丈夫だよ。怖かったけど……将也くんが来てくれたから」


 そう言って笑みを浮かべる涼音だったが、まだ少し表情は引きつっていた。

 無理もない……怖かっただろうな。


「涼音……ごめん」

「きゃ……将也くん!?」


 同じくらいの背丈になった涼音を抱き寄せて、頭をポンと撫でる。

 初めは少し強張っていた涼音の力が次第に緩んで俺に身を任せてくれるようになった。


 これで少しは恐怖感が和らぐといいんだが……

 ってどさくさに紛れて何してるんだ俺。

 久しぶりに会ったせいで距離感……間違えたかな?


「悪い……つい」


 パッと抱き寄せていた涼音を離す。

 涼音は顔を赤らめながら一歩下がって、そして不可思議な物を見るような目で俺を見てきた。


「将也くん……その……」


 涼音がわずかに目線を上げて、俺の瞳を覗き込んでくる。

 同じくらいの視点から見る涼音……感激だ。


「どう? びっくりした?」

「うん、すごく! どうしたの? 成長期?」

「実はね、この一月で十センチ近く背が伸びたんだよ」

「十センチ!? そんなに伸びるものなの?」

「俺もびっくりしてる」


 びっくりした、本当に。

 夏休みに入ってから急激に背が伸び始めた──持っている服のほとんどが着れなくなるほどに。

 そのおかげで、今まで見上げていた涼音の目線が少し下に見える。


「その……どう?」

「……かっこいいよ」

「そっか、ありがとう。涼音も、また綺麗になってる」

「そうかな、そうだといいな……えへへ」


 ようやくこれで……涼音の隣に、横に本当の意味で立てる気がする。

 

 今までずっと劣等感を感じていた。

 涼音は気にしていなかったかもしれないが、俺は付き合い始めた時からずっと気にしていた。

 彼女よりも、涼音よりも背が低い事を。


 でもこうして、毎日の運動が実を結んだのか成長期がきて、ようやく涼音と同じ目線で話ができる。

 それが何よりも嬉しい。


「それじゃ、行こうか」

「うん、そうだね」

「水着、楽しみにしてるから」

「……恥ずかしいけど、頑張って選んだんだよ?」

「嬉しい、本当に」


 ようやくチビデブだった俺に別れを告げることができたのだ。

 これで、これからも涼音のことをたくさん愛せる。


「なあ涼音」

「なぁに? 将也くん」

「好きだよ」

「……私も」


 向日葵のような笑みを浮かべる涼音。

 

──俺は涼音がずっと俺の方を向いてくれるように。


──私は将也くんに置いて行かれないように。




もっとカッコよく

もっと綺麗に



 青空の下、二人の青春は続いていく。


ありがとうございました。

ご好評いただいた中編を急遽長編にする──という形でスタートしたこの連載ですが、いかがだったでしょうか?

思った以上に感想をいただけて途中から返信できずに申し訳ありません……。

ですが、全て読ませていただき私の活力へと変換させていただきました。


おかげさまで、本当は八万字程度でまとめるはずが気付けば十二万字に……。

見込みの甘いこと。


これからも精進して色んな物語を、私には存在しなかった──憧れて止まない青春を書いていきますので、よければ今度とも私バルサミ子をよろしくお願いします。


追記 オチが弱いと後悔があったので後日談を投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れ様でした。 貴重なほのぼのイチャラブを提供していただきありがとうございました。 今後の作品にも期待させていただきます。
[良い点] 完結おめでとうございます!! これからも二人に幸あれ!!! 主役の二人は可愛いし、登場人物がみんな良い人だし、清涼剤でしかありません( ;∀;) 自信満々で完璧なお姉ちゃんがひんぬーコンプ…
[気になる点] 終わり方が打ちきりっぽく成ってしまったのが残念? [一言] 完結お疲れ様でした!
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