第二話
「…見えたり見えなかったりするんだよな」
「突然なんだよ。気持ち悪い」
「馬鹿にするな。事実だ」
今日も今日とて、学校の帰りに友人と樹を…というか、友人が樹を見たい見たい言うから付いていけば、コレだ。
「へいへい。見えたり見えなかったり、って、幽霊かよ」
「それに近い」
「は?」
冗談だっていうのに、いつかのように真面目に肯定されて、困る。
まじまじ友人の顔覗き込めば、俺と違って本気の顔で、じいっと樹を睨みつけている。
本当に、見えそうで見えないモノにピントを合わせようとしている、そんな感じだ。
「見えないんだな、お前には」
「あのな。そういうの。いいから」
いい年して、霊感がどうの、幽霊がどうの、とか止めて欲しい。
第一、万が一、億が一、霊感どうのって話になっても、この樹には、そういう噂は一つもない。
「うん?」
………そういや、本当に一つもないな。
これだけ異常な管理されてる樹なら、怪しい噂の一つや二つあってもおかしくないってのに、俺は聞いた覚えがない。
「そうか、見えないんだな」
あの樹の下に、死体が埋まってるって言われたらしっくりくるよなあ、とか詰まらないことを考えててたら、ナニか『見えてる風』の友人は、半笑いの返答を聞いて、あっさり樹から顔を外す。
とはいえ、名残惜しそうに、見えたんだけど…とか呟いてたりする。
…やれやれ仕方ない。ノッてやるか。
「で? 自称霊能力者サマには何が見えてんだ?」
「白い箱みたいななにか」
「ぶっは!」
即答ですか! いやいや、そんな睨まれても、コレ、噴き出すしかないだろ!
「な、なんだ、なんだそりゃ! し、白い箱っ? つか、箱みたいな何かって! なんだそりゃ! 幽霊じゃねえのかよ! だはははは!」
「笑うな。僕もソレが何か分からないから、毎日ここ通ってるってのに」
「う、うそだろっ? は、はこっ? 箱見るために毎日来てたのかよっ! 嘘だろ冗談だろっ?」
「だから、馬鹿にするなって言ってるだろ」
「うひひひひひ!」
「…その笑い方、気持ち悪いぞ」
予想もしない回答に、腹抱えて笑う俺。
一方、不機嫌そうだが、自信がないご様子の、自称霊能力者サマ。
「わ、悪い、悪いって! 箱な、えっと、白い箱! そうだな、箱が見えるんだな! おう、見える見える!」
「お前、悪いと思ってないだろ。だから、今回の小テストで居残りさせられるんだよ」
「ばっ、それ今関係ないだろっ?」
「先生、小テストで赤点とったのお前だけだったから、悲しみに満ちた目、してたぞ」
「や、やかましい!」
「あれ、絶対に自分の指導が悪いのか、って、責任感じてるな」
「悪かったな!」
仕返しとばかり、かましてくる友人に怒鳴れば、鼻であしらわれる。
「どうだ、馬鹿にされた人の気持ち、分かっただろ」
「分かった、分かった、ワカリマシタ!」




