9話 魔王様(女)の惚れた理由を知りたいようですよ?
遅れてすみませんでした!!
「…………」
「スゥ……スゥ……」
僕は今自分の部屋のベットで寝ている。もう遅い時間だから当然だ。うん。ここまではいいんだ。そして、僕は横を見ると、僕の隣で気持ちよく寝ている魔王様が目に入る。
時折「んっ……」と寝返りをする時に毎回ドキッとさせられる。可愛い。いや、そういう事を言いたいんじゃない。僕が言いたいのはーー
……どうしてこうなった?……という事だけだ。
遡る事数時間前。魔王様はかっこよく的確に四天王達に指示をだし、今、四天王のみんなは、この事件の犯人を捜索中だ。僕にできるのはみんなの報告を待つばかり。
魔王様はこの城を簡単に離れることはできないらしく、今現在、自分の部屋で絶賛正座中だ。……絶賛ってなんだよ……。それに自分の部屋で……。
「菜糸君、そんなに固くならなくても大丈夫ですよ?」
魔王様は苦笑気味に言ってきた。でも、魔王様と一緒にいるってだけで妙に緊張するんだよなぁ………、なんでだろ?それに、たしかに楽な姿勢になれば楽かもしれない……。魔王様も固くならなくていいと言いてるから足を崩しても大丈夫だろう。でも、僕はそうしなかった。何故って……?それは……
「……菜糸君?もしかして……足しびれてる……?」
「…………っ!」
魔王様の質問に対しての僕の反応で、魔王様は確信したような顔をしている。そして、いたずらっぽい顔になっていく。……すごく嫌な予感がする……。
「なっ……何をする気ですか……!?」
「さぁ……何でしょう?」
魔王様ささっと僕の後ろに回った。それに対して僕は少しでも動くて足に電流が……。そして、魔王様はそっと僕の足の裏を……
ちょんっ
「……っ!!!?」
僕はその場で飛び跳ねた。ビクンッって。魔王様も予想以上の反応らしく、目を丸くしていた。当然だ。僕もなんだから。
「あの〜……菜糸君?大丈夫ですか?」
「……だめです……」
体の力が抜け、グデーンとその場で腰から崩れ落ちたような態勢になっていた。まだ足が痺れてる……。でもおかげで先程の緊張も無くなっていた。魔王様も僕の態勢を見てクスクス笑っている。やっぱり魔王様って笑っている顔が可愛いな……なんて呑気な事を考えていた。
「さてと……そろそろ寝ましょうか」
「そうですね。もう夜遅いですし」
僕は寝巻きになるために、今着ている服を脱いで……。
「……魔王様?何をしているんですか…?」
見ると、顔を真っ赤にして手で覆っている魔王様がいた。顔を覆っているが、指と指の間を少し開け、こちらをチラチラと見ている。何これ恥ずかしい。
「あのっ……ですね。これは……その〜……」
あっ……今更ながら目を逸らし始めた。すごく分かりやすい。とりあえず魔王様には外に出てもらって、急いで寝巻きに着替えた。その間、ドアの向こうから『菜糸君の筋肉って結構がっしりしているんだなぁ〜……』とか聞こえたが聞かなかった事にしておこう。
「お待たせしました」
あまり待たせてはいけないと思い、すぐにドアを開けるとドアに寄りかかってたのか、バランスを崩しながら入ってきた。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ!!安心してください!聞き耳なんて立ててませんから!!」
「…………」
聞き耳立ててたんだな……。どうしよう、魔王様がどんどんストーカー体質になってきてる感がある……。これ以上悪化しなければいいんだけど……。
「それでは私も着替えますね」
「……へっ?」
魔王様は身につけている服を脱ぎ出した。魔王様はそんなに着込んではいなかったから、下着姿になるまでにそう時間はかからなかった。
「…………」
「ん?菜糸君?」
バタッ!
「菜糸君!?」
僕は、魔王様の下着姿に耐えきれず、脳がオーバーヒートしてしまい、その場で倒れた。なんか……こんな事前にもあったような……そんな事を考えながら僕は意識を手放した。
◇ ◇ ◇
「んっ……?」
僕はまだぼやけている視界をなんとか正常にしようと目を細める。電気は消えていたが、月の光だけが部屋に差し込んでいたので、部屋の状況がしっかりと分かった。そして、当然ながら隣で眠っている魔王様にもきづいた。……そして冒頭へ戻る。
ーーーーーーーーーーー
「僕……どうしたんだっけ……?」
まだ朦朧としている頭をフル回転させ、記憶をたどる。確か、僕の部屋で魔王様と一緒に待っていて……そして着替えをして……それで?それでどうしたんだっけ……?なんだろう……すごく良いものを見たような気がするんだけど……。
「スゥ……スゥ……」
「ん……?」
隣を見てみると魔王様が可愛らしい寝顔で、可愛らしい寝息をたてながら眠っている。普段、何故か妙に恥ずかしくてまともに魔王様の顔を見れていなかったけど、やっぱりとても可愛くて美しい。
(まつ毛長いな……)
その長いまつ毛さえも美しく感じる。これは、グンセオが惚れるのも無理はないな……なんて苦笑していると、最初に言われた事を思い出した。
『私の伴侶にならない……?』
あぁそうだ……僕はこの人にプロポーズされたんだ……。その事実が鼓動を早くする。でも、なんで僕なんだろう……?初めも思った疑問だが、魔王様に質問しても見当違いの返答が帰ってきたのを覚えてる。
(今度こそ本当の事を聞いてみよう……)
僕はそう決意し、眠りについた。