52話 魔王様が狙われているので、守る作戦を考えるらしいですよ?
遅れて申し訳ありません!
「これじゃあ魔王様が危ない!剣技披露大会を中止にしなきゃ……!!」
「それは無理だ」
グンセオが僕の提案を即座に否定する。どうして……!と食いかかろうとすると、メイゲルが説明してくれた。
「この剣技披露大会は、世界中から剣技に自信を持つ人が集まるんだ。それを急に中止するとなると、魔王様の信頼に関わるんだ」
「そんなの言っている場合じゃあ……!!」
魔王様の命に関わるんだ。信頼は落ちるかもしれないけど、命には変えられない。しかしグンセオは、そんな僕の胸ぐらを掴み壁に押し当てる。
「ごちゃごちゃうるせぇ!!何のために四天王がいるか分かってんのか!?」
「っ……!!」
あまりの迫力に言葉が詰まる。
「魔王様を守るためにいるんだ……!これはなぁ……俺達の仕事なんだよ!!お前は口出しすんな!!」
グンセオがそう言い終わった後、僕の胸ぐらから手を離し、メイゲルの元へ歩いていく。恐らく剣技披露大会の時の作戦会議をするのだろう。メイゲルとグンセオは、魔王様のお父さんを殺した相手と戦う事を決めた。
(なら、僕は何をすべきなんだ……?)
メイゲルは僕にも剣技披露大会に出ろと言っているが、僕が勝ち残れるはずがない。数秒持てばいいぐらいだろう。僕は何も出来ないのだろうか……。
「ほら菜糸君。作戦を説明するからこっちに来て」
「でも、僕が大会に出たところで何も出来ないんだけど……」
「大丈夫、菜糸君は出るだけでいいから」
「へ?」
いまいちメイゲルの言っていることが分からないでいると、グンセオは察しがついたのか渋い顔をしている。
剣技披露大会は、二人1ペアで出る決まりなんだ」
「......?」
やはりメイゲルの言いたいことが分からない。二人1ペアならメイゲルとグンセオで出ればいい。僕が出る理由には.....
「一応言っとくけど、僕はガムイと出るから」
「「.......は?」」
またもやグンセオと声が被った。流石にメイゲルがガムイと出るのは予想外だったらしい。
「ガムイと組んだ方が、色々と対処しやすいからね〜」
「ちょっと待て!?だったら、俺は誰と組むんだよ!?」
確かにそうだ。これではグンセオと組む人が……あ。
僕は、ある可能性が浮かび上がり、恐る恐るグンセオの顔を見る。グンセオもその可能性が浮かんだのか、僕の顔を見る。
「グンセオと菜糸君で組んでもらいます」
「はぁっ!?誰がこんなヒョロガキと……!!」
「誰がヒョロガキだ!?」
さっきから失礼な奴だな。これでも一応、毎日短剣を振っているから、それなりに筋力はついてきてるのに。
「まぁまぁ、グンセオなら一人でも勝てるから問題ないでしょ?菜糸君は別に戦わなくてもいいからさ」
「ま、まぁな!俺なら一人でも優勝出来るから問題ねぇよ!」
「それなら……まぁ……」
メイゲルって、グンセオの扱い慣れているなぁと僕は密かに感心した。
「じゃあ、僕が考えている作戦を伝えるね」
◇ ◇ ◇
そして今に至る。今考えても、凄まじい事を色々知ったなぁ等とぼんやりと考えていた。それから数分後、グンセオがポツリと呟いた。
「……来た」
「………!!」
その瞬間、他の二人にも緊張が走る。どこだ?と辺りを探すと、すぐに見つかった。筋骨隆々で背の高さは2mは超えてるのではないかというほど大きい男。白髪頭の長髪で、周りの選手からかなり浮いていた。それに、その男に纏わり付いている闘志が異常だったのである。あれがゾルイだと一目で分かった。
「…………」
ゾルイは、こちらをチラリと見たが、そのまま受付の方に歩いて行った。僕達は、ここで問題を起こすわけにもいかず、三人とも今にも殺したいという殺気をぐっと抑え、ゾルイを見送った。
「あれがゾルイ……」
僕は、ゾルイに見られて体が動かなくなったのが分かった。ただ睨まれただけなのに、体が恐怖で動かなくなった。本当にあんな奴から魔王様を守れるのか……?と自信がなくるが、その雑念を頭を振って搔き消す。
(守れるかじゃない……守るんだ……!)
自分は大した事は出来ない。でも、グンセオ達の手伝いぐらいなら出来る。昨日教えてられた作戦で、自分の役割をしっかりとこなせれば良い。それだけでいいんだ。
「……行くぞ」
グンセオの呼びかけをキッカケに、僕達は受付に向かった。登録用紙に自分の名前を書こうとしたが、どうやらこの世界の文字は日本語ではないらしく、メイゲルに書いてもらった。
◇ ◇ ◇
『さぁさぁ!!今年もやってまいりました剣技披露大会!!今大会の司会になりました、悪魔族のルイです!どうぞお見知りおきを!さぁ、自己紹介はこれくらいにして、皆さんが気になっている今年の優勝者に送られる豪華賞品はこれだ!!』
大会の開会式で、ドラゴンに乗っている悪魔族の男が、マイクを片手に指を指した先には、何やら肉が置いてあった。
『これは人魚族の肉だ!!一口食べれば永遠の命が約束される超高級食材だぞ!!さぁこの肉を手に入れるのは誰だ!?』
へぇ、人魚なんているんだな。この世界。そんな事を考えてると、演奏が始まった。どうやら入場が始まったらしい。僕は、グンセオと共に、ドギマギしながら入場した。




