40話 魔王様をかけて戦うらしいですよ?
遅れてすみません……!
僕の言葉にロズイルは身構える。お互いに相手から視線をそらさず、互いに思考を探る。普通に戦えば僕は負けるだろう。しかし、今のロズイルは冷静な思考が出来ていない様子だ。この状況なら、まだ僕でも勝機はある。
「っ……!!」
僕は鞘から剣を抜き、ロズイルへと剣を振る。それをロズイルは魔力のシールドを貼り、弾き返した。僕は弾かれた剣を中心に一回転して追撃する。流石にその攻撃は予想出来なかったのか、反応が一瞬遅れた。追撃も弾かれたが、ロズイルはバランスを崩した。この隙を逃さず三回目の攻撃を加える。しかし、その攻撃はロズイルの左腕をかすめただけだった。くっ……!もう少しだったのに……!
「ぐっ……!」
でも、かすめてもダメージはダメージだ。それに、少しかすっただけであれだけ顔を歪めている。今まで部下や雇った人に戦ってもらい、自分は高みの見物でもしていたのだろう。それが、今となってはあだとなっているが。
「小癪な真似を……!!」
ロズイルはそういうと、左腕を前に突き出す。すると、掌の中心に徐々に黒い魔力が集中していく。そして次の瞬間、ロズイルは掌を突き出し、僕に向かって走って来た。急な事に動けなかった僕は、ロズイルの掌をモロに胸で受け止めてしまった。
「がっ……はっ!?」
痛い。胸に大きな衝撃が来たと思ったら、なにかが弾けた。まるで、心臓が爆発したみたいだ。思わずその場に倒れこむ。喉に何か違和感があり、咳き込むと血が出てきた。……初めて吐血した。まぁ、普通に生きていたら、吐血するなんて経験ないよな……等と、場違いにも思った。
「ぐっ……!!」
「ほう?私の衝撃波を受けて、弱き人間が立ち上がるとは」
苦しい……。でも、ここで倒れている訳にもいかないんだ。胸を抑え、痛みでガクガクと震えている足を踏ん張り、なんとか起き上がる。まだ……いける……!
「うぉおぉぉ!!」
ロズイルに向かって走り出す。ロズイルはまた同じように掌を前に突き出し、魔力を集中させている。ロズイルは掌を僕に当てようとしたが、二回も当たるほど僕はバカではない。それに、メイゲルみたいに魔力砲だったら避けれなかったけど、掌を避けるだけだ。僕にでも出来る。
「はぁぁ!!」
掌を避けた僕は、ロズイルの胸に一太刀浴びせる。切りつけた場所から血が飛び散り、僕の顔に飛び散る。ロズイルは後ろへよろめき、傷口を手で抑える。もう一撃喰らわせようとロズイルと間を詰めると、ロズイルは輪っかの様な物を僕に投げつけ、足に引っかかった。勢いもあって、そのままバランスを崩し地面に転がる。
「これは……!」
「お前に使っても意味はないが、動きは封じれるから……な!」
ロズイルはいやらしい笑みを作り、僕の腹を蹴り上げる。
「かはっ……!?」
「さっきはよくもやってくれたな……!」
そう言いながら、何度も何度も僕の体を蹴り、踏みつける。せめて、頭はけられない様にと腕で守る。でも、このままではジリ貧だ……。なんとかしなくちゃ……。
「はははっ!!……あ?」
僕を踏みつけようとした足に、隙をついてしがみ付く。よし……!このままロズイルのバランスを崩して……!しかし、ロズイルは焦った様子もなく、僕の顔を蹴りつけた。
「離せ!!このっ!!」
やばい……!このままじゃ手が離れてしまう……!何とか離れない様にしがみついてると、業を煮やしたのか、蹴るのをやめた。どうしたのだろう……?
「これでトドメだ……!」
そう言いながら、ロズイルの手には光る槍?があった。木刀ぐらいの長さだが、両端が鋭利だ。剣と呼ぶには形が違いすぎる。槍と表現した方がまだ近いかもしれない。その槍を僕にめがけて振り下ろされているのが分かった。その瞬間だけ、とてもスローに見えた。そして、僕に当たる瞬間ーー
ガキンっ!!
「えっ……?」
「なんだ……?」
槍から僕を守る様に、剣が槍を抑え込んでいた。こんな真似できるのは、一人しかいない。
「グンセオ……!」
「はぁ……はぁ……」
グンセオの息は荒く、ところ所から出血していた。ここまで来れたのも奇跡と言っても過言ではないだろう。しかし、もはやグンセオには立つ体力も気力も既に無くなっていた。僕から槍を守るので全力を注いでくれたのだろう。その場でぐたりと倒れ込んでしまった。
「はははっ!!バカなやつだ!そんな体でここに来るとはな!!」
ロズイルは嘲笑いながらグンセオを蹴り飛ばす。受け身なんて取れるはずのないグンセオは、そのまま地面を転がっていった。
「やめろっ……!」
グンセオのおかげで、ロズイルの意識が自分から一瞬それた。その隙にしがみついていた足を横にひねり、バランスを崩させる。
「お前……!」
ロズイルはバランスを崩し、地面に倒れこむ。そして、そこに剣をロズイルに突き刺す。ロズイルはそれを転がってかわし、体制を立て直した。くそっ……!
「舐めた真似しやがって……!」
ロズイルは持っていた槍をこちらに向け、ゆっくりと僕に歩み寄って来る。足を自由に動かせなく、自由に動けないでいる僕は、その場から逃げ出す事が出来ない。転がったとしても、すぐに追いつかれて意味がないだろう。
「もう助けなんて……ん?」
ロズイルが勝ちを確信した時、真っ暗な空間に、赤い怪しい目がいくつもあった。
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