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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
3章 魔王様の婚約者登場するようですよ?
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39話 魔王様と“あれ”をするらしいですよ?

遅れてすみません!

「僕は逃げません」

「なん……で……」


魔王様からしたら、今すぐにでも僕をこの場から離れさせたいだろう。自分でも抑えきれない感情や魔力……そんな危険な空間で僕が耐えきれる保証などない。魔王様も動けなく、この場で何か起きた時に守れるのは僕自身だけだ。魔王様もそれに気づき、せめて僕だけでも逃げてほしいというのが本音だろう。でもーー


「魔王様を助けに来たのに、僕だけ逃げる訳ないじゃないですか」


僕は魔王様を助けに来たのに、わざわざ魔王様を置いて逃げるなんて絶対しない。僕の言葉を聞いた魔王様は、嬉しそうな……でも悲しそうな……そんな複雑な表情をしていた。


「僕は、魔王様をここから連れ出したら一目散に逃げますよ」

「そん……なの……」


出来る訳ない……と言いたかったのだろう。でも僕は、助ける方法を一つだけメイゲルから聞いている。魔王様の負の感情を、一瞬だけでも忘れされればいい。ただ、それだけで魔王様を助けられる。


(とは言っても……どうしよう……)


一瞬でも負の感情を忘れさせるなんて……どうしろと……。その時、僕の脳裏にある一つの方法が思い浮かぶ。でもこれは、出来ればしたくないな……。


「くぅぅぅ……!!」

「魔王様……!?」


突然魔王様が苦しみだし、背中から出ている黒い靄が強まった。もう迷っている時間がない……。これは普通に考えて、急に女性にすれば失礼に値する行為だろう。本当なら魔王様に許可を貰ってしたかったけど……今は状況が状況だ。あとで土下座でも何でもしよう。僕はそう心に誓った。


「魔王様……こっちに顔を向けてもらっていいですか……?」

「え……?」


魔王様は僕のお願いどうりに顔をこちらに向けた。その顔は、苦しそうで今にも泣き出しそうな顔をしている。でも、そんな顔でもとても美しいと思ってしまう。今からしようとしている事に、急に羞恥心を覚えてしまう。でも、今はそんな事で戸惑っている場合じゃない。今はこの羞恥心を心奥にしまいこんで……


「菜糸……君……?」

「っ……!」


大丈夫だ僕。理性を忘れるな。今は鈴のような美しい声も、全ての男を虜にしてしまいそうな美しい顔も、今は全て忘れろ。これは魔王様のためなんだ。魔王様の……!


「めっ……目を閉じてください……!」

「……!んっ……」


魔王様は僕の意図が分かったのか、素直に目を閉じてくれる。若干頬が赤いように見えるのは、僕の見間違いとは思いたくない。心臓がうるさい。そっと魔王様の頬に触れ、ゆっくりと顔を近づける。顔が近づいていく度、鼓動が早くなる。僕の心臓の音が聞こえてないかなって言う歌の歌詞があったな……等と、この状況から軽く現実逃避する。そして……


「んっ……」


僕の唇と魔王様の唇が重なる。正真正銘僕達のファーストキスだ。魔王様は本当にされるとは思っていなかったのか目を見開いた。それでも魔王様の意識をキスに集中させ、確実に負の感情を無くす。心の準備がしっかり出来てなかった魔王様は少し待ってと言わんばかりに顔を離そうとする。でも、どれくらいすればいいのか分からない僕は、まだ離すわけにはいかなかった。なんか魔王様の体がビクッビクッとなっているけど大丈夫だろうか?


(そろそろいいかな……?)


そう思い、魔王様から唇を離す。すると、魔王様が力が抜けたように僕の膝に倒れ込んだ。顔を見ると、顔が真っ赤になり、目を回しており、アニメだったら『きゅぅ〜……』なんて効果音がつきそうな状況だった。大丈夫だろうか?(二回目)

でも、背中から黒い靄は既に出ておらず、作戦は成功したのだろう。あとは、魔王様を担いでここから出るだけだ。


「待……て……」

「っ……!」


魔王様をお姫様だっこし、この靄の中から出ようとした時、後ろの方から苦しそうな声が聞こえた。その声は、もう二度と聞きたくないと思っていた嫌悪感が溢れでる声……あいつの声だ。


「ロズイル……!」


切られた右腕を抑え、よろよろとこちらに向かってくる。もはやその表情に余裕はなかった。目は血走り、歯を噛み締めて痛みを抑えているのだろう。この状況で邪魔できるとは思えないけど、ここまで来たのだ。何かあると思っていいだろう。


「……何しに来た?」

「魔王様は……!私のだ……!」


いや、もはやロズイルに冷静な思考は出来ていないのかもしれない。でも、なんでそこまで魔王様に固執するんだ……?腕切られて、冷静な思考もできていない。なのにここまで来た。普通なら、この騒動に紛れて逃げるのが最善なはずだ。


「なんでそこまで……」

「権威だ……!!」

「権威……?」


その言葉を発した途端、ロズイルは狂ったように言葉を並べる。


「魔王様と結婚すれば、魔王の座は私のものだ!!どんな奴でも黙らせる権威を!!権威さえ手に入れれば、そんな奴いらながふっ!?」

「黙れよ」


僕は魔王様を一旦床に寝せ、ロズイルの顔を殴りつける。痛い。初めて素手で人を殴った。手の甲が殴った時に皮が剥がれ、血が流れる。でも、そんな痛みさえ関係なくなるくらい怒りがこみ上げて来た。


「今度は僕が相手だ」




お読みいただき、ありがとうございます!

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