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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
3章 魔王様の婚約者登場するようですよ?
38/52

38話 魔王様を助ける方法があるらしいですよ?

遅れてすみません!

体に穴が空き、力なく地面に横たわっているグンセオは、僕の足を掴む手は緩める事なく離さない。それは、僕に行くなと訴えているようだった。


「お前だと……危険だ……」

「グンセオ……!大丈夫なのか?」


本当なら声を出す事さえ危険なのに、それでも僕に訴えてくる。グンセオがここまで言っているんだ。多分、今までで一番危険なのだろう。僕なんかが行ったら、すぐに死んでしまうかもしれない。でも……


「でも今、魔王様を止められるのは僕だけだから……。ごめん!」


他の皆んなは、ロズイルのせいで体に穴が空いてしまい、とても歩けるような状態ではない。良くも悪くも、動けるのは僕だけになってしまった。もし、ここで何もしなかったら、それこそ本当のお荷物になってしまう。


「待てっ……!」


僕は、グンセオの手を解いた。僕に何ができるか分からないけど、出来る事をしたい。忠告してくれたグンセオには悪いけど、ここでじっとはしていたくはない。皆んなのためにも、魔王様のためにも。


「けど、この渦は何だ……?」


魔王様を止めるって意気込んだのはいいけど、具体的に何すればいいか分からない。この黒い渦だって、触って安全なものかも怪しい。無鉄砲にも突っ込んでいくほど僕はバカではない。


「……あれは……魔王様の……魔力です……」


声がする方を見ると、そこには壁に背を預け、穴が空いている場所を抑えて苦しそうにしているメイゲルがいた。穴は、奥が微かに見えて、一皮一枚でなんとか繋がっている状態だと理解する。床を見ると、メイゲルの周りは真っ赤に染まっていた。


「メイゲルさん……!大丈夫か!?」

「えぇ……。情けない話ですが、なんとか治癒魔法で血は止めました。しかし、痛みと血が足りなくて動けそうないです……」


いや、体を貫かれても生きているだけですごい話だ。グンセオやメイゲルも、生命力どうなってんだ……。しかし、二人の生命力に驚いたが、現在の状況が驚く暇さえ与えてくれない。


「……あの黒いのが魔王様の魔力ってどういう事……?」


一度魔王様の魔力を見たことがあったが、あんなにドス黒くはなかった。もっと燃えるような紅色の魔力だったはずだ。


「あれは恐らく、魔王様の負の感情が魔力に伝わってしまい、その魔力が制御できないほど強まり暴走してしまったって事だと思います」


魔王様の……負の感情……。それって……


「怒り……悲しみ……それが魔王様の魔力に混ざり合って、魔王様自身でも制御しきれないんです……。負の感情というのは、抑えようとして抑えられる感情ではありませんからね……」

「……魔王様は無事なの……?」

「まだ大丈夫……としか言えません……。しかしこのままだと、魔王様は自分の魔力に飲み込まれてしまいます……」


話を聞いている限り、魔王様は危険な状況なのは明白だった。早く助けなければいけない……なのに……!


「どうやったら助けていいんだよ……」


止める方法が分からない。助ける方法が分からない。何をしたらいいか……分からない……。自分の無力さに、自分の弱さに行き場のない怒りが湧いてくる。そして、怒りの次に虚無感がゆっくりと心を蝕んでいく。


「……1つだけ、方法があります」

「えっ……?」


しかし、メイゲルのその一言に目を見開く。まだ、終わってないと心が、体が熱くなるのを感じる。僕は、希望に縋りつこうとメイゲルに飛びつく。


「その方法って何……!?」

「……っ!?まだ、魔王様は意識を意識があるなら、その感情を一瞬だけでも忘れる事が出来れば、暴走も収まるかと……」


負の感情を一瞬だけでも忘れさせる……それは、簡単な事のように思うけど、どうすればいいか具体的な案が思いつかない。そもそも、この渦の中では魔王様がどこにいるのかさえ……


ーーけてーー


「!!」


それは、弱々しくてすぐに消えそうな声だったけど、僕にははっきり聞こえた。渦の中から聞こえたその声には、あの人の声以外に考えれなかった。


「魔王様……!」

「菜糸さん……!?」


僕は、メイゲルの静止する声を聞かず、渦の中へと飛び込む。その中に飛び込むとどうなるか分からないけど、今の僕にはそんな事を考えるよりも先に、体が動いていた。荒れ狂う渦の表面は、物凄い風ですぐに弾け出されそうになったけど、強行突破して渦の中に入ると、そこは黒い靄が充満した空間があった。そして、その中央には……


「……!魔王様!!」


背中を丸めてうずくまっている魔王様がいた。黒い靄のせいで周りはよく見えないが、魔王様だけはしっかりと確認できる。この辺りが少し明るいからだろうか?僕は慌てて近づき、魔王様を抱き起こそうとすると


「ダメっ……!!」


手を弾かれ拒絶された。魔王様の背中を見ると、黒い靄が翼のように形造っている。これは、魔王様の中から漏れ出しているのは、一目見ただけで分かった。これだけ大きな魔力量なのに、全く収まる気配がない。ロズイルが魔王様の魔力を恐れている理由が分かった。


「早く……逃げて……」


魔王様が苦しそうにそう告げる。でも僕は逃げない。だって、僕の役目はこれからなのだから。




お読みくださって、ありがとうございます!

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