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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
3章 魔王様の婚約者登場するようですよ?
35/52

35話 魔王様が少し変らしいですよ?

遅れてすみません!

「なっ……」


それは、あまりにも異様な光景だった。ぐったりと項垂れている魔王様を、鎖で壁に貼り付けにして笑っているロズイル。それの状況は、僕達に怒りしか覚えさせなかった


「魔王様に何した!?」


気を失っている魔王様が目に移り、怒りが爆発する。


「何って、ただ眠らせているだけですよ。結婚式で騒がれたら困りますし、マナー違反ですからね」

「何が結婚式だよ……!」


グンセオが小さく舌打ちをする。そう、この光景は、結婚式等というおめでたい雰囲気ではない。いや、そもそもそんな事はさせないが。それでも、今の僕にはこの光景は到底許せるものではなかった。


「今すぐ魔王様を離せ!!」


無駄だとは思いつつも、ロズイルに叫ぶ。叫ばずにはいられない。しかし、ロズイルは僕の叫びを聞いて、なお喜びに顔を歪めた。それは、嫌悪感を通り越えして、もはや憎悪さえ感じさせる。今すぐ魔王様をあんな奴の傍から引き離したい。でも、僕にはそれを実行できる実力がない。ますます自分無力さを感じ、下唇を噛みしめる。


「まさかスミレやフィルンを退けてくるとは……。私は無能を雇ってしまったようですね」


そう言いながら、ロズイルは魔王様の髪を触る。


「そんな薄汚ねぇ手で、魔王様に触るんじゃねぇ!!お前みたいな奴が、触っていいお人じゃねぇんだ!!」

「おやおや、ツレないですねぇ〜……。これから私と魔王様は夫婦になるというのに」

「何が夫婦だ。魔王様にそんな事して……!」


グンセオがロズイルに対する怒りや嫌悪を露わにして吠える。しかし、今手を出せば、ロズイルが魔王様に何をするか分からない。グンセオもそれを分かっているからこそ、ただ怒りを叫ぶしか出来ないのだ。


「さぁ、役者は揃った様ですし、結婚式を始めましょうか!!はははっ!!」


ロズイルがそう宣言した瞬間、部屋の明かりが瞬時に消える。視界を奪われた今、皆ならまだしも、僕は手も足も出ないだろう。しかし、悪あがきぐらいは出来るだろうと思うから、そっと剣を鞘から出す。辺りを警戒していると、一本2、3本ロウソクが点く。視界が少し明るくなり、薄暗い部屋が見える。そこで僕は、信じられないものを見た。


「みんな……?」


そこには、つい先程まですぐそばにいたはずのグンセオや、四天王のみんなが居なくなっていた。それどころか、ロズイルや魔王様までもいなくなっている。そんな異常な空間に、僕一人だけ佇んでいた。


「どうなってるんだよ……」


理解しがたい状況に頭が混乱する。いつもは皆がいたからなんとかなった。しかし、今、ここにいるのは僕だけだ。自分で、なんとかしなければないらないのだ……。とりあえず、この状況を理解するために辺りを探索するか……と、一歩足を進めた時、ロウソクが消える前に魔王様とロズイルが立ってた場所が、パッとライトに照らされた。


「なんだ……?」


急な光に、反射的に目を細める。この状況で、何が起きてもおかしくない。神経を最大限に尖らせ、警戒をする。


「えっ……?」


しかし、ライトの下に立っているのは、僕達がこの城に来た目的である魔王様だった。だけど、変だ。さっきまで気を失ったはずの魔王様が、鎖も外されてこちらを見下ろしている。何がなんだか分からないが、これは魔王様を助けるチャンスなのでは……?


「魔王様!早くこちらに……!」

「近づかないで」

「………え?」


それは、今までに聞いたことのないような冷たい声。いや、冷たいのは声だけではない。僕を見ている魔王様の目もとても冷たかった。その目に僕は、魔王様に駆け寄るはずだった足が止まってしまった。


「今更助けに来たの?私が辛い思いをしている時に、菜糸君達はのんびり来たという事?何で早く助けに来てくれなかったの!!」

「っ……」


それは、僕がここに来る道中、何度も思った事。僕達がこうしている間に、魔王様は酷い事されてるんじゃないか……。そんな事がずっと頭をよぎっていた。


「菜糸君が助けに来てくれるのを期待した私がバカだったわ。もういいから私の前から消えてくれる?」


その目は、もはや一切の想いが僕にない事を示していた。胸が抉られているように痛く、ポッカリと空いた感じ。怖い。それは幽霊とかを見た時の恐怖ではなく、今までの日常が壊れていってしまう感じの、そんな漠然とした恐怖。


「1つ聞いてもいいかな……?」

「何?」

「僕の事をどう思っている?」


なんてない質問。でも、今の僕の心を取り止めるには必要な質問。これを聞いてどうすんだと自分でも思うが、聞かずには入れない。だって、僕は……。


「嫌いよ。全然助けに来てくれないし、頼りない。そんな剣をぶら下げているのに、前回全然私を助けてくれなかったじゃない」

「……………!」


なんてない質問。でもそれが“突破口”になるなんてね。ーー笑いが止まらないよ。


「くははっ……ははははっ!!」

「……?何笑っているの?」


なんで笑ってるかって?当然だろ?


「お前が魔王様じゃないからだよ」

「ーーーー!?」


僕はそう言いながら、剣を魔王様に突き刺した。僕がこの剣を持ち始めたのは化け物と戦ったあとからだ。この魔王様が言っているのはおかしいのだ。こいつは……魔王様じゃない!僕が剣を突き刺すと、魔王様の体が黒い靄に姿を変え、ふっと消える。その瞬間、薄暗かったはずの部屋が、急にパッと明かりが広がった。そして、周りにはグンセオ達が立っていた。


「これは……」

「幻影魔法の一種だ。姑息な真似しやがって……!」

「じゃあ、皆も……?」


あの偽魔王様を見たのだろうか?皆は、僕の質問したい事を理解し、小さく頷く。


「ははっ、まさかこれ程早く破られるとは予想外でしたね」


ロズイルは、幻影魔法が破られたのにも関わらず、余裕の表情だ。まだ、何か隠し持っているのだろうか……?でも、ここで引くわけにはいかない。皆も同じ考えなのか、真っ直ぐロズイルを見据える。絶対、魔王様を助けてやる!!



明日からは、2日おきに更新します!

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