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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
3章 魔王様の婚約者登場するようですよ?
34/52

34話 魔王様の元へ行くらしいですよ?

遅れてすみません!

僕はフィルンが落ちたところに行き、剣を抜く。僕は、皆みたいに魔法や能力を持っているわけではない。僕にあるのは、この剣だけだ。僕は抜いた剣をフィルンの目の前に突き出す。そしてーー


フィルンの真横に突き刺した。


「……何の……つもりだ……?」

「……僕は人を殺す度胸はない。僕は弱い人間だから。でも、大切な人を侮辱されて我慢できるほどいい人間でもないんだ」


僕はそう言い、ふっと微笑む。フィルンはただただ戸惑い、真横に突き刺さっている剣をしききりに警戒する。僕はこいつを殺さない。でもーー


「ふっ!!」

「ぐっ……!?」


痛みは味わってもらう。僕はフィルンの溝を肘で突いた。すぐに殺されるよりも、痛みを与え続けられる方がずっと辛い。だから日本は昔から拷問なんてものが存在している。苦しみを与え続け、精神的に追い詰める為に。


「らぁっ!!」

「がはっ!?」


次に僕は顔を蹴る。普通なら僕の攻撃なんて当たらないだろうけど、メイゲルの攻撃により動けなくなっている。だから、僕が何しようがフィルンは何もできないのだ。そして、僕がもう一発蹴りを入れようとした瞬間、


「…………!」(フルフル)

「スミレ……」


スミレが僕の腕にしがみつき、攻撃を静止させようとしていた。涙目で必死に止めるよう目で訴えていた。


「……ごめん、冷静じゃなかった」


魔王様を侮辱されて、少し頭に血が上ってしまった。普段、こんなにキレやすくはないんだけどなぁ……。僕はそっとスミレの頭を撫でて、謝った。スミレはホッとした表情なり、僕はふっと微笑む。


「まさか……四天王がここまでとは……ね」


フィルンが横たわりながら、そんな事を呟いた。それは、完全敗北を味わった男としての嘆きに聞こえた。それはそうだ、想いを寄せている女の子の前で、無様に負けてしまったんだから。


「ははっ……これじゃあ愛想尽かされても仕方ないか……」


フィルンが力なく言う。見ると、その目には涙が流れていた。


「…………」


スミレは静かにフィルンの見つめていた。そして、静かに駆け寄り、ハンカチを取り出しフィルンの涙を拭き取った。フィルンは、スミレのその行動に困惑しかなかった。


「なん……で……?」


無様な姿を見せた。幼稚な姿を見せた。それでもスミレは自分を見てくれる。それは、フィルンのボロボロになった心を癒すには、十分な事実だった。拭き取ってもらった涙が、また流れ出す。しかしそれは、先ほどの苦しい涙ではなく、優しい涙だった。


「多分スミレさんは、無理している貴方を見たくなかったんじゃないかな?」

「えっ……?」


リルムがスミレの隣に屈み、フィルンを覗き込む。


「いつもスミレさんにアピールしていたって言うけど、スミレさんはそれを望んでいなかったんだと思う。必死で接ししてもらうより、自然に接して欲しかったんじゃないかな?」

「あっ……」


フィルンはリルムの言葉に瞠目する。今までスミレは自分に気がないとばかり思っていた。……違う、スミレは必死に気をひこうとしている自分にうんざりしていたんだ。無意識にスミレに気を遣わせてしまっていた。


「私は……スミレの事を……何も知らなかった。。。知っているつもりで、何も知らなかった……!」


自分の不甲斐なさを嘆き、自分の愚かさに怒り、自分の無知を恨んだ。僕は、そのフィルンの様子をただただ見ているだけしか出来なかった。僕に出来ることは、何もなかった。


「……スミレ、ここでフィルンを見ていてくれないかな?」

「………!」


だから、スミレに頼むことにした。僕は何も出来なくても、スミレならフィルンを何とか出来るかもしれない。スミレなら、フィルンの傷を癒し、落ち着かせてあげれるかもしれない。


「いいかな?」

「…………」(こく)


スミレの同意を確認して、フィルンの側に刺した剣を抜き、鞘にしまった。僕達は、背後にそびえている階段にめがけ、歩き出す。そこに、大きな声が聞こえた。


「魔王様の婚約者!この先にロズイル様がいます。少し煽っただけで、あれだけキレれる人がいるんでしょう?負けないでくださいよ!」

「おいおい……仮にもお前達の主人じゃないのか?」

「私達はただ雇われただけですからね。ここを通せなかったのは、契約があったため。それ以外にあの方に情などありませんよ」


その言葉に苦笑し、ありがたくエールをいただく。再び階段の前に立つ。この先にロズイルがいる。魔王様を連れ去り、嫁にするとか勝手な事を抜かしたクズが。四天王のみんなは、言うまでもなく戦闘態勢だ。僕は、そんな四人の戦意を感じながら、1段目に足を乗せた。


◇ ◇ ◇


階段を登ってみると、悪趣味な飾りがまんべんなく付いている巨大なドアがそびえ立っていた。なんてベタな……等と思ったが、今はそんな事を考えている暇はない。周りに伏兵がいない事を確認し、皆で扉に手をかける。


「せーの、でいこう」


僕の言葉に皆は頷き、僕の合図を待つ。


「せーの!」


ギィィ!


大きな音を立て、扉が開かれた。そして、そこで見た光景は……


「おや?来るのがだいぶ早いですね〜」

「……………!!」



いやらしい笑みを浮かべたロズイルと、壁に貼り付けにされている魔王様がいた。


お読みくださって、ありがとうございます!

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