31話 魔王様(女)の奪還を助けてくれる人が現れたらしいですよ?
遅れてすみません!
「……………」
今、僕達は魔王様を助けるために、長く薄暗い廊下を歩いている。もちろんデタラメに歩いているわけではない。え?じゃあ、どうやって歩いているかって?僕の腕に抱きついている先程の女の子に連れられてだ。無言で指を指して、僕らをちゃんと案内してくれている。その証拠に、どんどん上に登っていっている。だって、ボスキャラって最上階にいるもんでしょ?
「あの二人とも……そろそろ離してーー」
「「…………」」
さらに腕が締まった。左腕に弓の女の子、右腕にリルムという何とも言えない状況になっています。
「どうしてこうなった……」
……事の始まりは数十分前の事……
◇ ◇ ◇
「つーかさ、どうすんだよ?どう考えたって、話聞けそうにないぞ?」
「う〜ん……」
少し考える。この子から攻撃を受けた時から、少し違和感があった。まるで、僕に攻撃を当てないつもりかのように、矢が僕に当たらないギリギリを狙っている……ように思える。
「まず、僕が行きます」
僕が言い出したのだから、僕から行くのが筋だろう。多分大丈夫だろう……そんな軽い考えで女の子に近づいた。
「やぁ、こんにちは!少し話を……」
僕の頬を掠めて、後ろの壁に矢が刺さった。
「作戦会議ターイム!!」
身の危険を感じて、そそくさにグンセオ達の元に戻る。グンセオ達は、呆れた顔で僕を見ていた。こればかりは、仕方ないじゃないか……!
「全然ダメじゃねーか!!」
「そんな筈がないんだけどな〜……」
しかし、実際に僕は殺されかけた。あれは、確実に僕を殺すつもりだったよ……。
「やっぱ、聞き出すなんて出来っこねぇ……。時間の無駄だ!」
「ちょっと待てって!」
僕は殺されかけた。でも、僕は彼女の体についていた傷跡が、どうしても忘れられなかった。出来るなら、助けてあげたい。でも、その方法が……
「……菜糸様は、あの子の傷が気になるんですよね?」
「え?あぁ、まぁ……うん」
リルムがジト目で僕を睨んでくる。頬を少し膨らませており、少し不機嫌……というより、拗ねているのが分かる。てか、本当に頬を膨らませる人いるんだな〜……と、場違いにも考えてしまった。
「……ああいう子って、誰かに優しくされると嬉しくなるんですよねぇ〜」
「……!」
リルムは小さくため息をつき、誰でも分かるような棒読みでそう言った。拗ねている理由は分からないが、どうにか話を出来るまでの状況は作り出せそうだ。
「はぁ……、私って結構甘いよなぁ……」
リルムがが小さくボソッと呟いたが、その声は僕には届かなかった。
「おいっ!?お前、何しているんだ!?」
僕は、リルムの助言で何するべきか分かったような気がする。ゆっくりと女の子に近づく。女の子は、警戒したように弓を構え、僕を狙っている。でも、もう逃げない。
「…………!?」
女の子が放った矢は、僕のすぐ側を通って行った。恐らく女の子は、僕が避ける事を見越して矢を放ったのだろう。でも、全く避ける素ぶりを見せない僕に、驚きの表情を隠しきれていない。
「…………!」
一歩、また一歩と女の子に近づく。ストーカーのような気分になるが、今は気にしている余裕はない。僕が近づく度に、女の子は警戒の色を強めていった。しかし、その警戒している顔には、少しの恐怖が見え隠れしていた。だから僕は……
「大丈夫だから……」
「…………!」
女の子の頭を優しく撫でた。いきなり抱きしめるなんて出来ないけど、出来るだけ女の子を慰める。まるで母のような気持ちになる。
「…………」
すると、女の子は静かに涙を流す。多分、今まで酷い目にあってきたのだろう。なら、もういいではないか。もう、幸せになっても、いいではないか。女の子にはもはや、戦意はなく、弓矢も手から離れていた。
「……この子、どうしようか……」
このまま、この場に放置なんて出来るわけない。かといって、一緒に行ってくれるかどうか……等と色々考えていると、リアスが声をかけてきた。
「私の魔法で、魔王城に転移させてあげよっか?もちろん客人として扱うようにするわよ?」
「うん、その方がいいね」
リアスが彼女を転移させようと、彼女に近づくと、彼女は何を思ったのか僕の腕に抱きついてきた。え?どうしたの?
「なっ!?何をしているんですか!?」
リルムがこの状況にいち早く反応して、僕達の所へ向かってきた。いや……そんなジト目で見られても……。
「わっ、私も!」
そう言うと、リルムも僕の腕に抱きついてきた。いや、あのちょっと……。僕が困惑していると、彼女は袖をちょいちょいとして、廊下の向こうを指差した。
「……あっちに行けって事?」
「………(コクコク)
彼女に誘われるままに移動すると、階段が見えてきた。何も特徴がない普通の階段だった。
「この上に魔王様達がいるの?」
「………(?)」
この子にも分からないらしい。でも、この子は、この屋敷の間取りが分かっているらしい。これほど心強い味方はないない。僕は、少し希望が見えたような感じがして、足取りが軽くなっていた。
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