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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
1章 魔界に来ちゃったそうですよ?
3/52

3話 魔王様(女)達の食べ物は凄いらしいですよ?

沢山のブクマありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします!

「うわぁぁぁぁぁ!?」


 僕は今、全速力で逃げている。何故かって?それは…


「魔王様の伴侶というのはアイツのことか!?」

「えぇ!間違いないわ!!」

「どんな方なんだ!?」


 後ろから魔王様の下っ端らしきモンスターが一斉に押し寄せて来てるからだ。モンスターは子供ぐらいの大きさの奴もいれば、ダンプカーぐらい大きいのまでいる。それに、追ってきてるモンスターの数を一瞬見ただけでも数十匹はいる。あんなのに捕まったら押しつぶされる!!


「ただ道を聞こうとしただけなのに、なんでこうなった!?」


 洗面所への行き方が分からず、近くにいたモンスターに道を聞いたら、なんか興奮しだして仲間をどんどん呼んできた。そして、こんな状態になってるというわけだ。くそっ!


 道を右往左往に曲がり撒こうとするが、何故か撒けない…あぁもう!しつこい!!そんな事を思っていると、正面に見たことがある人がいた。


「あぁ!!見つけたぞ!!さっきはよくも…!」


 そこには、先ほどまで話していた…えっと、名前なんだっけ?あぁ、そうだそうだ残イケだ。魔王様の下着の色とか聞いてきた変態だ。マジで残イケ。って、今アイツに構っている場合じゃない!!


「どいてどいてどいて!!」

「は?…って、えぇぇぇ!?」


 彼は、ようやく僕の置かれている状況を理解したようだ。僕は、彼の隣を横切って逃げた。


「お前たち止まっ、うわぁぁぁ!!」


 なんか聞こえた気がするが、気のせいだろう。僕は悪くない僕は悪くない…。


(…!あそこなら!)


 目線の先には、半開きのドアがあった。なんか他の扉より豪華だけど、今はそれどころじゃない!!


 バタンッ!


「あれ?どこった?」

「あっちの方じゃない?」

「探せ!!」


 バタバタバタッ…


「…行ったか…?」


 扉に耳を当て、モンスター達がどこかへ行ったことを確認する。話し声や足音が聞こえなくなったから恐らく行っただろう。助かった〜…。僕は扉に背を預け、ふぅ〜…と息を吐いた。


「ところで…ここはどこだ?」


 慌てて入ったから、まだ自分がいる場所を把握していない。


「なんか、他の部屋より豪華だなぁ〜…扉も豪華だったし…」


 他の部屋も豪華だけど、ここは特に豪華だ。なんか、場違い感が否めない…。そんな事を考えてたら、奥の扉の向こうから何やら物音が聞こえる。


(…まさか、幽霊とかじゃないよね…?)


 いや…、ここは魔王城で、住人は人ではないのだ。ここに幽霊がいてもなにもおかしくは…


 ガチャッ


「!!??」


 いきなりドアノブが回り出し、キィーという音を立てながら、ドアが開かれていく。ごくっと固唾を呑み、ドアを見ている。そして、ドアから出てきたのは…


「ふぅ〜スッキリした!って、あれ?」

「…………」


 魔王様だった。その姿は、バスタオル一枚だけで、先ほどのレディースよりも刺激が強い。レディースだけで、動揺していた僕が、そんな姿を見たら当然…


 バタッ!


「菜糸君!?」


 ぶっ倒れた。許容範囲をはるかに超え、目の前に現れた美貌への処理が間に合わず、オーバーヒートしたのだ。そこからの記憶はない…。。。


  ◇ ◇ ◇


「………はっ!?」


 目を覚ますと、僕は元から寝ていたベットに横になっていた。そして、横を見ると…


「うわっ!?」


 鬼の形相でこちらに刃を向けている残イケがいた…。ところどころに包帯や湿布が貼ってある。なんかごめん…。って、それどころではない。


「えっ!?なんで僕、刃を突き立てられてんの!?」

「お前は魔王様の裸を見たという重罪を犯したからだ。その罪は万死に値する」


 いや、あれは事故なんだって…。それに僕、何故かあまり思い出せないし…。そんな言い訳も聞かんと言わんばかりの殺気だ。って、あれ?


「じゃあなんで僕を殺さなかったの?」


 寝ていて無防備だった僕を殺すなんて造作もなかったはずだ。現に今にも殺してしまいたいという目をしているのに…。


「殺したい…殺したいともさ!!だけどな…!!」


 彼の手が一目で分かるまでにプルプル震えていた。そして、彼は涙を流して、嗚咽とも思えるような声で…


「魔王様に『菜糸君のこと…よろしく頼みますね…?』なんて上目遣いで頼まれたら、殺すなんてできるはずがないではないか…!!」


 その顔は、もはや絶望とも言えるような顔をしていた。恐らく、彼にとってはとてつもなく残酷な選択だったのだろう…。でも、僕には関係ない事だ。


 ガチャッ


「果物などを貰ってきましたよ!…って、菜糸君!!気が付いたんですか!?気分は悪くないですか!?」


 部屋の扉が開かれ、魔王様が入ってきた。彼女は僕を見るなり、小走りで駆け寄って心配してくれた。走り方がすごく可愛い…。その手には、籠一杯の果物が…って、何あれ?果物に顔があるんだけど…?リンゴらしきものに関しては、呻き声が聞こえるんですけど…?


「菜糸さん!今から貰ってきた果物剥きますね!」

『ぎゃぁぁぁ!!』

『た、助けっ...がっ!?』

「あ、ありがとうございます…。ですが、その果物を切るたび悲鳴みたいなのが聞こえるんですが…?」

「…?それがどうかしましたか?っと、出来ました!どうぞ!」

「…ありがとうございます…」


 彼女は、何もなかったように切った果物を差し出す。今の彼女を見て、どんなに可愛くてもやはり彼女は魔王様なのだと実感した。僕は、渡された果物を見て、さっきの悲鳴を思い出す。


(た、食べずらい…)


 さっきの光景を見て、なんの抵抗もなく食べれる方がどうかしている。彼女が、なかなか自分が剥いたリンゴを僕が食べないのを見て、心配そうに訪ねてきた。


「あの…お口に合わなかったでしょうか…?」

「…!全然そんな事は…!」

「何!?魔王様の物を食べれないと言うのか!?」

「お前は黙ってろ!!」


 残イケの余計な言葉で、魔王様が悲しそうな顔をしている。くっ!ここは彼女に悲しい顔をさせないために、腹を括って食べるしかない。僕は、目を瞑り勢いよく果物にかぶりついた。


 シャクッ


「んぐっんぐっ…、んぐんっ…。美味しい…!」

「…!!よかったです!」


 僕の言葉に彼女は、とても嬉しそうな顔をしている。残イケは、その様子を見て真っ白になっているが、放っておこう。でも、あのグロテスクな果物がこんなに美味しいとは…。物は見た目で判断してはいけないな…。


「では、菜糸君も目が覚めたことですし、朝ごはんにしましょう!」


 そういえば、この世界に来て、この果物以外何も口にしていない。していないというか口にする勇気がなかった…。だって、こっちの食べ物全てグロいんだもん…。でも、さっきので印象が変わったからいけるかな?


「今日は私が作ろうと思います!」

「「……え?」」


 この時始めて残イケと僕の言葉がシンクロした…。





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