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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
3章 魔王様の婚約者登場するようですよ?
23/52

23話 魔王様(女)の婚約相手は酷いらしいですよ?

「『仕方ない』か……」


菜糸君が飛び出していった後、私は自分の部屋で一人そんな事を呟いた。言葉自体間違ってはいない。この婚約を破棄すれば、ロズイルの家と戦争が勃発してしまう。だから、婚約をしてしまうのは仕方ない……。だけど、それと私の気持ちが一緒というわけではない。出来る事なら、菜糸君と結婚して甘々な結婚生活を……って考えてしまう。


「菜糸君……」


ふと愛しい人の名前を呼ぶ。優しくて、それでいて強くて……カッコいい人。多分菜糸君は覚えていないと思うけど、昔から全然変わっていない。だから、当時の私は菜糸君に惚れて、今まで想いが続いているのだろう。


「……っ」


だから、その人を思い出すだけで涙が溢れてくる。報われない恋だと知って……。胸が苦しい。切なくて苦しくて寂しくて……。


「結婚なんて……したくない……」


周りに人はいない。だから、自分の弱さを思い切り晒す。魔力も、力もある。でも、それだけが私じゃない。私は……弱い。


「誰か助けて……」


そんな決して届かない想いを呟いた。


◇ ◇ ◇


「そういえば、何でロズイルは魔王様と婚約したがるんだ?」


今、リルムと一緒に食堂でお茶を飲んでいる。そこで、ロズイルが何故魔王様と結婚したがるかを聞く。確かにあの容姿に性格だから、周りの奴らはほっとかないと思うけど、なんかそれだけじゃない気がする。


「容姿などもあると思うけど……多分目的は権力と魔王様の体……だと思う……」

「体ってどういう事……?」

「それは……」


リルムは言いづらそうに目を逸らす。そして覚悟が決まったのか小さく深呼吸してーー


「魔王様を弄びたい……という事だよ……」

「っ……!」


そう告げた。僕はその言葉を聞いた瞬間、反射的に椅子から立ち上がる。リルムの言っている事を理解するのにそう時間はかからなかった。つまりロズイルはーー


「魔王様の気持ちなんて少しも考えてないって事かよ……!」


その事実は、僕の中にある怒りを爆発させるには十分だった。ただ私利私欲のためだけに魔王様を利用するって事か……!何が政略結婚だ……ただ自分が楽に暮らすために魔王様を犠牲にするだけ……。


「これまでもロズイルは何人もの女性と結婚してきた。それも、今回のように言いくるめて……。そして、結婚したらお金と体を存分に楽しんだら捨てる……それがロズイルのやり方だ……」

「…………」


確信した。ロズイルは魔王様と結婚に値しないゴミという事に。この事実だけで僕は十分だ。だから僕はーー


「おやおや……面白い話をしていますね……?」

「「!?」」


僕の耳元で、聞くだけで嫌悪感が溢れるような声が聞こえた。


「ロズイル……!」

「なんで……さっきまでいなかったのに……!」


足音も気配も感じなかった。まるで、僕の背後に瞬間移動でもしたかのように……。僕は咄嗟に朝稽古で使った剣を構えた。いくら本物ではなくても、無いよりはマシな筈だ。


「そんなに警戒しなくていいじゃないですかですか。私はただ、お二人が何やら楽しそうなお話をしていらっしゃったので、一緒に混ぜてもらおうとしただけじゃないですか」

「ふざけないで!貴方は先程帰った筈……!」


あの時、確かに出口の方へ向かっていた筈だ。こいつがこの場所にいない筈なのに……!


「いやいや……少し忘れ物をしてしまいましてね……」

「忘れ物……?」


ロズイルはそう言うと、マントを一回バサッとする。すると、マントの陰から魔王様が現れた。


「……!?魔王様……!!」


そこには力なくぐったりしている魔王様がおり、それをロズイルはいやらしい笑みを浮かべ眺めている。早く助けないと……!そう思い僕は、すぐさま魔王様を助けに飛びつき、手を伸ばす。


「……!!すり抜けた……!?」


しかし、その手は空気を掴んでいた。確かにそこにあった魔王様とロズイルが、まるで煙のように僕の手をするりと抜けだし消えたのだ。そして、消えたロズイルと魔王様は、いつのまにか僕達の背後に回り込んでいた。


「そう早まらないでくださいよ。私はただ、魔王様を取りにきただけなのですから」

「魔王様を道具扱いするな!!」


ロズイルの、まるで魔王様を道具のように見ている物言いに怒りを覚える。ロズイルは今まで女性達をこういう風に“道具”として扱ってきたのだろう。だからーー


「お前に魔王様を渡してたまるか!!」


魔王様を絶対に渡さない……!!しかし、その言葉を聞いたロズイルは目元を手で隠して、笑いを堪えている。


「くくくっ……」

「何がおかしい!!」


そう叫ぶが、ロズイルが笑いが収まる気配はない。まるで、滑稽な僕を笑っているかのように、僕を見ながら笑っている。


「『絶対に渡さない』…か。これは滑稽ですね!貴方に!そんな力があるのですか!!」

「くっ……!」


その言葉は、事実だからこそ僕に突き刺さる。残酷な現実を突きつけてくる。僕では魔王様を……助けられない……。


「諦めるのはまだ、早いよ!」

「えっ……?」


そう言われ横を見ると、何やら体から煙が出ているリルムがロズイルを睨みつけながら立っていた。














お読みくださって、ありがとうございました!

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