20話 魔王様(女)の城の住人が転んだようですよ?
これからは、あとがきをなるべく書きたいと思います!
「いてててっ……」
早朝。僕は、グンセオの稽古を受けていた。流石に稽古というだけあって、全身筋肉痛になった。剣は本物ではなくなったけど、それでも体に当たれば痛い。痣なども最近増えたな……。
「…………」
「ん?」
そんな事を思っていると、曲がり角の陰からこちらをじっと睨んでいる女の子に気づいた。黒髪ショートカットで少し幼さが残る顔、身長は僕の肩辺りぐらいまであるだろうか?しかし、睨んでいるにしては、瞳に熱がこもっているような……。
「よしっ……!」
そう小さく呟くと、女の子は胸の前で小さくガッツポーズをして、意を決したように角の陰から飛び出した。
「ふゆっ!?」
しかし、思い切り飛び出したせいで、壁の角に足が引っかかってしまい、何も受け身をとれずに思い切り地面へと激突した。……結構すごい音がした。なかなか出ないよ?バコンッ!なんて音……。って!冷静に解説している場合じゃない!
「だっ、大丈夫!?」
僕は急いで女の子に駆け寄り、女の子を抱え起こす。どうやら転んだ時に頭をぶつけてしまったらしく、目を回して「きゅー……」と言っている。幸いにも、女の子は全然重くなく、小柄だったから僕でも抱き上げられた。
「抱き上げたのはいいものの……これからどうしよう……」
この女の子をこのまま放置するなんて出来ないし、かといって、この子を寝かせられる場所が思いつかない……。僕の部屋に連れ込んだら多分、社会的に死ぬ……!
「ん?あれって……」
そこには、扉に救護室という張り紙が貼ってある部屋を見つけた。いやいや……都合良すぎるだろ……。なんて事を考えたが、今は有難い。早くこの子も安静にさせてあげたいし。
ガラッ
「すみませーん。ちょと女の子が転んじゃってーーって、あれ?」
ドアを開け、女の子の状態を説明しようとしたら部屋の中には誰もいなく、ベット数台と薬品棚があるだけだった。薬品や消毒の匂いが鼻腔を刺激する。……何故かこの匂いは好きになれない。何故だろう……?
「とにかく、この子を寝かせなくちゃ」
あと一応、応急手当をしておこう。僕は専門知識などは持ち合わせていないから、簡単な事しかできなけど……。
「よしっ……」
おでこの赤くなっている場所に湿布を貼り、その上にガーゼを当てテーピングする。仕上げに包帯を巻いてっと……これでいいはず。後は、この部屋にいつか戻ってくる先生に任せよう。
(さて、僕は部屋に戻るか……)
そう思い、ベットの脇にあった椅子から立ち上がると、袖の部分が引っ張られる感覚がした。袖の部分を見ると、先程転んだ女の子の手が、僕の袖を摘んでいた。女の子の顔を見ると、まだ寝ている。無意識なのかは分からないが、僕の袖を摘んで離してくれない。
(どうしよう……)
そっと指を解こうとしたが、力強く摘んでいるらしく全然解けない。というか、僕の力では指1本もビクともしなかった。男として、自分が情けない……。僕は、どうやっても離してくれないと分かり、この子が目を覚ますのを待つことした。まぁ、すぐに目覚めるだろうーー。
◇ ◇ ◇
「まだ起きないの……?」
あれから、かれこれ2時間。一向に目を覚まそうとしない……。流石に座っているのも辛いし、凄く暇だ。摘まれている服を脱いでいく手もあったが、もしこの子が起きて、自分の側に男物の服があったらどう思うだろう?大パニックか大混乱になるだろう。そして僕は、ロリコン変態男として今後の人生を生きていくことになる……。
(それだけは嫌だ……!)
僕は、最悪の展開になった状況を想像して頭を抱える。下手すれば、この状況も誤解される可能性もないとも言い切れない。だから、誤解される前に早くここから離れたいんだけど……。
ぐぐっぐ……
全然離れない。この力はどこから出ているんだ?無駄な抵抗も先程から試みてるが成果はない。どうしたものかと思い悩んでいたら……
「あんた、こんなところで何してんの?」
「うわっ!?」
急に背後から女性に声をかけられた。ばっと背後を見ると、茶髪の髪を後ろでまとめ、ダルそうな目で飴を舐めている白衣姿の女性が立っていた。その姿からして、ここの先生だろう。でも一応……
「あなたがこの部屋の先生?」
「ん?そうだが?」
僕は心の中でガッツポーズをする。これで女の子の怪我のことは安心できる事もあるが、何よりこの状況を何とかしてくれそうな気がする。
「あのですね……今、少し困ったことがあって……」
「私、昨日寝てないから今から寝るのよ。面倒事は勘弁ね。あっ、そうだ。あと3時間したら起こして。それじゃ、おやすみ〜」
「…………」
ちょっと待て。何故この状況で寝れる?あと、見ず知らずの僕に目覚ましを頼むなんて無防備すぎないか?一応僕は男だよ?変な事しちゃうかもしれないんだよ?(そんな度胸はないが……)なんて、いろいろツッコミたかったが、何より僕はある事を優先したい事があった。それはーー
◇ ◇ ◇
「ん……」
白衣を着た女性は、まだ眠気でぼぅっとしてる頭を徐々に回していく。確か、寝る前にここにいた男に目覚ましを頼んだはずだが……なんて、眠気を堪えながら考える。視線の先には、まだ女の子が寝ているが、男はいない。なんだよ、私を起こさず帰ったのか……などと少し男に苛立った。
(まぁ、苛立っても意味ないけどな)
ふぅっと体を起こそうとする。ーーが、何故か思ったように起き上がれない。そういえば、手足も動かないような……?
「って、なんだよこれ!」
女性は自分の状況を把握した。女性は、体を布団で巻かれ、その布団が外れないように包帯で結ばれていた。手足も動かないこの状況では自分で外すことはできない。そう、今ベットで寝ている女の子が目を覚まさなければ、女性は自由になれないということだ。
「あの男……!やってくれたね……!」
布団に巻かれながら女性はそう呟いた。
お読みくださり、ありがとうございました!これからはあとがきで色々お知らせや雑談をするので、よろしくお願いします!




