2話 魔王様(女)の部下が大変らしいですよ?
「ここは…?」
目を開けると、見慣れた天井が目に入る。自分が今横になっているベットも見覚えがある。なぜならここは…
「俺の部屋…?…なんだ…、あれはただの夢か…」
そうだよな、魔王様の手下に誘拐されて、魔王様にプロポーズされるなんて夢以外考えられない。なんだなんだ、夢か…。僕は、ホッと胸をなでおろす。でも、まぁ…満更でもない夢だったなぁ〜…なんて考えていたら、ある異変があることに気づいた。
「んっ…?」
そう…布団の中に何かがいるのだ。もぞもぞと動いているから物ではない事はすぐ分かった。僕は恐る恐る布団をめくってみると…
「えっ…?プリン…?」
そこには大きいプリンがあった。プリンなのにしっかり動いているのだ。僕は少しの好奇心でそのプリンをそっと触ってみたら…
「んっ…」
と、艶めかしい声が聞こえた。
「プッ…プリンが喋ったぁぁ!?」
あり得ない物を見た人は、ここまで驚けるのかというほど僕は驚いてしまった。その反動で、僕はベットから転げ落ちてしまった。
ドタンッ!!
◇ ◇ ◇
「ん〜…?」
僕はベットから落ちた衝撃で目が覚めた。辺りを見渡すと、豪華な絨毯やテーブルが見えた。…まさか、自分の部屋が夢だったとは…。がっくしと肩をおとし、ベットに戻ろうとしたら、ベットの上に誰かいるのに気づいた。誰だろうと見てみると…
「…!?」
横になっていたのは魔王様だった。まさか、さっきのプリンの夢って…そこまで考えた瞬間、僕の顔は真っ赤になった。魔王様は、ん〜…とまだ眠そうにしながら目を覚ました。普段の魔王様の髪は綺麗なストレートだが、今は沢山寝癖がついてしまっている。普段とのギャップに僕はドキッとしてしまった。
「ん〜…?おふぁようございます、菜糸君」
まだ少し寝ぼけているのか、緩みきった笑みをしている。まだウトウトしている魔王様を見て、朝に弱いのかな?と思った。
「おはようございっ!?」
「……?」
今彼女が着ている服はいわゆるレディースと呼ばれるものでだ。そこまではいい、問題ではないのだ。問題なのは、とても生地が薄い物を彼女は着ているという事だ。まだ見えていないが、彼女が少しでも動くと見えてしまいそうになる。僕は急いでこの部屋を出ることにした。
「で、では僕は顔を洗ってくるので…じゃ!」
急いでドアを開け、バタンッと閉めた。
「……?どうしたんだろう…?」
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「はぁ…僕には刺激が強すぎるよ…」
普通の女性だったらあそこまで同様はしていなかっただろう。しかし、世界一の美貌を持つ人のを見ると、誰でも動揺してしまうと思う。それに、あのプリンってやっぱり…うん、考えるのはやめよう。
「おい、そこの奴止まれ」
どこからか声が聞こえる。さすが魔王城…警備もしっかりしてるなぁ〜…などと感心しながら洗面所に向かう。…ってあれっ?洗面所ってどこだっけ?まぁ…適当に歩ってれば見つかるだろう…
「おい!そこの魔王様の寝巻きを見て興奮した男!お前だ!」
「べ、別に興奮なんてしてないしっ!?」
誰だ!?そんなありもしない事を言っているのは!?ってか、興奮する余裕なかったし!?
「ふっ、間違ってはいないだろう?」
そこに立っていたのは、いかにも幹部というオーラを纏った白髪のイケメンだった。相手を見下しているような態度が腹たつ…!
「魔王様の寝巻きを見て興奮しない奴など、この世にいるわけがないのだ!!」
すごく熱弁してるけど、何言ってんのこいつ?あぁ、そっか。アイツはいわゆる“残念イケメン”っていうやつか。うわぁ〜初めて見たよ残念イケメン。
「…なんだその目は?」
「いや、別に」
残念イケメンが、何やら言いたそうな顔でこちらを見ている。なんかこのセリフ『仲間にしますか?』みたいなコマンドが出てきそう。てか、残念イケメンって長いから、略して残イケって呼ぶことにしよう。よろしく残イケ。
「…まぁ良い…お前に聞きたいことがあってな…」
「聞きたいこと…?」
どうやら本題に入るらしい。先ほどまでとは打って変わり、凄い覇気を感じる。そこら辺の魔物なら怯ませられるのはと思わせるほどだ。
「…魔王様の…」
「…魔王様の…?」
「魔王様の下着は 何色だったのだ!?」
「………は?」
真剣に言っていたけど、何言ってんのこいつ?(2回目)。僕の頭の中でまた一つ残イケのキャラが追加された。『変態』と。
「お前は魔王様と一緒に寝られているんだぞ!?俺にだって、魔王様の下着の色を知る権利がある筈だ!!」
もう言っていることがめちゃくちゃだ。そもそも、俺だって魔王様と一緒に寝てたのなんて朝、始めてしったのだ。それに、下着の色なんて覚えていないし…ここは素直に言っておこう。
「魔王様の下着の色は、わか…」
「おいグンセオ!また魔王様に対してのストーカー行為をしようとしたのか?」
分からないと言おうとした瞬間、奥から青年が来た。その青年は容姿は整っていて、一目では人間と見分けられないほどだ。しかし、一つだけ大きな違いがあった。それは…背中の服が少し裂けているのだ。
「それを、直接魔王様の伴侶さんに聞くとは…」
「魔王様は俺と結ばれる運命なんだ!!」
「あーはいはい。その話は後でね。では菜糸さん、また今度」
「おい!?離せって!おい、メイガル!」
そう言ったあと、グンセオを担ぎ、どこかへ行ってしまった。僕は、あまりに急すぎる展開に追いつけなくなっていた……。