15話 魔王様(女)の四天王の二人が戦うらしいですよ?
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「いくぜっ……!!」
グンセオが地面を強く蹴り、バネのようにして相手との距離を詰める。その際、剣を大きく横に振りかぶり、思いっきり剣を振る。男はその攻撃を受け流し、グンセオが立ち直す前に魔剣をグンセオに突き出す。
「こっちだ!!」
「っ……!」
しかし、背後に回っていたガムイの拳により防がれる。男は横に大きく飛ぶ。その隙をグンセオは逃さず追撃に入る。剣を真下から振り上げ、男の態勢を崩す。そして、崩した所をガムイが拳を入れる。
「がっ……!?」
拳は見事に男の溝を捉え、殴られた衝撃により男の体は上へと吹っ飛ばされる。そのまま男は受け身を取れず、頭から地面に落ちていく。
ドコォン!!
大きな音と共に男の体は地面へと叩きつけられる。地面がひび割れ、その威力は一目瞭然だ。砂煙が舞い、男の様子がよく見えない。しかし、流石にあんな高い所から落ちたら立ち上がれないだろ……という僕の考えは、砂煙が晴れたと同時に崩れさる。
「ひひひひっ……これです!!この痛みです!!あぁ……!実に良い!!」
男は平然と立っており、苦しむどころか喜んでさえいる。手を頬に当て恍惚の表情をしていた。まるで、痛みを求めているように……。
「ちっ……狂ってやがるな……」
グンセオが煩わしそうに舌打ちする。剣を構えて直し、警戒態勢に入る。男も魔剣を握り直し、グンセオを興奮したような目で見ている。グンセオはその目に気づいたのか、ゾワっと体を震えたのが分かった。僕も男にあんな目で見られたらそうなると思う……。
「くそっ……!変態でもあんのかよ……!!」
「それ、お前が言うか?」
「あぁん!?」
確かに魔王様を変態的に愛してるからなぁ……。そう言われても仕方ないと思う。
「さぁさぁ!!今度はどんな痛みを与えてくれるのですかぁ!!」
うわぁ……男のドMって需要ないだろ……。でも、だからこそあいつは厄介だ。どんなに攻撃しても喜ぶだけだし……。
「貴方達から来ないなら……こちらから行かせてもらいますよ!!」
「っ……!?」
早い……!!先程よりも明らかにスピードが速くなっている。男がスッと消えたかと思ったら、一瞬にしてグンセオの前に現れた。僕だけではなく、グンセオにも見えてなかったらしい。
「ひひっ!!」
「ぐっ……!!」
「グンセオ!?」
いきなり目の前に現れた事で、反応が遅れてしまい防御する構えが出来なかった。一瞬の判断でグンセオは後ろへ飛んだが、魔剣は左肩を掠る。掠った左腕からは血が絶え間なく溢れ出ている。
「くっ……!!何でこんなに……!!」
確かに魔剣は掠ったが、それほど深い傷ではないはずだ。なのに、まるで腕を切り落とされた時のように血が溢れ出てくる。グンセオは手で傷を覆い、止血しようとするが、当然血は止まらない。
「ひひっ……!この剣は少し特殊でね……少しの傷からも毒を流し込めるんだよ。ん〜……少し傷が浅すぎたかね?血が溢れる程度にしか影響が出てないね〜……」
「俺を……甘く見んなよなぁ……こんな毒……慣れっこなんでね……」
毒に慣れている……?どういう事だ?そんな事を考えていたら、グンセオにある変化が訪れる。グンセオの体から何やら紫の靄が立ち昇っている。すると、グンセオの肩から溢れ出ていた血がみるみる内に止まっていく。
「ほぅ……これは驚きました……まさか自分で解毒してしまうとは」
「こんなのあの時に比べれば全然余裕なんだ……っよ!!」
そう言いながら、グンセオは男へと突っ込む。しかし、今回は飛ぶんではなく走って突っ込んでいる。そして、最初と同じように横に大きく振りかぶっている。
「おやおや……またそれですか。2度は同じ手は通じませんよ?」
男はそう言い、魔剣でグンセオの剣を受け止める。やはり相手に刃は届かない。
「それはどうかな……?」
「何……?」
「ガムイ!!今だ!!」
「っ……!?」
グンセオの掛け声に男はハッとし、顔を上げる。しかし、ガムイがどこにもいない。思わず僕もガムイを目で探す。しかし、やはりどこにもいない。どこ行ったんだ……?と僕が訝しでいると、
「ちゃんとその変態を抑えとけよっ!」
と、ガムイの声が聞こえる。この声は……上からか!!男もそれに気づいたのか上を見上げる。僕も上を見ると、そこには狼の姿になっているガムイがいた。綺麗な銀毛に鮮やかな黄色の鋭い目、大きさは僕よりも一回り大きい。見た目は、人型の狼のような感じだ。でも、腕の筋肉などが並ではないほど大きい。あんなのに殴られたらひとたまりないだろう。
「ガムイ!!」
「ぐぉおぉおお!!」
ガムイさんが雄叫びと共に男に飛びかかる。すると、ガムイさんの指から大きく鋭い爪が飛び出した。刃渡り20cmくらいだろうか?その爪でーー
「どらぁ!!」
「ぐぁああぁ!?」
男の顔を引っ掻いた。引っ掻かれた顔からは大量の血が溢れ出す。そこら辺にいる猫の引っ掻き傷などと比べられないほど深い引っ掻き傷。恐らく一生残る傷になるだろう。男はそのまま力なく後ろへばたりと倒れる。
「流石に痛みによるショックで気絶したか」
いくら痛みが好きと言ってもこれには耐えられなかったらしい。後はこの男を縛って拘束したら一件落着……
『それは困るな〜……』
「……!?」
この男同様に部屋に響き渡る声……。嫌な予感がする。この男が現れる前より断然強い嫌な予感……。
ドコォン!!
その瞬間、壁が爆発したように弾けとんだ。そこには……
ーー羽の生えた“化け物”が立っていた……。




