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ある男子高校生が魔王(女)に惚れられたらしいですよ?  作者: 高良 トウ
2章 魔界に異変が起こったそうですよ?
14/52

14話 魔王様(女)を助けに来たらしいですよ?

「っ……!魔王様!!ここから早くお逃げください!!」

「でっ、でも!!それにリアスちゃんはどうするの!?」

「魔王様に何かあれば、この魔界はどうなるんですか!?それに、魔王様がいなくなったら……!」


 リアスは今の状況をいち早く理解し、魔王様をこの部屋から遠ざけようとする。当然だ。魔王様が殺されてしまったら、魔界を治める者がいなくなり、魔界は一瞬にして崩れてしまう。そう考えると、リアスの判断は妥当だ。でも、恐らくリアス自身の願いの方が強いだろう。しかしーー


「お断りします!!ここで部下を見捨てるような魔王であれば、この先、たとえ生きたとしても魔界を治めるなどできるはずがありません!!」

「……っ!」


 魔王様はそう言い放ち、攻撃体制に入る。まぁ、こうなる事は今までの魔王様を見ていれば容易に想像はできたけどね。魔王という立場を誇りに思っている魔王様を見てれいれば。


「あらあら。なんて美しい覚悟なのでしょう〜」


 男は、馬鹿にするかのような口ぶりで魔王様を褒める。その態度に僕はイラっとする。でも、我慢我慢……。挑発に乗ったら相手の思う壺なのだから。僕って、こんなに切れやすかったっけ……?


「さて……お遊びはここまでにしましょうか」

「お遊びって……」


 あれがお遊び……?メイゲルを一撃で落とし、魔王様にあんなに警戒させるのが……お遊び?僕の背筋に何か冷たいものを感じた。それは、紛れもない“恐怖”なのだろう……。


「ここで皆さんに……“死んで頂かないといけない”ので」

「っ……!?魔王様逃げて!!」


 これは流石にやばい!!男が持っている魔剣に闇の魔力が凝縮されていっている。魔剣は、闇の魔力を吸い取ったせいか、徐々にドス黒くなっていく。魔力を取り込む度に周りの壁や床にヒビが入る。いや、ヒビだけでは済まされていない。床が割れ、大地が揺れている。


「これ程の力なのか……闇の力ってのは!?」


 思っていたよりも強力じゃないかよ!!リアスは魔王様をコウモリで覆って守っている。しかし、魔王様を守るので手一杯なのか自分の守りは薄い。あれでは、男の攻撃はあまり防げないだろう。てか、僕も人の心配をしている場合じゃない!早くここから脱出しないと!!


「あら〜?もしかして、この私から逃げれると思っているの〜?」


 男はそう言い、魔剣を一振りする。その狙いは、僕でも魔王様でもリアスでもなく……


 ドカンッ!!


 唯一脱出出来る入り口だった。これでは外に逃げられない……!!ここは洞窟。穴を掘るにも道具があるはずもなく、抜け穴なども無い。これでは皆仲良く生き埋めだ。でも……


「このままじゃお前も生き埋めになるぞ!!」

「私ですか〜?私はテレポートが使えるので問題ありませ〜ん」


 くっ……そんな能力を持っていたのか……!だからさっきから余裕の態度だったのか……!


「大丈夫ですよ菜糸君」

「えっ……?」


 いつのまにか魔王様はリアスのコウモリの守りを説いており、魔力を発動させていた。それは、魔王様から出ている赤い魔力で一目瞭然だ。ここに来る前にも一度見たからね。


「こんな洞窟、私の魔法で一撃で吹っ飛ばしますよ!」


 なるほど、その手があったか!!ここは僕がいた世界ではない。魔界なのだ。魔法という概念も当然存在しており、魔王様はそれを使える。魔王様の魔力ならこんな洞窟なんて余裕だろう。しかし……


「そんな大きな魔法を使ったら、近くにいる貴女のお仲間も巻き込んじゃうのではないですか?」

「くっ……!」


 確かにその通りだ。僕やリアスならまだしも、今気絶しているメイゲルは確実に巻き込んでしまう。担いで逃げるという選択肢もあるが、リアスはメイゲルを担げる筋力はない。僕も、メイゲルを担ぎながら岩などを避けるなんて不可能だろう。


「あらあら〜。逃げ道なくなってしまいましたね〜」


 どこまでも陽気のそんな事を言っている。僕たちは悔しそうに男を睨みつける。他に方法はないのか……!何か、皆が助かる方法が……!


「さて……終わらせますか」


 再び魔剣に闇の魔力が溜まり始める。この狭い部屋で、僕たちを狙ってあんな攻撃がきたら、絶対に避けられないだろう。“絶体絶命”……今の僕たちにぴったりの言葉だ。男は魔剣を大きく振り上げ、その魔剣を勢いよく振りかぶる。それが、本当の未来だろう。


 ドンッ!!


「何っ!?」


 先程埋められた出入り口にあった岩が弾けとばなければ……。


「魔王様も気配がここら辺からする」

「また変態発言か?程々にしろよグンセオ?」

「うるせぇんだよガムイ!」


 そこから現れたのは、見慣れた白髪と男の髪とは思えないほど綺麗な銀髪。そして、剣とナックル。間違えるはずがない。間違えるには印象が強すぎる白髪銀髪コンビ。


「グンセオにガムイさん!!」


 魔王四天王の残りの二人だ。


「おいおい!!何でガムイには“さん”付で俺には何もないんだ!!」

「そういう小さいところが尊敬されない一つの理由なんじゃねぇか?」

「うるせぇ!!」


 口喧嘩……というより、グンセオが一方的に突っかかっているだけだが。そしてーー


「あらあら!!新しい方ですか!!」

「あぁん?なんだてめぇ?」


 男が喜んでいる姿をみて、グンセオはイラついた。僕と同じ感じなのだろうか?など思っておると、グンセオはある事に気付いた。


「それは……魔剣ゲルシャル……。なるほどな……」


 グンセオはおおよその事を察したらしく、戦闘態勢に入る。ガムイもグンセオと同様に構える。


「ここでぶっつぶしてやんよ」


 こうして、グンセオとガムイによる男との勝負が始まった。







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