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03 安定して不安

「見てこれ凪」

「……何それ」

「マッチ棒パズル」

「……景、飽きたの?」

「飽きたわ」


 図書館にいた。もう冬だった。

 日中の図書館には暖気がこもっていて、のんびりと読書する人や、勉強する人、調べものをする人なんかが穏やかな空気を作っている。

 僕の前には高三生用の数学の教科書が広がっていて、一方景の前にはまっさらなノートと、ペンケースの中身をすべて吐き出したマッチ棒パズルが広がっている。


「これ何本動かすの?」

「二本」


 小声で尋ねて、その言葉にちょっと考えてみたけど、わからなかった。頭がぼーっとしていた。僕もペンを置いて、目元を揉んだ。


 何もわからなかった。


 背伸びして、んん、と小さく声を出すと景も手を組んで腕を伸ばした。そしてふたりで、はあ、と力を抜いて。


「出よっか」


 と。どちらともなく図書館から出ることになった。



 あの日、僕が伊万里景の友達になってから半年。まるでひとかけらも『世界の秘密』とやらは姿を見せなかった。

 インターネットは何も教えてくれなかった。図書館も何も教えてくれなかった。わざわざ大学図書館まで行って、論文検索までしたけれど、何も。本当に何もわからなかった。


 陰謀だ!と景が興奮したのも束の間。何もわからないというのがわかったのが大体調査開始から二週間までで、それから先に全く進展がなければ、どうやってもモチベーションは落ちてくる。


 もはや調べるアテもなく、停滞した状況で、もしかしたらいつか何か役に立つかも、なんて漠然とした予測の下に高校の勉強をしていた。頭は良くなったかもしれないけど、それだけ。


 何の進展もなかった。



「うわ、さむ」


 外に出ればようやく本当の冬の冷気がやってきた。景は身体を抱えたけれど、僕の茹ったような頭には、このくらい冷たいほうが気持ちいい。


「どこに行く?」


 と、そんなことを聞かれたって、僕らには大したアテがあるわけでもなくて。

 図書館から出た先で、正面の車線の多い大きな道路と、左右に並ぶ冬の桜、それから分厚い曇りの空を見回して、どこか殺風景なその眺めに、物悲しいものを感じて。


「じゃあ、千都のとこでも行こうか」


 と、結局いつも通りの選択をすることになった。

 あるいはそれも、僕らの停滞の一原因なのかもしれない。



*



「いらっしゃいませー……、ってなんだあんたらか。おとうさーん、あたし休憩入るわー」


 いつもの洋食店に入ってすぐ、千都がいた。席に案内しようと近付いてきて僕たちを認めてすぐ、すぐに労働を中断することに決めたらしい。カウンターに呼びかけると、「はいよー」と声が返ってきて、僕らは奥の席に三人で座った。


 マフラーとコートを脱ぎながらメニューを広げる。今日は何を食べようかって、ちょっと昼食には早いような気もしたけれど。


「あんたら今日も図書館行ってたの? よく飽きないねえ」

「もうとっくの昔に飽きたわよ」


 本当に飽き飽き、という調子で景が言った。僕も同感だった。これじゃあまるで受験生だ。大学なんて行くアテもないのに。


「私ハンバーグドリアね」


 早くも景が注文を決めてしまったので僕もメニューを眺める。


「じゃあ僕はコロッケ定食」

「はいはーい」


 それだけ言うと、千都がカウンターの方に向かって行ってくれる。いつもの流れだ。

 結構昔はどれを食べるかを悩むタイプだったんだけど、この店のメニューをほとんど把握できるようになったからか、それとも景につられたからか、かなり早く決められるようになった。食べるの自体はあんまり早くならなかったけど。


 メニューを畳んで端に寄せていたら、景が僕を見ていることに気が付いた。


「何?」

「前から思ってたけどさ、なんでコロッケでご飯が食べられるの? 穀物と穀物じゃない」

「お好み焼きとご飯みたいなものじゃないの?」

「じゃあたこ焼きでご飯を食べるの?」

「たこ焼きに餅入れたりするでしょ」

「えー?」


 こういう、普通の友達みたいな会話が増えた。『世界の秘密』、なんて仰々しい言葉で始まった関係だったのに、いつの間にか。

 気付けば僕は伊万里さんのことを景と呼ぶようになって、二瀬さんのことを千都と呼ぶようになって。


 なんだか、普通に生活していた。


「お通しでーす」


 と言いながら、千都が戻ってきた。シーザーサラダの大皿をひとつ、取り皿を三つ持って。僕は結構一気に取り分けるタイプ。千都はちまちま取り分けるタイプ。景は一気に取り分けた後、さらにどんどん食べ進めていくタイプ。大体大皿の半分くらいは景が食べてしまう。

 千都はエプロンを外して椅子に掛けながら腰を下ろして、僕らに尋ねる。


「何の話してたの?」

「コロッケとご飯の食べ合わせは穀物と穀物だから正しくないんじゃないかって話」

「しょうもないこと話してるなあ」


 本当にしょうもないよなあと思った。千都はそれから「ていうか店のメニューに妙なケチをつけるんじゃない」と言って自分の分のサラダを取り分ける。


「確かにそうよね……。なんか最近、ただ生きてるだけっていうか……」

「そんなんみんなそうでしょ。幸せならなんだっていいんじゃない?」


 それから千都は席を立って、店内のテレビのスイッチを入れた。流れてきたのは、CITRUS の冠番組。今人気絶頂の六人の女の子が出演している。


「お、景出てんじゃん」

「だから私じゃないって」

「じゃあ景のそっくりさん」


 景はちょっと嫌そうな顔をしたけれど、千都はチャンネルを変える気はないらしく、そのまま画面に注目し続ける。


「そっか……。こっちの時間制限もあるんだっけ……」


 景はそう呟いて、僕にはその『時間制限』の意味もよくわかった。

 CITRUS は半年の間に急成長した。最近は街を出歩いてるときも、よく『CITRUS の伊万里景』として認識されてしまって、身動きが取りづらくなってきている。冬の間は厚着やマフラーで印象をぼかすこともできるけれど、これから薄着になる季節が来れば、よりわかりやすくなってしまうかもしれない。


「早くこのグループ解散しないかな」

「それはちょっとひどくない?」

「そうそう、ちゃんと応援してやりなよ。そっくりさんを」


 景の言葉に突っ込むと、千都も便乗してくる。画面の中では『CITRUS の伊万里景』がメンバーのボケに冷静に突っ込みを入れていて、こっちとは逆の構図ができていた。


「そういえばさ、アイドルがトークとかやって大丈夫なの? これ複製されない?」

「あれは台本混ぜてるの。他人が作成した定型台詞を混ぜると、複製作成の時にぐちゃっとなって上手くいかないから」


 千都の疑問に、景が答える。僕もそれは前に聞いていた。

 一時間のコミュニケーションログで複製は可能になる。けどそれがどんなやり方であれ、元人格の自由意志から発せられる言動以外の不純物が混ざってしまえば、複製人格の作成は上手くいかなくなる。


「景って調整人格がどうとか言ったりそういうの詳しいけどさ、ほんとに何も知らないの? 人格複製のシステム」


 と、僕が今更ながらに尋ねてみれば、


「自販機のボタン同時押しでコーラが二本出るって裏技を知ってる子供が、自販機の中身を隅々まで知り尽くしてると思う?」


 ばっさり。かなり説得力のある例えで。

 まあそりゃあ、そんなこと知ってるんだったら、いくら景だってもっと早く言うよなあ、とテレビ視聴に戻る。あの日のドーナツみたいな髪型をしてた子はどの子だっけ、と思いながら。すると千都がふと。


「でも景、なんでそういう裏技知ってんの? 実験したわけ?」

「アイドルデビューのときに教わった」

「え?」「え?」


 千都と声を合わせてしまった。景に目線を向けると彼女は、言ってなかったっけ?と言わんばかりに首を傾げて。


「私、ちょっとの間CITRUS で活動してたから。途中であっちの人に投げたの。だからそのへんの知識は大体受け売り。調整人格の作成はたまたま実験成功したって感じだけど」

「え、じゃああれほんとに景じゃん」

「だから違うって」

「へー、そうだったんだ」


 知らなかったな、と呟いてから、僕も気になることができた。


「あれ、じゃあ芸能事務所ってそういうの詳しいの?」

「あれは試行錯誤の結果じゃないかなあ。ていうか、私が芸能関係者と接触するとややこしいことになるし、そっちから探るのは辞めといた方がいいよ」


 そっかあ、と潔く諦める。危ういところには近付かないのが吉だ。確かに人気絶頂アイドルの複製(一応こっちが元だけど)の存在なんて、バレてしまえば色々と面倒事が起こりそうだ。

 大人しくテレビを見ていると、千都が呼ばれてカウンターの方に向かう。そろそろ料理ができたみたいだ。


「あ、そうだ。じゃあ景ってなんでCITRUS に……」

「それよりも」


 遮られる。もうちょっと景は僕の話を聞いてくれてもいいんじゃないかな、というのが最近の正直な感想だ。


「凪も最近そろそろ良くないことになってきたでしょ」

「え?」

「複製、何人になったの」


 言われて、スマホを取り出す。『Life ID』を起動して、僕と同一の人格を持つ”僕”の数を調べてみれば。


「……四十七」


 僕も合わせれば、四十八の”僕”。景は目を細めて、小さく唇を動かす。


「……節操なし」

「ちょ、ちょっと待ってよ! 仕方ないじゃん、複製作成なんて僕からじゃ止めようがないんだし!」

「会う人会う人にしっぽ振ってるからそんなことになるのよ。『ぼくをひろわないでください』って書いた首輪でもつけておいたら? それとも私から贈ってほしい?」


 景の嫌味に、う、と詰まる。

 でも、確かに最近の複製の増加速度は異常だ。今までは五年で三十くらいだったのが、半年で十五近く増えた。単純計算で五倍のペース。複製は元人格からじゃなくても可能だから、確かに人数が増えていけば増えていくほど、複製を作られる回数も増えていくんだろうけど。


「お待たせしましたー」


 と千都がやってきた。僕のコロッケ定食と、景のハンバーグドリアを置いて、それから少し早足でもう一度カウンターとの間を往復して、自分の分のオムライスも。


「千都も最近見たんじゃない?」

「何が?」


 いただきます、と千都が手を合わせていると、素早くもすでにスプーンを片手に持った景が話を振る。


「凪のこと。そのへんでよく見るようになってない?」

「あー……、うん。凪って、駅裏の古本屋でバイトしてる?」

「してないけど」

「じゃあ複製だなあ……」


 駅裏の古本屋?と首を傾げたけれど、すぐに思い出した。確かにそこには二週間くらい前に行ったことがある。景が「寝る」と言って帰宅してしまってから、僕が児童館に戻るまでのわずかな時間。インターネットみたいな新しいものに何も手がかりがないなら、いっそ古いものはどうか、なんて考えて立ち寄った場所。


「ええ……? あのくらいで複製作られちゃうんだ」


 確かにそのとき、店番の大学生くらいの人と会話をしたけれど、そんなに長い間だった覚えはない。精々が作成可能時間の下限ギリギリがいいところだ。僕との会話だけで複製が作られたのか、それともその後、他の”僕”がその本屋に立ち寄って、そのときに作られたのか。どちらが真実かはわからないけれど、仮に前者だったとして、そんなことで複製を作られてしまえば、それこそ景のように誰とも話さないくらいしか僕には防ぐ手段がなくなってしまう。

 そんなことを考えている僕に、景はスプーンをよどみなく動かしながら、厳しい言葉を投げつける。


「隙だらけだからでしょ。実際複製作られたら大人しく働いちゃうんだから、中身はともかく、せめて表面だけでももっととっつきづらい空気作りなさいって」

「うーん、でも僕ひとりが頑張ったところで、どうせ他の”僕”から増えちゃうしなあ……。あ、景。また口元にソースついてるよ」

「拭いて」

「はいはい」

「そういうところがダメだって言ってるの」

「えー……」


 テーブル端のナプキンを手に取ったところで、景にそれを奪い取られた。その光景を横で見ていた千都は呆れたように笑った。


「あー、でもさ。確かに最近なんか複製作成の頻度上がってるよ。あたしの複製も最近十五近くなったし」


 と、千都はフォローしてくれたけれど、それにも驚いた。

 千都と最初に会ったときの”千都”の総数は三人だったはずだ。この店で働く千都。学校に通う千都。それから学校の外部で生活するようになった友達と過ごす千都。それが半年で五倍だ。元々交友関係が広いタイプではないと言っていた千都がこれだけ増えるのは、やっぱりちょっと異常にも思える。

 景が食事をする手を止めて、ぼそっと呟いた。


「……なんか、あんまり雲行きが良くないわね」


 と。その気持ちはわかったから、僕もそれを取り繕うことはしなかった。

 複製技術の使用ハードルはどんどん下がっている。それから、こっちはあんまり詳しくないんだけど、どうも複製作成のための必要コミュニケーション時間も減ってきている気がする。


 仕組みがよくわからない技術が、急速に世界全体を覆っている。それ自体はきっと珍しいことじゃないんだろうけど、複製技術はどんどん世界を曖昧にしている。

 誰だかわからない人が何人もいて、その人たちがどうもよく見えないところで社会を回している。たとえば、今見ているテレビ番組。一体どんな人が作っているのか、本当に僕たちは知らないのだ。人々は曖昧に増殖して、曖昧に立ち去っていく。その循環を僕たちは、あるいはそれが循環構造を取っているのかすらも観測できず、不安定な足場の上でこうしてご飯を食べている。


 いつか、何か大きな破綻がやってくるような――。


「まあま、そんなこと考えたって仕方ないじゃん」


 と、励ますように、千都が明るい声を上げた。


「いつか終わる  ときって絶   対来る んだか ら さ 」


「そん なに よくよ し  な  で」


「い    ある       し     わ       を     か  しめ       」



 そして、その声がどんどん遠くなってきて。


 どこか遠くで、砂漠に砂粒がひとつ、落ちるような音がした。


「         ど           ぎ   」


 何かが聞こえる。

 何かが触れた。

 頭が痛い。

 顔が痛い。

 耳と鼻と目と舌と歯と。取り返しがつかないくらい壊れてしまったみたいに痛い。


「     り            わ       」


 ぐるぐると。

 赤と青と紫と。

 黄色。

 眩暈。

 身体。

 浮遊。

 それから。

 それから――。



*



「ふぐっ」


 と自分の口から漏れ出た声で意識が目覚めた。


「ほら起きた」

「いや起きたけどさあ……」


 瞼を開くと、知らない天井を背景に、景と千都が僕を覗き込んでいる。何でこんなところで寝てるんだろう、と不思議に思って、それから景が僕の鼻をつまんでいることに気が付いた。


「……口閉じて寝てるときに鼻つままれたら、死んじゃうと思うんだけど」

「死ぬ前に起きてよかったわね」


 素知らぬ顔で言い放つ景。どうなのこの子のこういうの、という目線を千都に送ったら、無言で首を振られた。


「まあでも、ほんとによかったよ。いきなり倒れちゃうんだもん」

「え?」


 千都に言われて記憶を探る。それから、ふっとその意識を失う瞬間の不快感が思い出されて、風邪でも引いたみたいに背筋に寒気が走った。


「えー……、なんで倒れたんだろ……」

「凪にわからないんなら私たちにもわからないわ。傍から見てても、急に顔色変えて倒れたようにしか見えなかったし」


 貧血かな、と思ったけれど、今までそんな風に意識を失ったことがないから判断がつかない。というか、貧血であんな風な感覚になるものだろうか。


「病気だったらやだなー」


 と呟いて、そうだ病院に行こうと思った。貧血にしろ何にしろ、とりあえず診てもらえれば安心するだろうと、そう思って。

 だから悪いけど今日はこれから別行動するよ、と景に告げようとすると、彼女はものすごく呆れた顔で僕を見ていた。


「……なんてのんきな」

「えっ、なにさ急に」

「なにさ、じゃないわよ。普通の人はいきなり前触れもなく気絶したりしたらもっと焦るものなの。『やだなー』じゃないわよ『やだなー』じゃ。さっきまで救急車呼ぶか呼ばないかで慌ててたのが馬鹿らしくなってきたわ」

「まあまあ、大事ないならよかったじゃん」


 ぽんぽん、と千都が景の肩を叩く。景はまだ納得いかなそうな様子だったけれど、「まあ、そうね」と言って、とりあえずは落ち着いたらしい。

 一方で僕は、救急車かー、と不思議な気持ちになっていた。救急車。よく見るものではあるけれど自分が乗りかけるとは思ってもみなかった。


 ふと、部屋の壁掛け時計が目に入った。洋食店に入ってからそれほど時間は経っていない。たぶんここは店の奥とかで、とりあえず倒れたのを運び込まれて、それからどう処置するのか相談していた、って感じの流れなんだろうか。


「心配かけちゃったみたいでごめんね、ありがと。とりあえず今日はこの後病院行ってみるよ」

「そうだね、そうしなよ。景がキャッチしたから頭とかは打ってなかったけどさ。やっぱ気になるし」

「病院で増やされないように精々気を付けて行ってきなさいよね」

「さすがに病院では需要ないと思うけど……」

「需要なんて本人が決めるものじゃないでしょ」


 そう言った景は、一度僕の頬を軽く引っ張って、その後本当に僕に首輪を着けようとそのへんのものを勝手に漁り出した。僕はいらないよ、と止めたんだけれど千都は笑うばかりで止めてくれなかった。




 それから何とかその首輪(仮)を断って辿り着いた病院で、半日かけて結構大掛かりな検査をしてもらったけれど、結局何も異常は見つからなかった。

 『過労か何かでしょう』、と。そんな言葉だけもらって、でも僕過労になるほど働いてないしなあ、ていうかまったく、なんて考えながら帰路に就いた。


 冬の街はやっぱりすぐに日が沈むんだけれど、人の流れは途絶えないままで、明かりも決して消えはしない。あの建物の灯りが何を売っている店なのか、何をしている会社なのかもわからずに、誰とも知れない、二度と会わないだろう人々とすれ違って歩いた。


 空を見た。ビルに切り取られた空は、黒よりもどこか青に近い色をしていて、星はひとつも見えなくて。

 月はどこだろうと探しても見つからないまま、果たして今日は新月だったか、それとも未だ建物の影に隠れたままで、空に浮かないだけなのか。それとも、それともうっかりしてしまって。


 不安になった。昼間の話の延長か。あるいは僕の人生の。

 ぼうっとしていた。賑やかな街の中で。



 ちょっとだけ保険をかけて、その不安を和らげようと、そう思った。

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