第五十一話 お引越し作戦⑤
内容に重大なミスが!
( ̄◇ ̄;)
他にも色々ありますが
カルマモンスター関連は設定し直しま〜す
m(_ _)m
第五十一話 お引越し作戦⑤
☆森の泉
「斎藤! 先に山菜を狩ると、自動的にカルマモンスターはそいつを敵だと認識して襲い掛かって来るんだ! だから妖精で先ずカルマモンスターを倒すんだよ! それなら襲われ難いんだ! まあ、それでも襲われる時は襲われるがな!」
村長、それは初めて聞いたが、何よりそのどっちつかずなカルマモンスターの対応はどうかとも思う。
何にせよ目の前のオオミズヤスデモドキは俺を狙う気満々の様だ。
オオハンミョウモドキは余りにも攻勢がきつくて手が回らなかったんだろう。
そして──この[妖精王の錫杖]が問題だ。
てか、水魔法を使う奴から水魔力を吸収して反撃しても逆に吸収されるんじゃないか?
この際妖精王シリーズなのは置いておいて、しかも攻撃を受ける必要が有るんだろ? 攻撃力と防御力がスカスカな妖精使いがそんな事してたら死ぬ確率の方が高いんじゃないか?
『よく気が付いたじゃねえか! お前、しけてる割に賢いな! そう、妖精王の錫杖は少し癖があるユニークアイテムなんだよな』
しけてるのは余計なお世話だ!
だから使われる事なく放置されてたのか?
魔力が切れてたところへオオミズヤスデモドキの水魔力か直撃して、やっと魔力が充填されて起動したのか?
う〜ん、微妙に便利な電気自転車みたいなもんなのかな?
しかし充填の方法が厳しいし、どうやら起動するだけでも魔力を消費しそうだぞ?
魔法が使えない妖精使いへの神様からの救済措置っぽいんだけどな〜
しかも吸収出来るのは全部では無いみたいだし……
『吸収出来るのは1/10〜1/2までの範囲だな。当たり所もあるしな!』
そうか、これで充填して使うのか。
これはサボりがちな妖精使いを使役する為の飴と鞭っぽい気がするんだけどな〜。だって妖精がいたら便利だもん。どんな攻撃魔法が使えても、神の奇跡が起こせても田園生活は出来んが、何気に妖精使いってサバイバル能力高いしな。
それにカルマモンスターも狩れるし。
「ギギギッ! ギギギギッ!」
いや、しかし先ずはオオミズヤスデモドキだ!
何時までもレイリィをそのままにしておくのはまずいだろう。
取り敢えず[妖精王の錫杖]が盾代わりになるのは分かったからな。どうせカルマモンスターを直接攻撃したら大変な事になりそうだし、今は妖精を使って倒すしかない。
「さあ♪ 最後の敵だ〜♪ オオミズヤスデモドキをやっつける〜〜♪」
俺は再びタクトを振るう!
『なんだ? 今度の妖精王も音痴だな〜』
「大きなお世話だ!」
失礼な妖精王の錫杖を無視して俺は赤色妖精と緑色妖精を突撃させる!
『『『WaAaaaaAaa!!!』』』
再び緑色妖精がスペルバインドでオオミズヤスデモドキを拘束すると、今度は水色妖精が攻撃を加えていく。
森の中に《ドカッ!バギッ!》と言う激しい打撃音が響く!
しかし水辺での戦闘なので赤色妖精は接近出来ない。
う〜む、ヒートボディが使えないのは問題だな。なんとか引っ張り出せないものか。
《kiyuuuun♥︎》
ハッと見ると赤色妖精が一匹倒された。すると《ボフンッ》と光の渦が巻き起こり、小さな結晶を残して消え失せる!
「な、なんだ!」
『ああっ! まずいです〜反属性の時は流石の妖精達も即死を受ける時があるのです! で、でもその結晶を集めておくと復活させる事ができます!』
それは便利──だと思ったが、それは元の妖精では無いらしい。生まれ変わりに近いんだそう。
しかし、だからと言ってやめる訳にはいかない。
俺は妖精使いなんだ。
俺は妖精を使う事しか出来ないのだから。
でも流石に無駄死にさせるのは嫌だ。それは妖精使いとして恥ずかし事だ!
「でもどうすれは? アイツは固いみたいで水色妖精では倒せそうに無いんだけど」
せめて水辺から引き離せれば赤色妖精が使えるんだけどな。
「そうだ!」
俺はレイリィに駆け寄り
「力を貸してくれ!」
目の前で同じ妖精の眷属が倒されて動揺している森妖精レイリィに俺は策を授ける。受けるかどうかは五分五分だが
俺の説明を聞き、ジッとオオミズヤスデモドキと奮戦している妖精達を見て、レイリィはコクリと頷く。
「……分かった…やってみるけど、ボクにそんな力があるかどうかは分からないよ?」
「任せろ! 策はある!」
俺は黒色妖精を攻撃に出し、ライノに牽制させながら、緑色妖精を下げる。
「じゃあ、やるからな!」
そして俺はタクトを振るい、緑色妖精に命じた。
「さあ♪〜その森妖精を♪育て上げるんだ〜♪」
「ええっ! な、なに⁉︎」
『『『GulowinGUUuuPpuuU!!!』』』
♢
奮戦する妖精とオオミズヤスデモドキに緑色の影が飛んで行く!
「どきさない! フワフワ妖精!」
『へ、へ? 君は⁉︎』
そこには身体に蔦と葉っぱを生やした美女が浮いていた。
『……え? レイリィ?』
そう、さっきまでの子供だった森妖精では無く、キッと唇を噛み締めたレイリィがその魔力を込めてボコンボコンと蔦から種を生やし、オオミズヤスデモドキに撃ち込んで行く
「魔種弾!」
厚い外骨格を撃ち抜き、初めてダメージを与える事が出来た。
しかし、クレソンから加護を受け再び回復し、急速にその傷を塞いでいく。だが、動きは流石に緩慢になる。
「させないわよ!」
ビュンと伸びた幾つもの蔦がオオミズヤスデモドキを縛り上げ、ギシギシと小川の底から引き摺り出しで行く。
しかし、地面に埋まっている所為で必死に踏ん張るオオミズヤスデモドキを簡単には出せ無い。
「緑色妖精よ♪ もう一回だ〜♪」
タクトを振るい再度レイリィに魔力を注ぎ込む!
『『『GlooouingUuPqqPuuuu!!!!』』』
緑色妖精の魔力がさらに森妖精レイリィを成長させる!さっきまでが女子高校生がなら今度は女子大生位にまでレベルアップした!
「何気に凄い!」
その操る蔦の太さは倍以上になりワサワサと葉っぱが生い繁る! そして出る所は出て括れる所は括れてる!
「な、なんなの! で、でも…行くわよ!」
レイリィはその魔力を蔦に込めオオミズヤスデモドキを一気に引き摺り出す!
「くくくっ! いい加減に観念なさい!」
必死に抵抗するが今度は流石に分が悪いのか《ズズズッズズズズッ》と引き摺り出されて行く。
「そうだ〜♪水色妖精♪オオミズヤスデモドキの足元に水を溢れさせろ〜♪」
『『makaselooo!!!』』
周りで牽制していた水色妖精達が一気に水を注ぎ込む! 必死で踏ん張るオオミズヤスデモドキの足元を大量の水で溢れさせると、流石に耐えれなくなったのか──徐々に引き摺り出され始めて行く。
《ズッズズズッズズズズッ!》
「あきらめろおおおおっ!」
渾身の力を振り絞り遂にオオミズヤスデモドキは地上に引き摺り出され、勢いでそのまま10m近く転がり出る。
俺はタクトを振るう!
「さあいけ♪ 赤色妖精よ〜♪ オオミズヤスデモドキを焼き尽くせ〜〜♪」
『『faiaaaaa!!!!!』』
ヒュンと滑るように倒れたオオミズヤスデモドキに赤色妖精は取り憑き、一気にヒートボディで焼き尽くす!
反属性を叩き込まれ、大ダメージを受けのたうちまわるオオミズヤスデモドキにライノとレイリィが止めを刺す。
「下がれ♪ 妖精たち〜♪」
『風弾』
「魔種弾」
取り憑いてた赤色妖精と水色妖精が飛び退いた所へライノとレイリィの連続攻撃が叩き込まれる。ヒートボディで深いダメージを受けていた外骨格が耐え切れずに《バギンッ!》と砕け散り、魔核を直撃した。
「ギギギギギギッ!」
金切声を上げ──オオミズヤスデモドキは《ドスンッ!》と崩れ落ちる。
「……倒したのか?」
倒れたカルマモンスターは《ボフンッ!》と光を放ち水色と黄色の魔石を残し消え去っていく。
「……ボク…倒したの?」
「ああっ! 良くやった! 危うく赤色妖精を全滅させる所だったよ」
「……よかっ…た……」
「レイリィ!」
レイリィはフワフワと地面に降りて行き、そのまま注ぎ込んだ魔力が抜け落ちて行くのか元の少女の姿に戻って行く。
そしてパタリと倒れてしまった。
そこへアリアさんが走り寄って来る。そっと手をかざし魔力の流れを探ると
「まずいわね、地面から本体を抜いた状態で力を使い過ぎて生命力まで枯渇してるわ! 急いで植えないと枯れてしまうかも!」
「!!! わ、分かりました!」
俺は慌ててタクトを振るう!
「さあ♪ 森妖精をウチまで運ぶぞ〜♪ 担ぎ上げてダッシュで行くぜ〜♪」
『『『oooshaaaa!!!!!』』』
一気に魔法樹に取り付いた妖精達が担ぎ上げるやいなや、まるで魔法の絨毯の様に森の中を疾走し始める!
リニアモーターカーの様に物理法則を無視した挙動でグリングリンと森の木々を避けながら妖精達は爆走してノルン村を目指した。
「わわわわっ〜! は、はえええっ!」
『待って下さい〜! ちゃんと埋め方があるんですよ〜』
森の中に雄叫びを残し、俺は一路家を目指す。
俺の家に、また新しい仲間が増えるのだ。
森妖精レイリィ
魔力を充填すると女子大生になるのか。
覚えておかねばな(見た目だけだけど)。
ただ、この後赤色妖精の結晶を忘れ、カルマモンスターの魔石も取り忘れていたので、妖精達にジト目で見られながら慌てて取りに帰る事になったのは言うまでも無い。




