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薔薇色の異世界田園生活  作者: 菜王
序章
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第四話 異世界で初めて出会う原住民いや違った現地人は村長だと言うのでその意見を尊重しようと思う

佐倉さんが徐々にその本性を現す……

序章


第四話 異世界で初めて出会う原住民いや違った現地人は村長だと言うのでその意見を尊重しようと思う



目の前には完全武装の冒険者が立っていた(あくまでも俺視点的には山賊だが)


「えっと、ガンツ…さんですか?」


これで村長なのか!


「ええ、いやあ、今日来るとは領主から聞いてたんだけど、行ってみたら誰も居ないからびっくりしたよ」


見かけほど悪い人では無いのか?


「また行方不明になったのかと思ってビックリしてたんだ」

「「行方不明⁉︎」」


ハモってしまった! いや。そうではなく


「どういう事ですか! そんな事聞いて無いですけど!」

「もしかして曰く付きの物件なんですか♡」


…なんで佐倉さん嬉しそうなの……


「い、いや、あくまでも何処にいったか分から無いだけで行方不明と決まった訳じゃ無いんだぜ?」


村長は悪い人では無いかもしれないが腹黒い人かも知れない


「元々前の住人はワリと優秀な魔女だったんだ。少し放浪癖があったからな」


全然悪びれないな…なかなか図太い奴だな


「一体どの位帰って来ないんですか?」


「……半年…位?」


なんで疑問形なんだよ! 把握して無かったのか! 村民の、しかも移住者を!


「……村長、それは限りなく死亡説が浮上しそうなレベルじゃないですか? 白骨化してるかもですよ⁉︎」


「あいつがか! ワッハッハッ、それはねえな! 仮にも[迷いの森の魔女]の一門だからな、その辺は心配してねえよ」


マジかよ!


え? でも半年間も留守だったのか? でも家の中や畑はしっかりしてたぞ?


「でも村長、その間あの家の世話は誰がしてたんですが? 凄く綺麗でしたけど?」


まさか村長がそんな事しそうには無いしな


すると村長は意外な顔をして


「あれ? まだ観てないのか。まあ、おいおい分かるさ、心配する事じゃ無いからな」


いや心配するだろ? 何か曰く付きなのか


佐倉さんはこの家にはそんな事は無いのかとワクワクした目で聞いていたが、全く心配いら無いと言われてガッカリして居た。佐倉さん侮れ無いな……


異世界にいきなり飛ばされた家は前任者が行方不明になった物件でしかもまだ何か曰く付きらしい。


まさかまたブラックなんじゃないだろうな。その時はまた……いや、まだ分から無い。


目の前の大男はそれ程悪い奴には見えない。何かあるらしいが。悪意の塊と言う訳でも無いようだ。佐倉さんは意外な一面が垣間見れたけど


「そんなわけだ! で、俺はまず第一陣であるお前ら二人にご挨拶に来たと言う訳さ! まあ、これからおいおい村にも馴れてくればもっと色々分かるから、楽しみにしておいてくれて構わ無い」


……この状況で何処をどう引っくり返せばそんなポジティブな発言が出来るのか、村長の話を聞いただけでさらなる謎が増えただけなんだが、佐倉さんは目をキラキラさせて喜んでいる。


……佐倉さん…貴女は何を求めてこの異世界に……いや、考えたら負けか。分かって来た事は佐倉さんが意外に隠れ巨乳だとーーいや違った、少し好奇心に変わったベクトルがかかっているらしいという事だ。


「いや、すまんな昼飯時に」


「……えっ! あ、別にお気になさらず」


そうか、すっかりそんな事忘れてたよ。



村長帰ら無いな。


「あとなんか困った事があったらいつでもいってくれよ!」


「「はぁっ……」」


帰るつもりが無いんだな


「よかったら村長さんもいかがですか?」


俺は佐倉さんに目配せをして席に着くように促した。


「は、はい、よかったら村長さんもご一緒しましょうか! どうせ私達も勝手に利用させて貰ったんですから」


その時「そうか、済まないな! 忙しくてまだ昼飯食ってなかったんだよ、ワッハッハッ」と言って勝手に席に着いた。


しかし俺は見逃さなかった。その時の佐倉さんの悲しげな顔を。大丈夫、ご飯とおかずの分け前は減ったけど量は十分あるから


そして俺は聞き逃さなかった。「…これで村長も共犯で同罪ね」と呟いたのを。大丈夫、土地建物がついて中身だけ他人の物なんて多分無いから。でも佐倉さんを怒らせるのはやめておこうと誓った。




木の机の上に[野菜と卵炒め]と[ジャガイモとタマネギの味噌汁]を置いて[羽釜炊きご飯LV?]をよそう事にする。嬉しそうに並んだ佐倉さんがチョイスしたのは茶碗では無くどう見てもどんぶりだったのだがあえてスルーして負けてはならじと俺もどんぶりにした。ここでタダ飯の村長には茶碗でよそってやろうかと考えたが壁に立てかけた大剣には着いたばかりと思しき血糊が見えてなんだか内臓っぽい塊がチョコンと着いていたのが見えたので「道具はキチンと扱えよ」と思ったが深く考えたら負けだと思うのであえて気づかないふりをして大盛りにしてあげた。佐倉さんにも大盛りだ。ご飯をよそうたびにリアクションが上下するのは面白かったけどどう考えててもその量はオーバキルだなと思う言葉を飲み込んで「いただきます」をした。


「生きるとは食べる事だ」


今日はそんな異世界生活の始まりとなっためでたいのか、めでたくないのか分から無いが、なんと無く良い感じの一日だ。


しかしーーまだ終わる訳では無い。


「おかわり♡」


笑顔で茶碗を差し出す佐倉さん。うん、俺がよそうんですね、はい♡


三杯目もトップは佐倉さんだった。


佐倉さんはきっとフードファイターだったに違いない

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