第二十二話 二人で朝食を
閑話休題っぽく!
次話からいよいよ異世界田園生活編が始まります!
( ̄ー ̄)
第二十二話 二人で朝食を
☆三日目
翌朝
佐倉さんはすまなさそうに俺の家にやって来た。
何時ものはっちゃけた笑顔は鳴りを潜め、どこか沈痛な面持ちで扉の前に立ち尽くしている。
「……佐倉さん、入って下さいよ、お隣さんなのに遠慮はいりませんよ」
正直佐倉さんも被害者であり、責任は無いのだが、自分の為に命懸けの目に遭った俺に流石に済ま無いと思っているようだった。
当然俺には下心はある! あれが村長ならきっと呆然と立ち尽くしていただろう事は間違いない。
だからこそ流石にこのタイミングではその感情を佐倉さんの前に出す事わはばかられるのだ。
すると重い足取りでそれでも部屋の中に入って来ると、大きく息を吸い込み、オズオズとバスケットからサンドイッチを取り出して来た。
「!!!!!」
「あ、あの! お礼がしたいんですけど、私はお金も何も無いので…あ、朝ごはんを作って来ました!」
「…………おおおおおっ! あ、あり がとうございます! やったあ! 美味そうですね!」
来た! ナイスだ! 異世界最高だ!
「あ、あの、全然自信は無いんですけど、せめてものお礼の気持ちです……はい」
そう言って深々と頭を下げる佐倉さんに俺はこう告げる。
「佐倉さん、こんな辺鄙な村で生きるのにはお互いに助け合わなくてはなら無いんです。今回は俺が助けましたが、次は俺が助けて貰うかも知れません。でも、ここで余りにも恐縮されると俺が助けて貰う時に困りますからね。ここは共同戦線と行きましょう!」
「……共同…戦線…ですか?」
「ええ、俺と佐倉さんは同じ異世界で田園生活を送る仲間なんです。きっとこれからももっと助け合わなくてはなりませんからね! だから、ここは相互扶助という事で行きましょう! 次は僕が頼っちゃいますからね」
「……仲間…」
「そうです!」
「そう…仲間なんですね」
「そう! 僕達は仲間です!」
「じゃあ、次は私が必ず助けちゃいます。約束です!」
「ええ、お互いに助け合わなくては!」
そう言うと、やっと佐倉さんは初めの日の笑顔に戻った気がした。
(それでも[ウォーターデビルズデストロイヤ]みたいなのは流石に勘弁して欲しいけど)
その日二人で朝食を食べ、やっと少し二人の距離が縮まった気がした。炭の様になったベーコンもたまごの殻が入ったスクランブルエッグも全く気にならない。
タイミングをみて修正してあげねば
でも時間はたっぷりある。
二人の異世界田園生活はまだ始まったばかりなのだから。
だが俺は後に、この時まだ異世界田園生活が始まってすらいなかった事に気が付くのだった。
異世界半端無い




