一回戦とだっさい二つ名
本日…えっと…四回目?五回目?くらいの更新です!頑張りました!
「見ろよあれ…[グラビデ皇帝]の海人だぜ。」
「隣には[破壊天使]の舞だ。顔はいいんだがな…」
「二人揃って[デッドオアデッド]だぜ。」
「「…」」
試合のあと、俺達には何か変な二つ名がついていた。
…正直、ダサい。何か他に無かったものか。[グラビデ皇帝]って。[グラビティ]と俺が「ひざまずけ」って言ったことから[皇帝]とついたのが(締め上げた若者談)合体しただけじゃないか。おまけに[デッドオアデッド]とか、中二病こじらせすぎだろ。
「…やっぱやりすぎたよね。」
「…まあな。」
「おい、こっち見たぞ!」
「うわ、逃げろー!」
別になにもしないというのに逃げる。どんな悪評が流れてるんだ…
「舞、俺は優しいよな?」
「海人くんが優しいなら、この世の大多数の人間は仏になれるよ~。」
ひょうひょうと酷いこと言われた。こいつは日を重ねるごとに俺の扱いがひどくなっている気がする。俺は日に日に優しくなっていくというのに。
「なあ、舞。俺、そんなに酷いことやったか?今回。」
「まあ…やったと思うよ。酷いっていうか、凶悪?私もそうだけど。」
まあそうかもしれない。俺の400人を一掃する重力魔法。舞の400人をぶっ飛ばす糸&爆発。やられたら凶悪なこと間違いない。
「じゃあ、この世界における俺の立ち位置って…」
「まあ、[グラビデ皇帝]じゃない?」
「お前はいいよな、[破壊天使]だし…」
[破壊天使]はまだ許せる。しかし[グラビデ皇帝]は許さん。絶対に。
「まあ、予戦突破したし、一回戦だな。トーナメント表見てみようぜ。」
見ると、トーナメント表には名前が書いてある。俺の相手は…[チェン]?
「あ、チェンと[グラビデ皇帝]が戦うみたいだぞ!」
「うわー…チェンかー…もうちょっと[グラビデ皇帝]の戦い見たかったんだけどな…」
「身をもって味わえ馬鹿ども」
MPを使うのも嫌だったのでグーで殴って黙らせる。しかし、チェンか…どんなやつだろうか?
「おい馬鹿ども。チェンってどんなやつだ。」
「チェ、チェン…?あんたチェンを知らないのか?あいつは珍しい職業らしい。何でも[中国拳法家]とかいう…」
「[中国拳法家]?」
「ああ。なんでも地球配信されて出てきたやつみたいなんだがな。」
つまり、地球出身なわけだ。そういえばマースが地球配信するって言ってたな。忘れていた…
「分かった。じゃあな。」
「あ、待ってくれ!」
「なんだ?」
正直こいつらともう話す価値はないんだが。
「いや…これからも楽しい戦い見せてくれよ!皆あんなド派手な戦いを待ってるぜ!」
それは。
現実で俺が受けたことのない、無邪気な、打算も何も無い声援。
「…ああ!任せとけ!」
嬉しさを胸に受け、活力が沸いてきた。一回戦の相手が誰だろうとド派手にぶちのめしてやる!
「ども。チェンだヨ。よろしくネ。」
そこには、物凄いどこからどう見ても中国人な奴がいた。なんと…
「あ、ああ。こちらこそよろしく頼む。」
「固くならないでヨ!友達と喋る感じでいいネ!」
おかしい。そもそもこの中で火星人と日本人が会話できている時点で翻訳機能があるはずなんだがなんで片言なんだ?
「では、はじめっ!」
始まると同時に動き出す。[中国拳法家]ね…
「[ポンケン]っ!」
そらきた。
「甘いっ!」
もちろんそんな単純なパンチに当たる俺でもない。ひらりと避け、突き出した腕を取り、捻って押し倒す。
「こっちの台詞ネ!」
チェンは足を跳ね上げ、俺の背中に当ててくる。たまらず吹っ飛び、倒れた俺に新たな技を繰り出す。
「ウリュウバンダ!」
飛び上がり、かかと落としをされる。俺はそれを横に転がって避け、槍で突く。背中から突いたはずなのにチェンはひらりと避け、俺の槍を叩き折った。
「うわっ!槍が!」
「戦闘中に叫ぶの良くないネ!」
チェンは構わず俺に物凄いラッシュをを叩き込んでくる。
「うわ~…槍が~…やる気なくすわ…」
「全部避けてる癖になに言ってるネ!」
チェンが怒るのも分からないでもないんだが…相棒を失った俺の気持ちも考えてほしい。まあ、要らなくなったら簡単に買い換える相棒だけど。
「喰らうネ![チュンチャンポンケン]!」
そう言って、ポンケンに歩法を加えたバージョンを繰り出してくる。
「はぁ…」
「そ、それは[カケイ]!?何でそんな防御法知ってるネ!」
[チュンチャンポンケン]を腕を回転させていなす。もちろん本当にそれがスキルなのならこんなことはしない。
「…あのさ。チェンだっけ?」
「何だヨ!」
「さっさとスキル使ってくんない?なんかこっちだけスキル使うの嫌なんだが。」
俺が発した言葉に観客席からどよめきが起こる。
「…なんで分かったネ?」
「別に。どの技もきちんとした打ち方じゃなかったし、型とも違う。それになにより…」
「なんだヨ?」
「その喋り方だよ。」
俺が指摘すると、チェンはパッと顔を隠す。
「このゲーム、翻訳機能が付いてる。何故なら、俺が来たときからずっと会話が成立しているからだ。なのにお前は片言。どういうことか分かるか?」
「…僕がわざとああ喋ってたこと、分かってたんだね。」
「ああ。つまり、お前は元々日本人で、喋ってるのも日本語だから翻訳を必要としないだろうと思ったシステムが、そのまま通してた訳だな。」
まんまと騙された。俺が聡明だからいいものの。
「それでだ。どうする?スキル、使う?」
「…いや、いいよ。スキルの使い方、大して分かんないんだよね。」
「そいつはよかった。棄権ということでいいか?」
「ああ。」
それを聞いた審判が、「空町海人の勝ちっ!」と勝敗を伝える。周りのざわめきは収まらない。
こうして俺は、一回戦を勝利したのだった。
次回、「二回戦と侍小僧」お楽しみに!




