宿探しと価値観の違い
学校で期末テストがあったため、投稿が遅れてしまいました。徹夜に近かったので眠いです…
コンビニ弁当を食べ終わり、俺と舞は野宿できるような、平らで安全なところを探して歩いていた。すると……
「水場だ!おい、見ろ舞!水場があったぞ!」
「本当だ!これでしばらく水には困らないね!」
……果たしてこれは本当に現代人の会話なのだろうか?
「ところで、そろそろ結構日がくれてきたけどさ。」
「そうだな。何だ、元の世界が恋しくなったか?」
「違うよ。その……宿とか……ない?」
「あるわけないだろ。むしろあると思ってたの
か?」
「やっぱり……」
はあ、と舞がため息をつく。枯れ葉のベッドくらいは作れるがな。
「それで、今晩の晩御飯どうする?」
何気に、昼食から4、5時間くらいは歩いている。腹も少し減っているし、夕食も考えた方がいいだろう。そんなことを思っていると、舞が急に叫んだ。
「兎だっ!」
舞の叫びに俺も光の速度で反応する。
「なにっ!飯か!?」
「…………」
舞が不満そうな顔をする。おかしいな……?俺何か変なこと言ったかな?
「うん……うん、そうだね……でもね、海人くん。普通女の子は兎をかわいいと思うんだよ……」
「いや、かわいい云々じゃなく、今は命に関わるだろ。次にいつ飯が食えるかわからないんだぞ?」
「「……」」
しばしの沈黙。価値観の違いを感じる。
「……とりあえず食おうぜ、アレ。」
「…………そうだね……。食べちゃおう……」
「!?」
唯一(と言っても二者択一だが)味方側であった舞が折れたため、兎が文字通り必死に逃げようとする。しかし俺が追って行き、あっという間に食料として手にいれた。
「おい、お前火を起こすことはできるか?」
「無理だけど、マッチ持ってるよ。」
「おおっ!よくやった……って、お前、登校中じゃあ……?」
「先生が煙草吸う人だから、マッチ切れたときのために持ってるんだよ」
「へえ……ああ、真先生か……よくそんなことするな。……よっと。葉っぱはこんなもんでいいかな?舞。マッチ貸してくれ」
「その兎見せないで……。はい、これ」
「贅沢言うなよ、食うんだぞ?」
受け取ったマッチを擦って、火をつける。
「よっと……って、やべ、このままじゃ風で消えちまう……風、で?」
「どうしたの、海人くん?」
舞が不思議そうな顔をする。しかし、これは……
「いや、何でもない。消える心配はなさそうだ。肉を入れるぞ。」
「うん……?」
舞は怪訝そうな顔をしながらも、なにも聞かず、薪を入れた。
「さて。これから野宿だ」
夕食を食べ終わると、ある意味で最重要な事が待っていた。なんと言っても男女の野宿なのだから。
「えっと……これって、家とか、作れないよね……」
「俺にそんな技術は無い」
「じゃ、柵とか……」
「無理だ。お前は何をそんなに怯えているんだ?」
「猛獣に決まってるよ。」
「それなら大丈夫だ。俺が見張りくらいしてやる。それに、今夜は考えたいこともあるしな」
「猛獣って、そのままの意味だけじゃなくて……」
「心配性だな、それこそ大丈夫だ。俺はなにもしない。協力者を失うのも嫌だしな」
「そ、そう……?で、でもいいよ。見張りなんて。海人くん寝れないじゃん!」
「それも大丈夫だ。そもそもあまり睡眠が必要なタイプじゃない。」
これは嘘だ。結構寝るタイプだが、色々あったし、今夜は眠れそうにないだけだ。
しかし、それでも気がかりなようで、舞はさらに案を出した。
「じゃあ、せめて交代で見張りしよう!」
「いいから任せとけ。いいんだよ。今回の考え事は時間がかかりそうなんだ」
そう言うと、舞は渋々といった感じで引き下がった。
「わかったよ……明日は私がやるからね」
「あーあー。前向きに検討しておくよ」
聞き入れるつもりは全くないが。
「じゃあ、もう眠いし寝るね……。お休み……ありがとう」
「どういたしまして」
ここまで嫌がったのは理由があるか、と言われれば、一つは舞に言った通り考え事があるからだ。もう一つはただカッコつけなだけだが。
「しかし、風、か……」
ここに来てから風を一度も感じていない。そして疲れも、更には暑さ、寒さに、物を触っている感覚すらないのだ。あるのは欲求に関することだけ。空腹や、舞いわく眠気もあった。これに関して思い付くことは一つ。
「この世界は、まさか…?」
俺は、信じがたい結論に達していた。
次回、「NPCと真実の自分」お楽しみに!