大会当日と周りの雰囲気
こんにちは、獅子印です!家庭訪問期間、なんて素晴らしい…
「ついに大会当日だね、海人くん…うう、お腹痛くなってきた…」
「こっちは排泄なんて必要ないだろ?」
「海人くんはデリカシーってものが無いの!?」
舞に手痛くツッコまれる。俺はそれを華麗に無視して、周りに目を向けた。
色んなタイプがいる。ガチガチの鎧を着て斧を持ったパワーファイター、ローブに身を包んだマジシャン、革の鎧を着けたスピードアタッカー、ロープで縛られた変態、既に会場に罠をはっている罠師、そこら中の筋肉質な男を見てハアハア言ってる男。
「待てっ!後半はおかしいっ!?」
「海人くん!?いきなり叫び出してどうしたの!?」
しまった。取り乱した。まあ、MMOなんて色んな人がいるよな。
「さて…皆はどんな戦略でくるかな?」
とはいえ、戦いかたが分からなければ戦略も分からない。どうしたもんか、と思っていると、声が聞こえてきた。
「お、おい!あいつ、[ヘルファイア]のシンクだぞ!」
「あいつは、[ウォーターバレット]のグンジョーだ!」
「見ろ![スーパースパーク]のレイモンだ!」
有名どころなのか周りが騒ぎ立てる。ふうん…何となく戦い方は分かったけど…
すると、となりのやつがさっきの変態を指差して「あ、あいつ…」などと震えている。まあ、分からなくはないが震えるほどかな?
「あの縄で縛られてるやつ、数少ない糸使いの一人、[セルフバインド]のシゲルだぜ!」
「あの変態凄いやつだったのかよ!」
人は見かけでは分からないというのは、事実だったようだ。しっかりしなければ…とにかく、今やるべきは一つ。
「…舞、同じ[糸使い]としてぶちのめしてやれ。」
「…うん。」
やはり同じ(と思いたくはないだろうが)糸使いとして感じるものがあったようだ。普段は人を傷つけることを良しとしない舞も快く受け入れてくれた。
「しかし、人が多いな…」
「だね…なんか酔ってきた…」
「だからこっちでは吐くなんて不可能だって。」
「また同じこと言われたいの?」
ほぼ同じツッコミを、ほぼ同じようにスルーして考える。やっぱり、あのリスト凄い装備が載ってたんだな…
「はあ…」
ちょっと憂鬱になってきた。俺は今日何人と戦わなければいけないのだろう。この分だと三ブロックに分かれても一ブロック500人は下らない。バトロワでどこまで減るかな…俺達の能力は殲滅に長けているからいいけど…
「知ってるか?この大会、あの[アメミット]を倒した奴が出てるらしいぜ。」
少しだけ聞こえた声に思わず反応する。なるほど。こうやって考えると名声もいいものだな。いい気持ちになってくる…
「おお!知ってる知ってる!あの糸使いの女の子だろ!?」
消さなかっただけ俺は成長したと思う。
「すぅ…はぁ…よし、落ち着いた。」
きちんと落ち着いた状態で喋らないと(脅さないと)効果がないことは知っている。
「あー…失礼。」
「はい?」
「どなた様ですか?」
「ああ、[アメミット]を倒した二人組の片割れだが。」
ぞっ!
二人の顔に緊張が走る。俺が本当のことを言っているかは別として、身の危険は感じたようだ。…いい勘している。
「きちんとペアで覚えるか、ここで俺にぶちのめされるかどっちがいい?どうせお前ら弱いだろ?ここで俺がお前らを血祭りに上げることは難しくない。これは命令だ。きちんと覚えろ。」
「「は、はい…」」
それだけ答えて、二人とも逃げていった。
「おめでとう。これで全部君の目論み通りだね。」
「あぁ?」
不意に、後ろから見知らぬ男の声がした。誰だ…?
不思議そうな俺の顔を見て、男が自己紹介を始める。
「失礼。僕の名前はクー。職業はアサシン。君のことは知ってるよ?まあ、あの二人が珍しいだけで、大体の人はきちんとペアで覚えてるけどね。」
「ふーん…そりゃ光景なこった。それで?目論みだと?」
「そーだよ。とぼけないでよ。こうやって脅しておくことで君のパートナーに面倒事が降りかからないようにしてるんでしょ?やっさしーね。」
クーと名乗った男は冷やかすように言ってくる。が、目は笑ってない。
「どうだかな。で?あんたはこの大会に出るんだろ?」
「もちろん。腕には自信があるからね。」
ずっと目は笑っていないので、ついつい「なんか企んでるだろ」と言いたくなる。実際企んでるんだろうが…
「やだなー。なにも企んでないよ?酷いなー。」
なんと。心を読まれている。ポーカーフェイスに定評がある俺でも表情を読まれるとは。舞に会わせるわけにはいかないな。
「それよりさ。もうすぐ受付始まるよ?パートナー探さなくていいの?」
「ああ…そーいやさっきから居ないな…まあ、探すとするか。んじゃ。お前も出るなら、試合でな。」
俺はそう言い残し、去っていく。あんなやつと関わり合いになるのはもうごめんだった。
次回、「予戦の激しさと圧倒的 part1」お楽しみに!




