終わらない闘技と思わぬ強敵
三回目の更新です!ぶっちゃけ疲れました!
「ふう…」
オーガを倒し息をつくと、新たなモンスターが現れた。
「うお…なんだこりゃ…」
目の前には、土に埋まっており、茎や葉が蠢いている植物、食人植物として有名な[マンドラゴラ]がいた。
「まるでボスラッシュじゃねえか…こんなのの死体どうやって手に入れたんだ…」
確かここのモンスターは死体を再利用して使っているはずだ。なんでこんなものを手に入れることができたのか分からない。
「ぐおっ!?」
茎で頭を殴られた。っのやろう…植物の癖に殴りやがって…
「どらあ!」
俺は武器を槍から刀に換え、近くにあったマンドラゴラの茎を斬る。というか、今まであんまり気にしてなかったけど、[悪魔のネックレス]の効果の炎付与ってこういう植物系の相手には…
「ギャアアアアアアア!!!!!」
斬ったところから燃えていく。よし、成功だ。苦しそうに叫んで…
「ぐっ…?」
その声を聞いていると、頭が痛くなり、自分の中から何かが溢れ出してくる感覚がある。なんだこれは…
「が…あ…」
朦朧とする頭で思い出す。マンドラゴラは引き抜くと大きな声を上げ、それを聞くと発狂してしまうそうだ。
「く…」
耳を塞ごうとする。が、もう体に力が入らず、仰向けに倒れてしまう。くそ…やりたくなかったがしょうがない…発動できるかな…?
「…よし…動く。」
回りの音はなにも聞こえない。いい感じに耳を塞げたようだ。
「よくもやってくれたな…オラッ!」
マンドラゴラを根本から斬ってやる。すると、切り口が燃え出し、あっという間にマンドラゴラは炎に包まれた。
「ふう…上手くいった…」
俺がやったことは簡単。[吸引]で回りの砂を耳に入れただけだ。それで耳を塞ぎ、マンドラゴラの叫びが聞こえないようにした。
「さて…これ、どうやって取ろうかな…指で上手いこと取れるかな?」
ほじくってみるが、ある程度しか取れない。
「しょうがない…まあ、もうおわあっ!?」
もう終わると思って安心したとき、頭の上を何かが猛スピードで通りすぎた。
「なんだ…?発砲されたか…?」
通過したものを見てみる。今度は銃を使うやつかと思いきや、なんと白い魚だった。
「ああ…何て言ったっけこいつ…スカイフィッシュだ…」
もう勘弁してほしい。とりあえずスカイフィッシュめがけて刀を振ってみる。
「そりゃ!」
ひゅん、と風切り音が鳴るだけで、スカイフィッシュには当たらなかった。
「くそ…なんだこいつ…」
ーーー[剣術]を入手しました。
さっき刀を振ったことで[剣術]を手に入れたようだ。剣の扱いが上手くなるのだろう。しかし、今は必要ではない。
「ちっ…めんどくせえ…」
正直、倒し方は見えている。が、俺には別で必要なものがある。それは、[ぼうぎょ]のステータスだ。
さっきの俺の仮説では、ステータスはそれに対応することをするほどレベルアップで上がる数値が増えるのだろう。ということはこの攻撃が軽いであろう敵は最適。しかし、後で倒すことを考えるとな…
「…まあいい。とりあえずやられてみよう。」
スカイフィッシュは猛スピードで俺の左腕にに当たる。
ぽろん。
俺の左腕が落ちた。
「…は?」
直後、激痛が走る。くそ…フィードバックを切らなければ…
しかし、悶えているところに追撃が来た。
「うおあっ!?」
右足が落ちる。激痛が走り、頭を真っ白にして行く。
「ぐあ…ぐ…」
[グラビティ]を使おうとするが、声がでない。激痛のせいか、恐怖のせいか。案外、俺の肺や舌はもう無いのかもしれない。
「あ…ぐ…」
スカイフィッシュが俺の頭めがけて突進する。
俺の意識は、そこで途切れた。
「うおっ!?」
目が覚めると、闘技場のロビーにいた。
「海人くん!無事だよね!?」
舞が俺に抱きついてくる。なにごとだ…?
「お疲れさまです。」
「あー…俺やられたんだったな。」
そうだ。スカイフィッシュにやられたんだった。完全に油断してた…!
「闘技場でよかったですね。実戦なら死んでますよ?」
「ごもっともだな…」
実践なら油断するなどあってはならない。まして、あんな風に諦めることなど。アメミット戦で学んだ筈じゃなかったのか。
ず~ん、と音が聞こえてきそうなほど落ち込んでる俺に、舞は優しくフォローを入れた。
「ま、まあ、そんなに落ち込まなくてもいいじゃん!結局生きてたんだしさ!」
そうは言うが、敗北感は消えない。油断したから…!
「ほら、元気になったなら早く帰ってください。もう夕方ですよ。」
受付が俺にそう言う。もう夕方か…
「そりゃ、遅くまですまなかった。ありがとう。じゃあな。」
「はい、お大事に。」
そう言って、見送ってくれた。もう油断はやめよう。そう心に誓った。
次回、「賞品リストとたまののんびり」お楽しみに!




