初ドラゴンと銃の強さ
こんにちは。最近あまり長い話が書けません…どうしましょう。
「ふああ…おはよう」
「おはよう。海人くん。今朝はよく寝てたね~」
「うるせえよ」
あの日以来、俺と舞は同じ部屋で寝ている。俺の部屋の布団を舞の部屋に持ってきたのだ。ちなみに元俺の部屋は武具倉庫になっていて、この前ドカ買いした俺の武器が眠っている。
「今日、何するの?」
「そうだな…今日はこの前見つけた依頼をやってみようと思う」
「それって?」
「コドラ討伐だよ」
「はあ…駄目だ…コドラ討伐を請け負うだけでも憂鬱になる…」
「そう?人混み苦手なの?私は楽しいけどな~」
舞は楽しそうにギルドボードに向かって走る。すぐに[コドラ討伐]の依頼を取ってきた。
「ほら、取ってき…わっ!」
舞が大柄の人にぶつかる。危ないな…
「す、すみません!大丈夫ですか!?」
舞が慌てて謝ると、相手はひどく(白々しく)痛そうにしていた。
「痛てててて…あー、腰が痛いなー。折れちゃったかなー。回復薬30個無いと治らないなー」
阿呆か。回復薬は4つで全快するようになっている。一つで25%回復だ。30個だと全快した上6回半生き返ることができる。こんな馬鹿な交渉、あいつも受けないだ…
「すみません!すぐに…」
「いやいやいや阿呆か!」
アイテム譲渡をしようとする舞の手を掴み、引っ張って行く。
「おい、ちょっと待て姉ちゃん!」
「黙れてめえ」
低い声でそれだけ言うと、相手はビクッと体を震わせ、立ち尽くしていた。
「分かるか?ねえ舞さん分かりますか~?あれ、タカリですよ~?」
俺が笑顔の中に怒りマークを浮かべながら舞に詰め寄る。舞は、慌てた様子で「でも、あの人痛そうだったよ?」などと言っている。
「馬鹿か。俺たち以外はゲームの中で痛みを感じないんだよ。[痛い]とか言ってる時点でタカリ決定なんだよ、ボコっていいんだよ!」
「ボ、ボコるって…」
舞が若干引いている。自分でも血の気が多いのは分かってるが、若干胸にクるな…
「もういい!依頼受けにいくぞ!」
俺が人ごみを掻き分けながら依頼状を届けに行
く。舞はそれでもあの男を探していた。無駄だ。あいつは[グラビティ]で天井に張り付けてある。見つかる筈がない。
「へ~。ここは…沼地かな?こんなところにコドラっているんだ。火山とかだと思ってた」
「うげろろろろろろろろろろ!」
慣れない。やはりこの感覚は慣れない。酔うわ。
「うぷ…」
まあいい。コドラが来る前に胃の中の物を出せてよかった、と思おう。
「さ、散策に行こう!さんさ…く…」
舞が元気よく出発しようとした瞬間、前方から敵が現れた。1、2、…13?
「「う、うわあああああ!」」
じ、13…?無茶だ。事前情報じゃああいつらゴブリンの3倍強いらしいし!何よりこのパターン覚えてる!ゴブリンの時に味わったやつだ!
「か、隠れないと…!」
身を隠すため近くの岩に隠れたとき、目の前に文字が現れた。
ーーー[隠密]を手に入れました。
条件適当か!
「ふう…もう大丈夫か…?」
隠密のおかげか、はたまた俺たちが息を潜めていたからか、コドラに見つかることは無かった。良かった…
「危なかったね…」
「あれは群れで遭遇するとやばいな。そうだな…5体が限度かな?いや、死ぬことはないだろうが。」
安全第一で行くなら、5体が限界だ。
「あいつらがどこにいるか分かればな…最低10体狩らないと違約金が発生するぞ。500W。」
「高いね…」
そこで、ふと思い付いた。条件は…これか?
ーーー[索敵]を手に入れました。
「よしっ!索敵ゲット!」
「海人くん、どうやったの!?」
「簡単さ。五感を研ぎ澄ませる。以上!楽なもんだな。」
そう言って、発動させる。すると…
「なんだこれ!?半径5m!?短すぎだよ!」
「海人くん、しっ!」
舞が調子にのって騒ぎすぎた俺を注意する。しまった…迂闊だったか…?
「右80m。数は…2体だね。全速力で走ってきてる
よ。早いね。」
「待て。お前、なぜそんなこと分かるんだ?[索的]の有効範囲は半径5mだろ?」
「勘、かな。」
本当だろうか?俺は舞が確信を得て言っているようにしか思えない。多分、記憶を失っているときに経験したことから得た[確信を持てる勘]だろう。
「さて、じゃあ…[グラビティ]。」
俺は舞と一緒に重力を0にする。ふわふわと浮いたので、あとは泳ぐ要領で進める。
「よっ…と。この辺でいいかな。」
そう言って近くの岩山に降り立ち、コドラが来るのを待つ。コドラが来たとき…
パンっ!
乾いた音が響き渡った。俺が撃った弾は前を走っていたコドラの足に当たり、転んだコドラに足を取られ、もう一体も転ぶ。
「よし、じゃあ次…グラビティ。」
次はさっきと同じ要領でコドラの真上まで進む。
パンっ!
乾いた音。それと同時に俺が放った弾にグラビティを掛ける。
「ギエっ!」
聞こえる断末魔。やはり弾の重さを増やすと威力も上がるようだな。
「これは使い勝手のいい…!あの婆さん、良いもんくれたな!」
俺はニヤニヤしながら、劇鉄を起こした。
次回、「コドラ殲滅と突然の邂逅」お楽しみに!