番外編:分からない感情と休日の過ごし方
今回は番外編ですね。ラブコメ書くのは難しいです。
「ううむ…」
「どうしたの、海人くん?」
舞が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「う、ううおおっ!?」
「わっ!」
慌てて後ろに下がった俺に舞が驚く。
「わ、悪い。自分でも何が何だか…」
「別に平気だよ。ただちょっとびっくりしただけだよ。」
「そういってもらえると助かる。」
舞を見ていると、心臓が激しく鳴り、頭が働かなくなる。
「なんなんだ…」
そう呟くことくらい、許してほしい。
今俺達は、舞の希望で街を見てまわっている。
「へー。結構賑わってるな。」
「そうだね。あっ!ゲームセンター!」
「ゲームの中でゲームか…」
言いながら入ってみる。格ゲー、リズムゲー、歌ゲー、他にも色々あった。
「あっ!スト2だ!」
そう言って舞が迷わず始めたのは、ストロードファイター2。ちなみに料金はいらない。そして…
「おう、お姉ちゃん。ワイに勝てたら商品がある
で。」
こういうゲームに必ずある商品制度。今回は…回復薬500個!?
「舞!絶対勝て!」
「オッケー!期待しててね!」
舞は自信に満ち溢れている。そんなに得意な「ゲームセット!」終わった!?判定は…
「わはははは!ワイに勝てると思ったら大間違いやで!」
やっぱり。さて…
「次は俺がやろうか。」
「おう!兄ちゃん、後悔せんときや!」
この男はさっき[サンギエフ]というキャラを使っていた。動きは遅いが、リーチが長く、威力が高い。そういうキャラはえてして同じタイプが苦手だ。つまり、一撃必殺キャラ。
「俺の[抗議]の力を見せてやる![瞬絞殺]!」
長いコマンドだが、すぐに打ち終わる。俺は、このゲーム得意なんだああああ!!!
「うわあああああ!!!」
今回は1ラウンド勝負なので、これで俺の勝ち
だ。フッ…やはり勝利は気持ちいいな。
「負けた…やと…?このワイが…?おーーーいおいおいおいおいおい!」
なんと、このエセ関西人、負けたら泣き始めた。いやいやいや…
「おい、エセ関西人。これ貰ってくぞ。」
[これ]というのはもちろん回復薬500個のことだ。
「勝手にせえ!ワイは…ワイはあーーー!おーーいおいおいおいおい…」
「どうする?海人くん。」
「ほっとけ。ああいうタイプはそのうち治る。」
放っとく。これぞ万能の選択肢。
「海人くん、カッコよかったよ!さすが!」
舞が笑顔で褒めてくる。ぐっ…
「サ、サンキュー。まあ、このゲームは得意だからな。」
おかしい。やはり舞に対してだけ上手くいかな
い。胸の奥が痛くなる。顔が火照る。
「どうしたの、海人くん。顔が赤いよ?風邪?…って、この世界でも風邪って引くのかな?」
そう言って俺のデコと自分のデコをくっつける。顔が近い…!
「わああっ!?いきなり熱が上がった!?どうしよう!?ね、エセ関西人さん!助けて!」
「ああ…分からんのか?それは薬でも何でも直されへん病気や。ま、邪魔すると馬に蹴られて地獄にいくはめになるから、ワイは逃げるわ。頑張って
な~。」
そう言ってエセ関西人は逃げていった。これ、難病なのか…?
「おー、結構本があるな。」
「ね。本…幸せ…♪」
舞がうっとりしている。本が好きだったのか?
俺達は今図書館にきている。少し病気に関して調べたかったのだ。
大量の蔵書の中から気になるタイトルの本を見つける。
[急に胸が痛くなったり顔が火照ったりする病気について]
…まさしくこれだ。
「読んでみるか…」
1ページ目を開く。こう書いてあった。
「急に胸が痛くなったり、顔が火照ったりするあなた!それは異性と一緒にいるときではないでしょうか?そして、胸が高鳴ったりもする。その症状は、ズバリ、恋です!」
「…馬鹿らしい。」
いるんだ。何でも色恋に結びつけたがる輩が。…しかし、俺の症状にはぴったり合っている。まさか…?
「何読んでるの?」
「うおおおおおおおっ!?」
急に舞が現れ、反射的に本を閉じる。タイトルが見える。…やべ。
「[急に胸が痛くなったり、顔が火照ったりする病気について]?海人くん、これ、どういう病気なの?」
「うるさい!聞くな!」
顔を真っ赤にして答える。こいつは…!
しかし、本当にそうなのか?本当に恋だとすれば俺はどうすればいいんだ?
考えた結果、今までと変わらなくていい、という答えに落ち着いた。
終わり方が微妙ですね…精進します。