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狂った乙女ゲー攻略キャラ

作者: 空海嘘

『バグった乙女ゲー』の続編で、今回は攻略キャラ視点です。

そちらを見ないと若干わからないと思います。

俺らの(ひめ)(さま)


誰に対してもびくびくしてて、兎みたいなか弱い存在だけど、とてもお優しく俺達には心を開いてくれている。


そんな神様が大好きで出会った当初から、御影美琴(みかげみこと)の傍にいた。


あの時は、何故だか美琴を神様だと感じたんだ。


きっと俺達の他にもそう感じているはずだ。


あ、そうそう。

俺の名前は猿飛輝(さるとびこう)


美琴とは小学生から一緒でクラスメイト。


美琴は、神様のような存在。


「ねえねえ、輝くんはさ…美琴ちゃんと付き合ってるの?」

「ん?俺が美琴と?あははは。ないない!」

「じゃ、じゃあさ!み、美琴さんのことがす、すす好きなの…?」

「んー。美琴とはただの友達だよ」

「そ、そうなんだぁ」


美琴は確かに可愛い類に入るし、他の男子も可愛いって評判だよ。

確か、付き合ってみたいランキング10までに入っているみたいな話は聞いたけど。


目の前にいる子も、他の女子もなんだか俺らが美琴と付き合っているみたいで、片思いしているとか噂されているみたいだけど、


美琴は神様みたいな存在で、憧れだけの人なんだよ。


でも、好きな人がいないわけじゃないよ。


「好きな人はいるよ。

美琴がべったりとくっついている、可愛くって壊れそうな存在の女の子」


神様(みこと)が大好きなら俺も大好きになる。

だけど、それが個人的(・・・)に大好きに変わったのはいつなんだろう。


* * *


美琴から集まりの連絡が届いた。

何だろうと思い、取り敢えず集合場所に行った。


そしたら、そこには、


「どうしようどうしようどうしようどうしよう!私なっちゃんに嫌われた!なっちゃんが私から離れようとしてるの!いやだやだやだやだやだああああ!!なっちゃんが、なっちゃんが変な女と居場所を交換するとか言ったぁ!!やだやだやだなっちゃんはずーっと、ずーっと私といるのぉ。なっちゃんは私といるの!誰にもゆずらない!交換なんてさせない!なのに、なのになのになのになっちゃんが、なっちゃんが変な女と交換してあげるって言った!なんで、なんでなんで!?」


ヒステリックにあげる、美琴と他のメンツがいた。

美琴はふんわりとしていた髪の毛を毟って、床には栗色の髪が散らばっていた。


可愛い可愛いって言ってたあいつらは、こんな美琴を見てどう思うだろうか。


「美琴」

「ううう…。……輝くん?」

「美琴がこんな姿になるなんて珍しいな!何かあったんか?」

「うん。あのね、なっちゃんが、なっちゃんがね、変な女とお話して、居場所を交換してもいいって言ってたの。私、私はなっちゃんがいいの!なっちゃんじゃない変な女なんて、嫌い嫌いだいっきらい!いなくなれ!どっかいって!」


落ち着いたかと思ったらまたヒステリックに叫ぶ美琴。


美琴の口から出てくる人の名前。


その人は、美琴と従姉妹で一緒にいて、

美琴と俺らが愛する大切な「なっちゃん」。


ただ、俺らが「なっちゃん」と呼ぶと美琴は今のような感じになりある程度時間が経たないといつもの美琴に戻らない。

というか、「なっちゃん」の本名すら呼ばせる許可を出されていない。寧ろ話すことさえも。


「美琴があの子に嫌われるわけないじゃん!もし、美琴のことが嫌いならとっくの前から拒絶してたと思うよ?」

「…そう、かなぁ?」

「うんうん。というか、あの子も酷いよね。美琴がこんなにも友達(・・)として大切に思ってるのに」

「……ともだち…。うん、そう…なの。なっちゃん、私がこんなにもなっちゃんのことを想ってるのに、最近嫌そうな顔をするの。私、悲しくって泣きそうになったけどね、なっちゃんに私の泣き顔を見ると困っちゃうから我慢したの。でも、でも、もう我慢できないよぉ…。


なっちゃんは、また私を置いていくの…?」


美琴の泣き顔は、綺麗。他のメンツはうっとりと美琴を眺めているけど、俺は思うんだ。


あの子も、例えば大切なものを奪われたり壊されたりしたら、きっと泣くんだろうと。

その姿は美琴よりも素敵で、綺麗で、もっともっと壊したくなる。


「なら、美琴!あの子を見返してあげようよ。

おれ…美琴がどんなにあの子のことを友達として大切にしてるか、確かめようよ!

いつも傍にいるのに、突然それが無くなったらきっとあの子は動揺して美琴のことをいっぱい考えてくれるに違いないよ!」

「なっちゃんが、私のことをいっぱい想ってくれるの…?でも、私…なっちゃんと離れたくないよぉ」

「大丈夫!一時的にだからさ。それに、美琴の大切さを思い出して美琴のように想ってくれるよ!

ねっ?だからさ、やってみようよ」






美琴は、それがあの子に対する「友情」ではなく、「愛情」または「恋」と気付いていない。それも異常なほどに。


たまに、これは恋じゃないのかって俺らに相談してくるけど、「それは友情だ。友達として大切に想っているんだよ」って教えている。


美琴だけ、狡いじゃないか。

美琴だけ、あの子の名前を呼べることも話せることも接触もできているんだから。

俺らは見ていることしかできない。


だから、これぐらいいいよね?


そもそも、同性同士の恋愛だなんて周りから見れば気味悪がれるだろうし。将来結ばれることも、子供もできないんだよ?エッチをする時だって不便だろうし。


その分、俺らは出来る。


ね?だからこれぐらいいいよね美琴。




猿飛輝(さるとびこう) 年齢:15(中学3年)

前作の、黒澤玲香(くろたくれいか)が知る『乙女ゲーム』の攻略キャラの一人。

『乙女ゲーム』のヒロインでもある、御影美琴(みかげみこと)を神様のような存在だが、恋愛として意識してない。

美琴と『なっちゃん』の接触を見て最初は美琴が好きだから自分も好きと思っていたが、見ていた内に個人として美琴のように好きになった。その為、美琴に対してライバル意識をもつ。

自分(達)は『なっちゃん』を接触も名前を口にすることもできないため、『あの子』と言い美琴と話している。

だからなのか、仕返し(?)として美琴に『友情』と教え、『恋』だと告げていない。


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