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天罰とフール  作者: 道詠
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第一羽目 1-1C 日常の旅人 前篇

日常がメイン。ダークメルヘンチックなファンタジー非日常はドデカイ添え物。

友達としゃべったりあそんだり、気になる娘にアタックしたり、思う存分中二に走ったり、所帯じみた事に頭を悩ませたり、思春期特有の悩みがどうしても気になったり、過去のトラウマに頭をガツンとぶつけてリセットしたくなったり、だいたいそんな男子中学生の日常。

作者的には「みんなどこも悪くないよ」より、「みんなどっかかんか悪いとこあんだから、あんま気にせず楽しくいこうぜ!」ぐらいのノリを書きたい。

「実はね、わたし……――が好きなの」

 枦谷栗香は、意を決した表情できっぱりと瀬人に告白をした。

 宵闇の中、夜の街並みに浮かぶ点々とした灯りのように、濡れている粒がまだ残る闇色の瞳はきらきらと目映く輝いている。

 その眼差しは真摯なもので、その言葉に嘘偽りはないのだと、瀬人が悟るのと同時に側頭部を鈍器でガンと殴られたような衝撃が走った。



「……ねむい」

 そこで、目が覚める。ただの夢だった。どうやら、自分はうたたねしてしまっていたらしい。

 一般的な中学生活を送る帰宅部の少年は顔を上げ、宿題の事を思い出して急いで手を付ける。


 或る日、突然学校に美少女が転入してくる――なんてお決まりのパターンに思いを馳せる、少々痛い思春期真っ只中の少年、桜山瀬人は今日も退屈そうに今日提出予定の宿題と朝から格闘していた。


 そして――――


「今日からみんなと机を並べる事にになった転校生の京紫龍壱君よ」

 ――悲しい事に、転入生は男だった。


 桜山瀬人。13歳。中学2年生。誕生日は12月31日の大晦日。身長180後半。大体の身長から窺える通り、自身の体重はもちろん忘れている。

 それなりに筋肉のある体付きに目付きの悪いクールな面立ち。澄んだ紫色の眸に周囲から「おじいさん」とからかわれる白に近い灰色の髪。見掛けから想像したものよりも数段と低く大人びた落ち着きのある声。

 帰宅部で成績は赤点常習犯、残念な事に異性と積極的に会話する度胸もなければ、悪く言えば恋人を作れない性格の典型、良く言えばいい人以上に思われるような性格もしておらず、異性の気を惹く特技も特徴も持っていない。

 サッカー部、バスケ部、頭が良い、スポーツが出来る、身長が高い、優しい、自分に自信を持っている……と言った、女子が口にする異性に惚れるポイントを悉く見せられない時点で、彼の冴えない雰囲気は彼女たちの目に留まらないのかもしれなかった。

「はいはーい! カノジョいますかー!?」

「わぁ、めっちゃいっけめーん!」

「やばい、好きになっちゃったかも~」

 ――こう言っては失礼な話だが、なんだろうな……一言で言うなら、見てるだけで腹が立ってくる。

 白に近い紫色の髪に高貴な印象を齎す菫色の眸。気品のある佇まいからは上品や優美と言った言葉ばかりが浮かんでくる。当然、顔立ちも端麗なものだ。

 シャープな銀縁眼鏡が似合いそうなぐらい、頭のよさそうなオーラが顔立ちや全身から漂ってくる。それでいて、感じ取ったものはお坊ちゃんではなく出来る男や王子とくれば、瀬人でなくても腹立たしさを覚えるだろう。

 女子たちの質問を聞き流し、瀬人は一人宿題に励む。聞いているだけで自分の心の狭さが露見してしまうのは勘弁だった。


 こっくり、こっくり、と舟をこいでた瀬人は乱暴に腕を叩かれ、徐々に意識が現実へと帰ってくる。

「……おいおい、瀬人! ヤベエぞ、今日オレが読んだラノベみたいな展開がやってきた!」

「……なんだよ、って、ヤバイ宿題ッ!?」

 眠気眼で目蓋をこすっていた瀬人は、慌てたように立ち上がる。

 ガタンッと椅子の引く音と突然立ち上がった瀬人の存在に、教室中の生徒の目が瀬人一人に集まった。

 瀬人の目の前には、正確に言うならば教壇の右隣には、一人の綺麗な美少女が立っている。美少女と言うより、美女と言う言葉が似合いそうな外貌。

 ――……お姫様、じゃないんだよな?

 それが、桜山瀬人の白崎彩に対する第一印象だった。

「桜山君、いくら相手が美人だからって、アピールが早いんじゃないの~?」

 女教師の茶化した注意に、教室にどっと笑いが起こる。女子生徒も男子生徒も「気が早いって!」と、瀬人の行動に笑っていた。

「あ……すみません」

 恥ずかしくなって座り込んだ瀬人は、前を見れずに俯いた。瀬人を起こした隣の男子生徒、飼葉はにやにやと笑っている。それが気に喰わなかった瀬人は軽く睨み返した。

 自己紹介が終わり、質問タイムは昼休みに後回しされ、転入生は後ろの一番窓際の席に座る事になった。

 転入生は瀬人の隣を通り過ぎる。その時、今まで顔を上げるに上げられなかった瀬人は、ちらりと顔を上げて転入生の顔を拝む事が出来た。

 ピンクがかった紫色のロングストレートに美しい菫色の瞳。ピッと背筋の張った背中は凛々しく、引き結んだ唇や毅然とした目付きからは気高さを感じさせ、初っ端から瀬人の第一印象を打ち壊す事となった。

 ――音が、消えた。

 ふと、目が合う。瀬人は息を呑んだ。ふっと羞恥と緊張から力の入っていた両肩が軽くなる。

 頭の中が真っ白になり、酸欠状態のようにぼうっとして何も言葉が浮かばなかった。

 それでも、彼女の瞳は重力か何かの力がこもっているかのように眼を離せず、強く惹き付けられて離す事が出来なかった。

 それはほんの数秒の出来事だった筈なのに、もっと長い時間、互いが互いを見つめ合っていたように思えた。

 互いの眼差しから解放され、瀬人の両手に力が戻ってくる。同時に両肩にはどっと重みが圧し掛かってきた。

 少しずつ落ち着いてくると、周囲の生徒達も息を呑んでぼうっと彼女を見つめている事に気が付いた。比喩でも何でもなく、教室からは音が消えていたのだ。

「……綺麗だな」

 歩いているだけなのに、と飼葉がぼんやりとつぶやく。魂を吸い取られた、と言った表現がピッタリな様子だった。

「そうだな」

 瀬人が相槌を打つと、飼葉は「なにがだ?」と何も分かってない顔で言い返す。どうやら、無意識の独り言らしい。

 ――だが、変だな。あの眼、どこかで見たことがある気がする……って、鏡か。

 瀬人は奇妙な既視感を覚えたが、自分の目も紫色だった事を思い出し、それでだろうと片付けた。

 ――けど、俺の紫じゃなくて、あの紫を見たことがあるような……花か何かの紫かな。

 妙にしこりが残ったものの、それらしい事で自分を納得させた瀬人は、ぼーっとしながらも教科書とノート一式を取り出す。そこで、またも瀬人はハッと目を見開いた。

「……あ。宿題! 飼葉!」

「桜山君、宿題は当日にやるものではありませんよ」

 静かな教室に響き渡った瀬人の声をきっかけに、教室はまた元の賑わいを取り戻す。

 教師の諭すような声音と飼葉の呆れきった顔に、瀬人は耐え切れなくなって顔を赤らめた。


 飼葉義美。よっしーと言うあだ名で親しまれている彼は、顔の形はなすびだが顔立ちそのものは猿に瓜二つと言う特徴を持っている。

 本人のコンプレックスは義美と言う名前と左の目元にある泣きぼくろらしい。何せ、気にする余り絆創膏を貼り付けて泣きぼくろを隠したぐらいなのだ。

 ――欠片も似ていない双子だよな。妹はあんなにも泣き黒子がセクシーで見掛けが艶っぽい大人びた少女だと言うのに。……妹は妹で、大学生ぐらいに見られることと義子って名前がコンプレックスなのが似てると言えば似ているが。

 可愛らしい恰好を好んでよく着るせいで、私服姿が見ていられなかったと言うのは瀬人の胸中に収めてある秘密だ。兄とその友人としては、「せっかくデカくてエロイのにもったいない」の一言だが。

「あーあー、はっやく席替えこねえかなあ」

「御前、行かなくていいのか。興味ありそうなのに」

「あの中を行く気にはなれんよ」

 1時間目と2時間目の休み時間。飼葉はクイッと親指を彼女の席へ向けた。

 クラスの女子たちに囲まれて話す白崎彩は、困ったように微笑んでいる。クラスの女子たちが矢継ぎ早に質問を飛ばしており、常時ハイテンションでキャーキャー声を上げているからだろう。

「てかさぁ、前がオランのせいで黒板見えないんだよ」

 桜蘭灯。オランとは、オラウータンに似ている事と桜蘭と言う名字から名付けられたあだ名だ。親御さんが好きなキャラクターの名前「オーラント」からとったと言っているだけあって、珍しい名前だった。

 ――一郎次郎三郎や何とかジュニアと言い、人の名前って結構テキトーに名づけられてきたものなんだろうか。

 自分の名前が地味に気になっている瀬人としては、心中で勝手に共感している相手でもある。

「でさでさ、席替えがはやくくれば、ひょっとしたらあの転入生とも御近づきになれるかもしんないだろっ!?」

 小声で抑揚をつけて上手いこと感情を表現する飼葉に感心しつつ、瀬人は無関心そうに頷いた。内心では興味津々だが、そこは年頃、つい恰好を付けてしまう。

「なんだよ~、おまえだって内心はドキドキだろ? あんな美少女、オレ初めて見たよ。芸能人じゃないのがフシギだね」

「芸能人なんてテレビを点けたらいるじゃないか」

「はぁー……そういうキャラだから、オタクでもないのにオタクだってみられるんだよ。イヤむしろオタクの方が何倍もマシだね、ハマってるものがあんだから」

「そうだな、それだけ夢中になれるものがあるって羨ましいよ」

「はっはっは! 少年よ大志を抱け! 寝るのがシュミなんて枯れたコト言うなよ、童貞!」

「大志だけがデカくて終わってる童貞はどうなんだろうな」

「ま、まだおわってないし……!!」

 ぷるぷると震えきった声で訴える飼葉は、自分がブーメラン発言をした自覚があったようだ。

「ところで、今日の晩飯って何が良いと思う?」

「イキナリだなぁ!? なにがいいって……からあげ、トンカツ、親子丼?」

「…………」

「教室でスーパーのチラシ広げんなよ……次、授業始まるぞ?」

「なんで人間ってのは毎日メシを食わないといけないんだよ……」

 瀬人はだるそうに机に突っ伏す。飼葉はへらへらと笑いながら「まー、どんまい」とかるい励ましを送ってくれた。

 ――そうだ。ほうれんそう処分しないと。危なかった。安くて良さそうのがあるとつい買っちゃうんだよな。

 血の繋がっていない2人の姉と暮らしている瀬人の家では、瀬人が家事を担当している。過去の事件で家族を亡くしている瀬人は、仕事で多忙な保護者に代わって家事を申し出た。

 恩返しをしたいと言う一心から始めた家事は、今では自分の生活の一部だ。

 お蔭で、近所のおばちゃん方との会話も弾み、「うちの息子がねえ……」と言う愚痴にも難なく付き合っていけている。

 しかし、瀬人には男としての魅力が欠けているのか、マダムキラーと言う称号には無縁だ。

 小休憩が終わり、2時間目の授業が始まる。道徳の授業なので、体育会系の部活に入っている生徒は始まる前から寝だす程だ。

「なあ、飼葉、御前の家夕飯どうするか困ってないか」

「えぇ? それってどういう意味よ?」

「近所に住んでる美代子さんから御裾分けを貰ったんだが、ウチの大食漢が最近ダイエットしているせいで、家じゃ食べ切れる量じゃないんだ」

「そんなにもらったんなら、断ればよかったのに」

『食べ盛りなんだから、それぐらい大きいといっぱいたべるでしょう? ウチはもう子供が出て行ってるし、もらっちゃってちょうだい』

「……断り切れなかったんだ」

「オイオイ、断れない男はモテないぜ?」

「向こうは断られると思ってないんだ。しかも笑顔で差し出されたら、善意を無下にするのも心苦しいし……」

「そうやってオレの妹は太り、体重を気にしてダイエットを始めたがな!」

「あの巨乳が見れなくなるのは悲しいが、本人は異性の目を気にしそうな性格だし、巨乳じゃ嫌なんだろうな」

「これが身内以外だったら分かってねーなぁ、なんだけどよ、妹だしなあ……」

「御前は何様だ。思春期なんだから、そこらへんは慮ってやれ」

「おもんバカンス?」

「どっから出てきた言葉だ……?」

 鉛筆をコロコロと転がして、出た目を御手製マップに対応させながら、2人はTRPGテーブルトークアールピージーを進めていく。

 起きているのは瀬人達の様に遊んでいるか、雑談している者達だけだ。他の起きている男子は内職をしているか、紙を利用して将棋で遊んでいる。

「白崎さんって髪キレイだよねー。どんな手入れしてるの? 使ってるトリートメントは?」

 ふいに転入生の名前が聞こえたので、瀬人の意識はそちらに傾く。どうやら、クラスで純粋におしゃべりを楽しんでいるのは彼女たち2人だけのようだ。

 だが、聞こえてくるのは瀬人にとってどうでもいい話ばかりだった。瀬人はすぐに興味を失くし、惰性的にゲームに取り組み出す。何時の間にか、何となく軽かった気分は途切れていた。

「ハセタニってカワイイよな」

「え? ああ、そうなんじゃないか」

 頭の中で冷蔵庫の中身を確認していた瀬人は、気の抜けた声を出す。気が付けば、飼葉はぼそぼそと声を潜めて話し出していた。

「実を言うとさ、オレ、ハセタニ狙ってんだよ」

 瀬人の無関心ぶりにほっとしたのか、何故か飼葉は瀬人に恋の悩みを打ち明けだす。静かな教室内でなんとも大胆な事を、と瀬人は自分の事でもないのにヒヤヒヤしたが、女子2人は会話が盛り上がっていてこちらには気が付いていないようだ。

「そうか。頑張れ」

 瀬人の頭の中は明後日の弁当のメニューに差し掛かっている。飼葉はその後も真面目な顔で瀬人に相談してきたが、クラス内の恋愛模様などに興味のない瀬人は無難な相槌を打つ以外する事がなかった。


『ハセタニのタイプがどんなのか、それとなく聞いてきてくれよ』

 ――御前は告白の時に大人数で集まって男に告白してくる女子か何かか。あれか、俺には『ファイト!』とかなんとか励まして、背中を叩いて送り出す友人役の女子でいろと?

 話半分に聞いていた報いがきたのか、気付いた時には面倒事を押し付けられていた瀬人は、放課後、教室掃除の班の女子を手伝う枦谷が目に入った。

 暗記科目は全滅、記憶力の悪さには友人間で定評のある瀬人だが、人の会話に関しては自信があった。教師の話で覚えているのは、試験に役立たない雑学か教師自身の私生活だったが。

「枦谷、教室掃除の班じゃないよな?」

「あ、うん、手伝ってるの。わたしの班は終わったしね」

「へえ、偉いな。俺はいつも早く帰ることしか頭にないから、たまには見習ってみようかな」

 用件は早めに済ませたかった瀬人は、どう聞き出そうか悩んだものの、取り敢えず掃除を手伝う事にして、机運びや黒板消しを手伝った。

「ありがとう、桜山君。おかげで早く終わったよ。たすかっちゃった」

 可愛らしくにこっと笑う枦谷からは、癒しのオーラが漂っている。可愛いなと思いつつ、瀬人は話を切り出す。

「なあ、申し訳ないこと聞くんだが、今気になってる奴っているか?」

「えっ!? な、なんできゅうに?」

 枦谷はちらちらと周囲の様子を窺っている。近くにいる女子が聞き耳を立てている事に気が付き、あからさまに落ち込んだ表情になった。

「いや、他のクラスの奴に頼まれてさ。嘘でも言えないでもいいから、適当に答えてくれ」

 ――要は、飼葉が知りたがってるとバレなければいいんだよな。これで義理は果たしただろう。

 黒いふわふわのショートカットを揺らしながら、枦谷はおどけたように答えた。

「やっぱあれかな、背が高くて運動できて勉強できるひととか!」

 明るい声音で冗談っぽく言っているが、瀬人に女子の本心を見抜くスキルはないので、瀬人の感想は「まあこういう女子いるよな」ぐらいだった。

「やっぱり運動や勉強出来る奴は魅力的なんだ?」

「そういうの、わかりやすいカッコよさじゃない? 恋愛って、付き合ってからじゃないとわかんないことがイッパイあるし」

「へー、取っ掛かりみたいなものか」

 ――付き合ってみないと分からないだなんて、大変だな。彼女居ない歴=年齢の俺に隙はなかった。……隙しかないから、もうなにもこわくない!

 何だか体が軽やかになってきたところで、瀬人は自重する。枦谷のくりっとした大きな黒い瞳が、瀬人を見上げてじっと見てきた。

 瀬人の苦手な瞳だ。彼はお人形さんじみた愛らしさと言うものが、人工的に感じられて恐ろしいのだ。

「俺はそういうステータスよりも、愛嬌があるとかのほうがいいな。

自分が愛想ないほうだからか、見習いたいなって思う。枦谷はそういうのどうだ?」

「あーうん、愛嬌ある人って可愛いよね。明るいとさ、こっちが暗いとき励ましてくれるのってキュンとこない?」

「俺は男なんだが……」

「あはは、マジメだなあ、桜山くんって」

「それバカにしてるだろ。あのな、テレビだと結婚するなら真面目な男がいいって言ってたんだからな」

「ふふっ、なんでムキになってるの? 桜山くんっておもしろいね」

「面白い? 飼葉とかが面白いのなら、分かるが……」

「ううん、カイバはウルサイ。あとウザイ。幼稚な男子の典型ってカンジ」

「まあ男は幾つになっても子供と言うしな」

「桜山くんはちがうカンジするよね。クラスの中でも大人っぽくて、なのにテストだといっつも『何時も通りだ』って自信満々に出来てない発言するんだもん、あれには笑っちゃった」

「う、聞こえてたのか……」

「ごめん、耳に入っちゃって。桜山くんの声、記憶に残るんだ」

「飼葉の声がキーキー高いからじゃないのか? キィーキィー! ってな」

「あはは! 今の声そっくり~! 桜山くん、高い声も出せるんだね」

「おかげで喉が痛い。あいつ、こんな喉痛くなりそうな声出してるんだな、すごくないか?」

「ねー。もう、やかましくてテスト中、ヘンに頭の中に残るときがあるんだよ。桜山くんが何とかしてくれない?」

「あいつは自覚ない上になにを言っても聞かないから無理だな。枦谷が言ったらどうだ」

「ムリムリ。わたしの注意なんか、うざったそうにムシしてくるんだよ?」

 ――おお、気が付けば話題の中心が飼葉に。ここはひとつ友人として、適当にベタ褒めしといてやるか。感謝しろ、飼葉。俺と言う第三者の言葉が介入すれば、紛れもなく枦谷の中の飼葉株は上がる筈だ。偶然とはいえ、ふっ、俺の軍師ぶりを見よ!

 ただの偶然を策略と脳内で言い張るアホぶりはさておき、瀬人は思い付いた先から飼葉の長所を上げていく。

「ああ見えて、飼葉の奴もけっこう良いところあるんだよ。

親切にも教えてくれようとしてくれる女子たちが俺のバカさに手を挙げてギブアップしていく中、根気よく教えてくれたし」

『こうなったら、なにが何でもおまえを小テスト一発合格に導いてやる!』

 瀬人が姉に頼まれて作った菓子を餌に釣ったくだりをオチに持っていくと、枦谷は「アイツらし~」と笑ってくれた。

 ――えーと、飼葉のいいところ、いいところ……。

 あんまり話題を引き延ばしても不自然なので、瀬人は適当さを心掛けながら、枦谷とだらだら雑談を続けた。

 そうこうしているうちに、掃除の時間は終わり、教室は2人きりになる。目的に意識を奪われていた瀬人は、枦谷が時たま教室の壁に掲げられた時計を見る仕草をとっている事にやっと気が付く。

 ――ヤバイ。非常に申し訳ないことをしてしまった。てか、これだから俺はモテないんだろうな……。

 うっかり暗い事が頭の中に過ぎりつつ、瀬人は「ごめんな。こんな遅くまで話して」と本気でぺこぺこ謝る。

「ううん、桜山くんってカイバのこと、ダイスキなんだね」

 ――ゴフッ!?

 思わぬところからアッパーカットを喰らった瀬人は、枦谷の引き攣った表情を見て、更にショックを受ける。

 ――も、もしかして俺は……そっち系の奴に思われている?

 吐血しそうな精神を持ち堪えつつ、瀬人は懸命に枦谷に弁明をした。だが、その必死さが枦谷の誤解を加速させる。

「違うんだ。俺はゲイじゃない。断じて違う!」

「だいじょうぶだよ、わたし、そういう差別とかしないから。ね、気にしないで。桜山くんとわたしは友だちじゃない」

 ――女子特有の必殺技、勘違い+お節介のコンボがきやがったァァァァアアアアッ!? うわあ、もうだめだ、このパターンが入ると、あいつら完全に自分の脳内世界に引き篭もりだすから、俺が何言っても聞いてくれないんだよな……。

 女子から誤解されやすい瀬人は、『実は人妻と不倫してる』『馬鹿な男子見下してそう』『重度のオタクでキモイ人』などなど勘違い盛りだくさんの実体験が多々あったのか、死んだ魚の濁った眼で諦めムードを漂わせている。

「実を言うと、わたしね……」

「本当に違うんだ! その、あれ、あれだ、そう、俺が枦谷ともっと話がしてみたかったからで!」

 ――って何言ってんだぁぁぁぁああああああっ!? くっ、ぐっ……ああチクショウッ! こうなったらヤケだ! ゲイじゃないと分かってくれれば、この際フラれても構うものか!

「えっ?」

 夕暮れの教室。開いた窓から吹き抜ける温かな風が、彼女の艶やかな髪の毛を揺らす。はためく暖色系のカーテンと茜色の陽射しが入った教室の中は、暗い影が差しこんでいる。

 優しくも穏やかな世界の中、彼女と瀬人の影が2人きりで佇んでいた。自分の事で精一杯な瀬人は、ふと彼女の頬に朱が走ったのを見た。

 ――ああ、やっぱり可愛いな。

「俺は、枦谷と話してると楽しくて――だから、もっと話していたくて、けど、飼葉の話ぐらいしかなかったんだ」

 彼女が薄桃色の唇を開きかけ、閉じる。かぁあっと熟した林檎のように頬が真っ赤に染まった。何故だか、その初々しい顔を見ていると、自分の頬も嫌に熱く感じられた。

「……桜山くん、カオあかいよ」

 枦谷は困惑した様な表情で、ふいっと瀬人から視線を外す。うつむきがちに瀬人から顔を逸らして、両脇にあった筈の両腕はスカートの前まで動いてきて、彼女は両手を重ね合わせ、指先を絡め合った。

 ぎゅっと両手を握りしめる彼女を見下ろす瀬人の表情は、彼女以上に真っ赤だった。耳まで赤い瀬人の顔に、何の言葉も返せなかった彼女は、逃げるようにそう切り返す。

「は、枦谷だってそうだ」

「桜山くんは、耳まであかいよ。わたしのは、ほっぺただけだし」

「でも、頬はまっかだ」

「ほおってなに。そんなこと言うひと、初めて聞いた」

「頬は頬だ」

「いじっぱり」

「そうだ、ガンコだってよく言われる。わるいか」

「何も言ってないじゃない」

「言われる前に言った」

「……そう」

 枦谷は黒いふわふわの髪を掻き上げ、耳にかける。髪から食み出た耳は熱を帯びていて、瀬人にも見えた。それとも、それは夕陽の光が差し込んで、彼女がオレンジ色に染まっていたから、そう見えただけなんだろうか。

 手にじめっとした汗が伝う。少し余裕を取り戻したのか、瀬人は自分の手の平が汗で湿った事に気が付き、手の平を制服のスラックスで拭った。

 ――なんで、こんなに緊張してるんだ。心臓の音がうるさいんだ? まさか俺は無意識のうちに前から、枦谷のことを……? そんなアホな、単に俺が童貞だからってほうがまだ説明が付く。

 まるで本当に彼女に恋をしていて、一か八かの告白をしたかのような心境に、瀬人自身が戸惑う。

 吹き出す汗のように焦りが止まらない。じんわりとした汗が脇を伝っていく。頼むから、この焦燥感ごと持って行ってくれ、と瀬人は自分の流す汗に馬鹿な願いを抱いた。

 校庭からは野球部の掛け声が聞こえてくる。ざわざわとした木々のざわめきや生徒の騒がしい声が、随分と遠くに感じられた。

 陳腐な表現だとは思ったが、瀬人にはまるで此処だけが他の空間と切り離されたように感じた。世界に2人だけしかいないような切なさと、身体の中を駆け巡る熱。

 心臓の鼓動が警鐘のように鳴り響き、瀬人の頭の中では心臓の音だけが木霊していた。

 火照った頬を冷ましてくれるように、午後の風が2人の頬を撫でて、通り過ぎていく。

 枦谷を見つめる瀬人の耳には、ぼんやりと、だがしっかりとした足音が聞こえてくる。誰かが走ってくる足音だ。

 彼女が顔を上げ、瀬人が振り向く。少しして、その足音は教室の真ん前までやってきた。ガラガラと扉を開いて、それから2人を見て顔をこわばらせる。

「――カイバ……」

 彼女がぼうぜんとした様に呟き、瀬人は飼葉とそっくりな表情だった。しかし、その心情はまるで違う。例えるなら――

 ――ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!??

 ――善意でやった事が空振りどころか最悪の連鎖を立てて歯車の様に回っていく事態に、絶叫を上げたいような気分だろうか。

「し、しつれい! おふたりさんのジャマしてわるかったね、オラさもうジャマしねえから、あとはお若いおふたりでっ!」

 飼葉はダッシュで走り去っていく。教室に物を取りに来た筈の彼は、脇目も振らず走り去って行った。

「……ど、どうしよう。カンチガイされたよね、どうしよう……!」

 顔から血の気が引いている枦谷の咄嗟の一言に本音を感じ取った瀬人の心は、第二次災害を受ける。

「ウワサっ、ウワサされちゃうよ、桜山くん、どうしようっ!?」

 パニックになって次々と瀬人の心にダイレクトアタックする一言を口走る枦谷に、瀬人は顔を背けた。

 ――……なんだろう。なんていうか……泣いてもいいですか。

 想像の遥か斜めをいったフラれ方は、瀬人にとって相当キツイものだった。涙をグッと堪え、堪えろ堪えろと自分に言い聞かせた瀬人は、何でもないような顔を作る事に必死で無表情になっていた。


「ドラマやマンガじゃないんだから、こんなタイミングに来るなって話だよな、あはは」

 乾ききった笑いを浮かべてしまう瀬人に、枦谷は真顔で怒る。その瞳には小粒の涙が溜まっていた。

「冗談言ってる場合じゃないでしょ! わたし、わたしっ……!」

「好きなひとがいるんだろ?」

「っ、ど、どうして……?」

「見てたから、分かるよ。同じクラスの奴だろう?」

 瀬人も真剣な表情で聞く。枦谷は泣きそうな顔でこくん、とちいさく肯いた。

「知ってたのに……それなのに……?」

「? ……ああ」

 ――知ってたのに~がどういう意味だかサッパリわからないとか、この空気で言える訳がなかった。

 枦谷の驚いた顔の意味もぽろぽろと涙を零し始めた意味も、申し訳ない事に一ミリも理解出来ていなかった瀬人は、ハンカチとティッシュを取り出す。

「どっちもあるから、どうぞ」

 把握出来ていない罪悪感からか、瀬人は微妙に畏まった口調になりつつ、彼女に両方差し出す。彼女はハンカチを取って、涙を拭った。

「鼻噛みたかったら、使っていいからな。あ、そういうの気にするんだったら、俺、出てくから」

 ――女の子が泣いてる。というかあれか、俺が泣かせた? どうしよう、気まずすぎる。誰も出て来なくていいけど、誰かに助けてほしいこのジレンマァー!

 おろおろとし始める瀬人は、背中を向けて出て行こうとする。すると、彼女は瀬人のセーターの裾を掴んでくいくいっと小さな力でひっぱった。

 あまりにも頼りのない力に、瀬人はだいじょうぶかと振り返る。彼女は不安な顔で、潤みきった瞳を瀬人に向け、すがるように小さく唇を開いた。

「おねがい……」

「……しょうがないな」

 瀬人は苦笑したように微笑むが、言葉を誤解した枦谷は指を離し「ごめんなさい……」と消え入りそうな声で謝った。

「あ、いや、違う。ゼンゼン平気だ、だから気にするな。俺は君が元気になってくれるのが、一番嬉しいから」

 ――……女子ってズルイな。しかしまあ、こうして見ると子供みたいだな。妹いたら、案外こんな感じかもしれん。まあいろいろと抱え込んでた様子だし、晩御飯は後でメール入れておこう。

 瀬人は「とりあえず座るか」と、彼女の椅子を引いて、彼女を席に座らせ、自分も近くの椅子を引いて座り込んだ。

「ごめんね、めいわくかけて」

「辛かったんだろう? 好きなだけ泣いていいんだ。よくがんばったな」

 瀬人はなるべく優しい声を意識して、ぽんぽんと彼女の背中をさする。彼女はこくこくと首を上下にふって、小さい子供のようにぐずる姿を見ていると、先程まで一喜一憂していた自分がバカらしく思えた。

 ――この娘の為にも俺がしっかりしてやらないとな。飼葉には正直にすべて話す。今は誠心誠意、謝れるだけ謝ることだけを考えよう。俺が余計な真似をして、飼葉を傷付けたのは事実だしな。

 暫く彼女が泣き止むまで待っていると、辺りはすっかり暗闇一色に染まっていた。

『そっかー、気を付けて帰るんだよ。なんならおねーちゃんが迎えに来てあげるからね~笑』

 隙を見て義姉にメールを送った瀬人は、すぐさま返ってきたメールを見て、携帯電話を閉じる。

「ごめんね、桜山くん。こんな時間まで、ヘンなところまで見せちゃって」

「だから、気にするな。困ったときはお互い様だし、女性の泣いてるところをほっとく外道になった覚えはないんでな。それに、枦谷はいつも快活で笑顔が多いなと思ってたから、たまには弱くなってもいいんだぞ」

 なっと瀬人は枦谷の背中をぽんっと優しく叩いた。枦谷は照れくさそうにはにかんで、ちいさく微笑んだ。

「それにあれだ、男と違って女の子は泣いても可愛いからな、気にすることない」

 茶化すように明るく言った瀬人の言葉は華麗に滑り、枦谷は無反応だった。気を遣って笑ってくれる余裕はまだないらしい、と瀬人は判断する。ただでは転ばない男だった。

「……ほんとう、ごめんね。桜山くんは、わたしのこと、好きって言ってくれたのに」

「あ、え、えーと、それは……」

「ちゃんと、言っておかないとダメだよね」

「…………」

「ごめんなさい。わたし、好きなひとがいるんです」

「……すまない。俺こそ、言わないといけないことがある」

「……?」

「俺、枦谷と話したいと思ったのは本心だ」

 ――普段女子と話せないからな、ウキウキした。本当に。俺は自分から女子に話し掛けられないヘタレなんだ、そうさ、飼葉のことを言える立場じゃない、類は友を呼ぶ……へこむから、考えないようにしよう。うん。

「だけど、俺は枦谷に告白するつもりはなかったんだ。枦谷にゲイだって誤解されて、違うのに信じてくれなかっただろ? だから、あせって、つい告白まがいのことを……」

「えっ、えええええええええええっ!?」

「ばっ、先生くるから! こんな時間まで教室に残ってたら、怒られるだろ?」

 ――枦谷が泣いてる間に来て、窓からこっち見るなり空気読んでサッと通り過ぎて行ってくれたんだが、本人の為に黙っておこう。

「あっ、うん、ごめん……」

「本当にすまなかった」

「そうだったんだ……それじゃあ、わたしの好きな人知ってるっていうのもウソ?」

「それだと、俺はテキトーに同じクラスのヤツだって言ったことになるな。どう思う?」

「どう思うって……わかんないよ。ホントなの? ウソなの?」

「それは、枦谷の口から聞いてみないと分からない」

 瀬人は無自覚にすべてを知っているかのような微笑を浮かべる。枦谷は迷っているようだった。

「別に何も言わなくていいぞ? 俺は恋愛沙汰にあまり興味がないから、これ以上話に首を突っ込むことは止めるよ。人間、慣れないことはするものじゃないな」

 枦谷は逡巡するように視線を左右に揺らし、それからグイッと勢いよく顔を上げる。瀬人を見上げる表情からは、何か覚悟のようなものが見てとれた。


「実はね、わたし……同じクラスの――白崎さんが好きなの」

 枦谷栗香は、意を決した表情できっぱりと瀬人に告白をした。宵闇の中、夜の街並みに浮かぶ点々とした灯りのように、濡れている粒がまだ残る闇色の瞳はきらきらと目映く輝いている。

 その眼差しは真摯なもので、その言葉に嘘偽りはないのだと、瀬人が悟るのと同時に側頭部を鈍器でガンと殴られたような衝撃が走った。

 ――ここまでドラマチックにフラグ立てといて、飼葉じゃねえのかよッ!!

 なんでだよ、相手飼葉でハッピーエンドでいいじゃん、と瀬人が心中で愚痴りだす。この期に及んでまだ飼葉の恋が報われる期待をしていたらしい。

「………………そうか」

 ――アレ? 白崎ってだれだ? ウチのクラスにそんな名前の奴、居ないよな? え? どういうことだ? ……まさか、俺はまだ、クラス全員の顔と名前を覚えていない……?

 んなまさか、と別の意味で顔を蒼くしかける瀬人だが、それからまた少ししてカチリと頭のネジが嵌まり直す。

「……やっぱり、おかしいよね、こんなの……」

「いいんじゃないか。自然界でもそういうことってあるそうだし、人間社会でも大昔からあったケースだ。って、こういうことが言いたいんじゃないんだ、えっと……」

 ――って、御前が同性愛者なのかよぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!?

 瀬人は後頭部を指で掻きながら、内心で必死に落ち着けと自分に言い聞かせている。

「ありがとう、桜山くん。わたしをはげましてくれて」

 わかってるから、と言うかのように柔らかく微笑む枦谷。逆に気を遣われている、と気付いた瀬人だが、コロコロ変わる予想外の事態に頭が着いて行けず、尤もらしい言葉もクラスメートの衝撃的な告白に対する感想も浮かばなかった。

「帰ろっか。お父さんもお母さんも心配してるだろうし」

「ああ、じゃあ、一緒に帰るか。物騒な場所だったら、送るか?」

「ううん、へいき。バッといってダッていくから」

 ダッシュするポーズをとる枦谷に瀬人は笑う。枦谷もにっこりと笑い返した。

「やっと、笑ってくれたな。よかった」

「え? あ、ごめん、ありがとう……」

「とにかくまあ、独りで抱え込むことなんてないからな。今はネットがあるし、俺だっている。ってまあ、頼りにはならないだろうが、それでも知った以上はいつでも話に乗ろう」

「桜山くん……桜山くんって、ほんとうにいいひとなんだね」

「はは、その言葉は……あんまり、言われたくないかもな」

「なんで?」

「……他意がないなら、いいんだ。うん」

 ――いいひとを最初に使い始めた人って、実は都合の好い人を略した皮肉だったんじゃないかと思うのは、俺だけだろうか。

「それじゃあ、駅までエスコート、よろしくおねがいします」

 ぺこり、と頭を下げた枦谷はてれたようにへへっと笑った。瀬人は其れを見て、苦笑するように微笑む。まあ、いいか、などという心の声が聞こえてきそうな、温かい表情だった。


ここまで読んで下さり、どうもありがとうございました!

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