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過去との再開

学校の中にある、小さな森を通って帰るんじゃなかった。

そんなことを思ってももう遅いのだ。私は、あまり、音をたてないように、じっと待つしかなかった。

「…久世くん…私と付き合ってください!」

少し離れたところで、向かい合った、男女がお決まりの告白タイムをしている。こういう時居合わせた人間は、ただ居心地が悪い。

(はやく、終わって欲しい…)心の中でそう思いながらも告白する女子を称賛する私がいる。

告白相手は、『久世悠太 学校でもトップクラスの人気者…勉強・運動文句無し、そして、ピアノも…因みに私の幼馴染みである』

(私には、出来ないなぁ…)二人の様子を見ながら、一人落ち込む。

幼馴染みに好きだと告げたことは、無い。ただ、小学校時代、クラスメイトに話したことで、それがクラス中の噂になったことがあった。

その時に私は、素直に言わずごまかした。

それ以来、高校生になっても想い続けてる。

女子生徒は、うつむきながら、立っている。返事を聞くのが怖いのだろう。悠太の顔を見たのは、肝心の言葉を発したときだけだった。

「悪い…」そんな言葉が聞こえた瞬間、女子生徒は、泣き走り去った。(終わったぁ…)ため息をついて、歩き出すと、彼がこちらに気づいた。「白井…見てるなんて趣味悪いな」「身動きがとれなくて、困ってただけ。見るつもりは、無かった」

お互い、歩き出しながら文句を言う。

「私は、帰り道にここを通っただけなんだから…」

悠太に言いながらも、決して目を見ない。言うだけ言って、通りすぎようとした時…「今日暇か?」ふと聞かれた。

「はぁっ?」何を聞いてるのかと思うと。

一緒にピアノを弾いて欲しいと言った。

こんな風に話をするのも久し振りなのに、ピアノなんて…「どうして?一人で弾けば良いじゃない」「一人で弾きたくないんだ…」

(困った…ピアノなんてこの頃触ってない…)

でも、私が彼からの誘いを断れるはずか無かった。

森を出ると、まだ太陽がうるさく光を放ち、眩しくて目をつぶった。

ピアノがある場所までは、遠くない。森を出て、一番近くの建物にある。誰も見当たらない。

(良かった。二人で歩いてるところを見られたら、あとで面倒臭い)

そう思っていると、悠太が鍵が壊れた窓を開け教室に入っていく…。

続いて入ると、グランドピアノが置いてあった。

悠太は、慣れた手つきで開け、軽く弾き始めた。

私は、じっと見つめながら待った。「何が良い?」恐らく、一緒に弾く曲の事だろう…。「猫踏んじゃった」…少しの間の沈黙後「きらきら星変奏曲な」私に、決定権は無いらしい。(弾けるかなぁ…)不安になりながら、隣に座る。何もかもが久し振りすぎて、手が震える。懐かしい…。つたないながらも、弾きながら昔を懐かしんだ。中学一年までは、時々だけど一緒に弾いた。楽しかった、あの頃は…。普通に笑えていた。毎日、特別なことは起こらない。でも、幸せだった。

ふぅ…と息をついて手を止める。

「下手だな…」ぐっ…いきなりかぃ。

「だから、猫踏んじゃったって言ったでしょ!どうにか弾けるから」

ふふっ隣で笑う声が聞こえる、「あのねぇ…」私だって、怒ることがあるんだけど!?

「悪いな。ただ、懐かしかった…とても…又、弾きたいな」

(こいつはっ…)私は、とても顔をあげられない。嬉しくてたまらなかった。この、わずかな時間が…。そして、又、弾きたいと言ってくれたことが…。

ガラッと第三者によって戸が開け放たれた事によって、その時間も終わった。

「久世く〜ん」甘い声で悠太を呼び、ズカズカと入ってくるなり、腕をつかみ絡める。「久世くん、今日はテニスの日でしょ!遅いから探したのよ」

「…お手数おかけしました。」そう言うと、さりげなく腕をほどきながら立ち上がる。

「白井…悪い、またな…」そして、悠太は教室を出ていってしまった。残った私と第三者…もといテニス部コーチ新井美香も教室を出る。その時に、僅かだが睨まれたのは、気のせいじゃない。

昔から、そうなのだ。悠太に気のある人間は、表だって何かをしてくる訳じゃなく、小さな、嫌がらせをしてきたり、無意味な嫉妬をしてくる。私は、そこまでされる立場では、無いのに…。

はぁあと、一息ついて、帰る事にした。

少し、不安なのは、コーチとはいえ悠太と一緒にいる所を見られたことだ。

学校で、二人でいる所を見られると、下手するとお呼び出しがある。先輩方に、囲まれて、ご丁寧な訓告をされる。訓告で済めば良いが、下手すれば監視のため、登下校は、誰かついてくる等。色々面倒臭いのだ。いわゆる、ファンクラブがあり、人気のある人間に一人で近づくことは、自然と制限される。だから、今日の告白者は、色んな意味で勇気があった。

(なるように、なるしかないかぁ)諦めモードで、自己完結することにした。


初投稿です。導入部分ですが、ぐだぐだです。

ここまで、読んでくださった方、ありがとうございます。因みに、主人公の下の名前は、次回わかります。

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