Arcade-アルカディア-
高校三年生の緋茨 藍都は大学受験を控えているにもかかわらず、ゲームにのめり込んでいた...
そろそろ勉強しないとと思った矢先、新作の発表を受ける
The Arcadia...それは今や王道MMOとなった超名作。その新タイトルは[Arcadia-force]。
フルダイブ式VRゲームの時代に新たなる伝説が始まろうとしていた。
「お!新作情報っと...え?!アルカディアの新作?!何年ぶりだよ!最後にあったのがアルカナフォースだから6年ぶり?!俺が中学生だったか?マジかよもう3年はやってねぇぞ!」
雑多にマンガやゲームソフトが並べられた狭い部屋で一人の男がはしゃいでいた。名を緋茨 藍都
後に伝説(?)を築く一人である
「配信いつから?明後日?!マジかよ買いにいかなきゃ!」
藍都はドアを勢いよく開け、階段をかけ下りていった。
「藍都どこ行くの?出掛けるんだったらちょっと牛乳買ってきてくれる?」
そう言ったのは緋茨 尚子、藍都の母親である。
「わかったよかーさん!じゃ行ってくる!!」
そう言うと玄関から飛び出していった。
「小遣い、足りるかなぁ...?まぁ明日にでも皿洗いするか。」
期待を胸にゲームショップに駆け込む
「すんません!アルカディアの新作下さい!」
息が上がった藍都に店員は
「えぇと...その、まだ入荷してないです....すみません」
「...エッ」藍都は固まった。
どこか小さくなったように見える藍都は近くのスーパーによってポテチと牛乳を買って帰った
「お帰り藍都。牛乳、買ってきた?」
「...あ、はい」そう言って牛乳を差し出し自室に戻った
「なんで売ってねぇんだよ!さすがにおかしいよ!だって明後日だよ?!世界サーバー明後日だよ?!」
そう枕に顔をうずくめて叫ぶように悔し涙を流す
「うぅぅ...」
啜り泣いていると、スマホから通知音がなる
「なんだよ...?????エッ!?!」
そこに出てきた文字は
記事の修正とお詫び─The Arcadeの新作「Arcade force」の記事について、配信開始が9月8日のところ、8月8日と記入してしまいましたので訂正とお詫び申し上げます。
「そりゃ売ってねぇよ!いや間違いだとしても、俺その月ゲームどころじゃねぇんだよ!大事な受験あるの!落とせないやつがあるの!」
そう言って[ダウンロード版はこちら]と記されたボタンを押した。そのまま流れるように先行予約の応募をした。
それからというもののずっと試験勉強でゲームどころではないのだが...
「えぇっと...定数が6.3だから...ここは...」
机に向かって真面目に勉強していたのだが、ふとゲームソフトが視界に入ると「新作、もうでたんだよな...皆、もうやってんだろうな...ってそんな事考えてる場合じゃねぇ!」
なかなか集中できないのであった。
そして10月...
「やっと試験おわったぁ!自由だ!」
そう叫びながらベッドの上で跳ねていた
「そういや予約してたな、えーと...当選してたぁ!あとは支払うだけ..あれ?購入済み...あ!父さん!この前やってくれたのか!後でお礼しとこ...」
そう言ってダウンロードを開始した
「...長い。」モニターを観ながら座って静かに待っていたが、さすがに長すぎたようだ
「...5時?ウソ、もう三時間も経ってたの?で...まだ15%?!遅すぎだろ!」
藍都は頭を抱えながらベッドに寝そべった
枕元にあるスマホを手に取り顔認証でロックを解除する
ゲームの解説動画を3本ほど見終わる頃に自然とその目は閉じていた。
翌朝、部屋に鳴り響くブザー音で藍都は目を覚ました
大きくあくびをした後、リビングに降りる
「あえ?」
まだ外は暗く、電気もついていない一階に少し驚きつつもどこか冷静で、自然と足は台所に向かっていた。気付けば冷蔵庫の前でボーッとしていた
「あ。」
冷蔵庫にラップのかかった皿が入っているのを見つけた。その皿にはふせんが張られていてまだぼやける目でも確かに読める字で〔藍都へ、夜ご飯食べずに寝ちゃってたからラップかけといたよ。そのままレンチンしていいからね!〕とかかれていた。
皿を取り出しレンジで温めようとしたときに玄関のドアが開いた。
「ただいま~、あれ?今日はずいぶんと早起きだな。」そう言って顔を見せたのは父、雄吉だ。「昨日はゲームしなかったのか?」と鞄をソファのそばに置き父は言う。「あー、何か寝落ちした」そう言って藍都はレンジのスイッチを押した。
「冷蔵庫、何か余ってるか?」とスーツを脱いでハンガーにかけながら聞いてきた
「確か白菜と、スーパーの安売り豚肉。オイスターソースあったと思う」
「分かった、適当に野菜炒めでも作るかね。食うか?」いつも通りの優しさに
「昨日の余りあるから...」と寝ぼけながら断ると
「そうか...」とちょっぴりしょぼんと小さくなった気がした
今日は土曜日だ。
急いで飯を書き込んだ後、自室へと向かう。
「よぉし...今日こそはやってやるんだ、待ってろよ!アルカディア!!」言って階段を駆け上がる藍都を見て勇吉は「やれやれ..」と少し微笑んだ。
部屋に戻るとベッドにダイブし、早速VRゴーグルを着けた。
「フルダイブ型の最高到達点...クゥー!!熱くなるぜ!」といって電源を着けた。
─目の前に広がるのは一面の白い空間。目の前には宙に浮かぶゲームの表紙。
「ダウンロードメニューを開く」と言うと目の前に[ダウンロード完了したコンテンツ]という文字が浮かんできた。そのままそのモニターをタップし、[Arcade force]と書かれたボタンを押した。
目の前に迫る選択肢、[プレイを始める→Yes/No]。「勿論YESだ!」指先はYesを指していた。
【ゲームを開始する準備をします。タイトル名「Arcade force」】
周りの景色が一転した。
一面に広がる草原、青く清んだ空、眩しく照らす太陽。
【キャラクターエディットをしますか?】
「あー、めんどくさいな...Noで。」
【では登録アバターテンプレートを使用します】
アナウンスが流れると 藍都の姿が目の前に現れた。
【見た目の編集を行いますか?】
「Noだ。早くやりたいもんでな」
【ではゲームを開始します。チュートリアルメニューを表示しますか?】
「えーっと、いいや、動画見て覚えたし。前作散々遊んだしな、Noだ。」
【では最初の町へ転送します。しばらくお待ち下さい。】
それから周りにモヤがかかった。しばらくするとモヤは消えて目の前には中世ヨーロッパ風の町が広がっていた。
「おぉ!やっときたぜ!アルカディアぁ!!」
そう叫ぶと周りのプレイヤーが一斉に藍都の方を見た。「何あれ...初心者?」「オモロ、あいつ。」「なになに?また変人?」
藍都は恥ずかしさのあまり走り出した。
「ヤバいヤバい...顔と名前覚えられたら絶対絡まれる...ひとまず人目の少ないところに...」
急いで路地裏に駆け込む。「何だったんだろう?」と他のプレイヤーは首を傾げた。
騒ぎが収まった頃、また大通りに出て歩いていた藍都は
「えっと...まずは、冒険者ギルドにいかないとか...場所は確か、町の中心にあったはず。」そう呟きながらマップを開く。「結構近くだな、すぐつくよな...」
と噴水の見える方へ歩いて行く
「入れる建物にはポップアップが出てくるんだな...えっとあった!」
そういって大きな扉のある建物に近づいた。
「第一印象って、大事だよな。なんて言って入るのが正解か...無言で開けたら注目されるかな?ダル絡みしてくるやつがいなかったらいいけど...。」
そういっておもいっきり扉を開けた。
「...こんにちは。」と小声で挨拶を済ませると、受付のカウンターに向かった。
受付のNPCが「ようこそ冒険者ギルドへ!」といってきたので「あ、...どうも。」と返事をした。
受付は「初めてこられますよね?まずはジョブを決めていただきます。」とどんどん話が進んで行く。「ジョブの一覧表です。気になることがあれば声をかけてくださいね。」と一枚の紙を渡された。
[ジョブ一覧表
・戦士:近接系の武器を装備可能
・騎士:槍などの長リーチ武器を装備可能。騎馬戦を行える。
・暗殺者:片手剣やナイフなど小型の刃物または弓やクロスボウを装備可能
・狂戦士:両手武器を装備可能
・狩人:弓またはクロスボウと片手近接武器を同時に装備可能
・重戦士:両手持ちの大型武器を2つ装備可能。大型武器の装備による移動速度の低下を抑える
・銃師:ガンナー武器を装備可能
・魔術師:魔術武器を装備可能
・遊び人:鞭や投げナイフなど変わり種武器を装備可能
・盗賊:ナイフ、短剣、クロスボウを装備可能]
「うーん..悩むな。候補は騎士か重戦士あとは銃師かな...」
画面には複数の職業がズラリと並ぶ。その中でも藍都の視線は、3つのジョブに釘付けになっていた。
「騎士、重戦士、銃師……」
紙の上で指をを何度も動かしながら、藍都はうーんと唸った。
「騎士は見た目かっこいいし、槍のリーチもいい。しかも馬に乗れるんだっけ?移動スピードも悪くないし……でも、自由度は低めか。盾装備とか、きっちり守る戦い方が多そうだな」
銃師の文字にに目を向ける。
「銃師は遠距離攻撃が魅力的。ガンアクションもスタイリッシュで爽快そう……でもさ、人気職ってことはプレイヤー多いよな。どうせ上には上がいる。俺がやっても埋もれそう」
そして――重戦士のアイコンに目を向けた瞬間、時が止まる。
「大型武器を二つ……? 移動速度ペナルティ軽減……?」
詳細ウィンドウを開くと、そこには異様とも言える戦闘スタイルが表示されていた。
「デカい武器をぶん回して、押し通す……脳筋っぽいけど、逆に尖ってるな」
「しかも、こんな物騒な装備、普通選ばないだろ。ってことは、被りにくい……!」
藍都は目を細めた。
「昔からそうだった。俺は人と違うものを選んで、それでどうにかしてきた。普通じゃ勝てないなら、普通を外せばいいんだ」
拳を握る。画面を見据える目は、さっきよりも少し熱を帯びていた。
「騎士でも銃師でもない。俺が目指すのは――“誰も選ばない最強”だ!」
「ジョブ、...重戦士にします!」
「わかりました!重戦士ですね!では冒険者カードを制作します。ジョブは何度でも変更できますからね。」
受付が奥に姿を隠した
しばらくして薄い金属の板のようなものを持ってきた。
「冒険者カードです。レベルやステータスを確認できます。」
そういって銀色のカードを渡された。
カードを握ると目の前にメニューが現れた。
[アラシ/level1
ステータス
HP/100
MP/50
素早さ/25
幸運値/38
ジョブ:重戦士
武器/装備していません
装備品
頭/なし
首/なし
胴体/なし
腕/なし
手/なし
腰/なし
脚/なし
足/なし
背中/なし ]
「...装備品の項目、なんか多くね?」
「確認が終わりましたら、次は武器を決めて頂きます。」
もう一枚紙を渡された。
[武器種一覧表
・大検
・長剣
・短剣
・片手剣
・双剣
・手槍
・長槍
・投げ槍
・ナイフ
・投げナイフ
・鎚
・大鎚
・片手斧
・両刃斧
・両手斧
・槍斧
・鎖接棍
・鎖鎚
・砕鎚
・鎖鎌
・鎖分銅
・大鎌
・双銃剣
・銃槍剣
・銃砕鎚
・石弓
・弓
・大弓
・盾
・大盾
・砕棍
・十字架
・鞭
・占紙
・吹き矢
・戦騎旗
・魔杖
・指輪
・呪鎖
・回転式拳銃
・散弾銃
・鉤爪
・大鋏
・拳鎚
・双打棍
]
「あなたは重戦士なので2つまで重量武器を選択できますよ!」
「ア、ウン。ソウダネ」
適当に返事をしながら深く考える。
「大検、シンプルながら破壊力は最高クラス。使いやすさも良いが、俺はこんなもんじゃ足りない。」
「両手斧、単純な破壊力と使える技の多さも魅力。結構移動速度が落ちるらしいが、重戦士の特性で補えるか。有力候補の一つ」
「ハンマーと大槌、どちらも似たようななものかな。打撃特化のシンプルな武器。扱いやすさも良いし、多くの人が使っているから上達もすぐできそう。」
「大鎌、切り裂くことに重きを置いた武器。動作は大きいが、当たれば強い。ワンパン技もある。」
「盾、防御とカウンター特化の*守る*武器。他の武器と併用できる。」
「ガングレイヴ、切る・裂く・刺す・射つと攻撃方法が多彩。扱いが難しいが、使いこなせれば強い。」
「ガンメイス、今作一の曲者。使いづらい、火力を出しづらい、重い、全部の技が固有モーション。デカイメイスに射撃機構を着けた、正直ロマンの塊な武器。誰も使わない、使おうとしない。」
「...俺は、俺の目標は...一番を取ること。ありふれた武器で数多くのプレイヤーを退ける?...それは現実的じゃない。俺は1ヶ月も遅れてゲームを始めた。今から極めようとしたところで、上位プレイヤーも同じくらい上達する。...いつもそうだ。少し強くなったと思えば遥か上に、自分とは比べ物にならないくらいすごいやつがいる。」
アラシは拳を握る
「いつもそうだ...だから俺は誰もしないことをしなきゃ。」
「...両手斧は技が多い。だから極めれば周りを翻弄できる。単純な操作はすぐに覚えられるから、スキルや奥義を使えば上位を取れる。PVを見たときから思い付いてたよ。自動追尾の奥義[地列斬]と吹き飛ばし系のスキルが相性良いって。うまくやればハメ技になりうる。俺は両手斧にします!」
「はい、ではあと一つ選べますけど、どうします?」
「もう一つ...まぁ両手斧主体だからバランスとって射撃系で適当に...重戦士は弓とかクロスボウ使えないから、まぁガンメイスで良いか。」
「ガンメイスですね。わかりました、では注文表を出しておきますので後程鍛冶屋にて武器を受け取ってくださいね。」
「うん。ありがとう」
冒険者ギルドを後にした。
初めて握る武器に心を踊らせるが、その武器は使いづらいクソ武器の烙印を押されたガンメイス。ここから冒険の幕が上がる。
次回─クソ武器マスター




