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アウトオブあーかい部! 40話 教頭

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、応接室。




「……?」




無言で微笑む教頭先生と、




「……、」




青ざめた顔から汗という汗をかきまくる白ちゃんの2人きり。




「……ええっと、白久先せ


「すみませんでしたぁぁぁぁあああ!!!!」




白ちゃんは全身全霊で謝罪した。




「えぇぇ……!?」


「今までの愚行蛮行、ご子息への無礼千万……!誠に……誠に!!申し訳、ございませんでしたぁぁぁぁああああ!!!!」




白ちゃんはただ、ひたすらに謝った。




エ?ナニ…?

セイトシドウ?




通行人が白ちゃんの謝罪を聞きつけたのか、応接室前がざわついてきた。




「ちょっと、白久(しろひさ)先生……!?何で謝って


「どうか、除名だけはご勘弁を!!」




ジョメイ?

クビ…!?




「どうか、この愚か者にご慈悲を……!!!」


「いや、あのね!?白久先生……、いきなり呼ばれて土下座されても何が何だか


「どうか、どうか……!お許しを……!!!」


「えぇぇ……!?」




教頭先生はパニックに陥っていた。




「失礼します!」




ドアが開いてひいろが入ってきた。




「あ、ひいちゃん。突然白久先生が土下座しだしたんだけど、何か知らない……!?」


「はぁ……。あんまりおばさんを困らせるなよ、白ちゃん。」


「ひっ……、」




おばさん、改め教頭先生側に立ったひいろを見て白ちゃんは己の最後を悟り縮こまった。




「ええっと、白ちゃんが謝ってるのはたぶん、昨日のPINEのことだよな?」


「はい……。」


「PINE?」


「ああ。昨日、あーかい部のトークルームでワタシとおばさんのことをいったら白ちゃんが壊れちゃったんだ……。」


「そうだったの……。」


「すみません……。」


「もしかして、それで今までのことを?」


「うん。ワタシのことお嬢なんて呼んだりしてさ……。」


「そう。えっと……白久先生?」




教頭先生は白ちゃんの前まで来ると、膝を抱えて目線の高さを合わせ、語りかけた。




「まずは顔をあげて。」


「うぅ……、」


「ひいちゃんのこと、ありがとう♪」


「…………へ?」


「池図女学院に入学してからね?ひいちゃん、見違えるほど明るくなったの♪」


「ちょっ!?///おばさん今それ関係ない……!///」


「あるの。……やっぱりひいちゃんのこと、あなたに任せて良かったわ♪」


「…………ぇ。じゃあ……、クビは


「はぁ……。それは白久先生が勝手に言い出したことでしょう……。」


「じゃあ、今までどおりでいいんですか……!?」


「何か問題が?」


「……………………。」


「……白ちゃん?」


「……………………、やっっったぁぁぁあ♪♪」




白ちゃんは幼い子どものようにぴょんぴょん飛び回って喜んだ。




「これで、部室でサボるのも、売れ残った購買パン買い占めて飯テロするのも公認


「白久先生?……節度。」


「ハイ…。」


「とりあえず、一件落着……ってことでいいか?白ちゃん。」


「ええ♪」


「あ、待って?」




白ちゃんが満面の笑みで応接室を後にしようとしたところを教頭先生が呼び止めた。




「ひゃいっ!?」


「外のほとぼりが収まるまで、少しここでお茶でもいかが?」


「ハイヨロコンデッ。」


「白ちゃんっておばさんの前だといつもこんななの?」


「そうなのよ。やっぱり上司って怖いのかしらねえ……。」




教頭先生とひいろは慣れた手つきでお茶とお菓子を卓上に広げた。




「……ひいろちゃん、随分慣れてるみたいだけど、ここよく来るの?」


「まあな。」


「お仕事手伝ってもらってるのは内緒ね?」


「そ、そうなんですか……。」


「この間は屋上をピッカピカにしたぞ!」


「ねえ白久先生?せっかくだしあーかい部のこと、色々聞かせてちょうだい?」


「え"……。」




上司のお願いを断れない白ちゃんは目配せでひいろに助けを求めたが、部室では見せないとろけた笑顔で教頭先生の肩を揉むひいろに、救難信号が届くはずもなかった。




「そうねえ…….まずは2人の出会いから


「ブフッ!?」




白ちゃんは震える手でお茶に口をつけるや否や、湯呑みの中で吹き出した。


この後しばらくあーかい部のことについて根掘り葉掘り聞かれた白ちゃんは生きた心地がしなかったとか……。






白ちゃん,ひいろ(2)




白ちゃん:今日はごめんね、色々と手を掛けさせちゃって……


ひいろ:クビにならなくてよかったな


白ちゃん:ええ、首の皮1枚ってところね


ひいろ:そんなに(かしこ)まらなくたっていいのに

ひいろ:おばさんならいつも楽しそうにあーかい部の投稿を読んでるぞ?


白ちゃん:上司に愛読されてるって思うとなんだかちょっとやりにくいわね


ひいろ:今までどおりでいいじゃないか

ひいろ:別にやましいことをしてるわけでもないだろう


白ちゃん:そうね、今まで通りちゃんと編集すれば大丈夫よね!


ひいろ:何かカットするようなことなんてあったか?


白ちゃん:自分の胸に手を当てて考えてみなさい

白ちゃん:私もひとのこと言えないけどね


ひいろ:そんなことあったかなあ……


白ちゃん:そりゃそうよ、今のひいろちゃんの口調が私の性癖フィルターだなんて、教頭先生にバレでもしたら……ああ考えたくない


ひいろ:じゃあ今、白久先生はどんなことを考えてるのかしら♪


白ちゃん:は……?

白ちゃん:ちょっと、教頭先生に成り済ますのはいくらなんでも悪ふざけが過ぎるわよ


ひいろ:ところがどっこい、本物です☆


ひいろ:[画像を送信しました]


白ちゃん:は?

白ちゃん:え、まってなんで教頭先生とひいろちゃんが一緒に

ひいろ:今日はひいちゃんがお泊まりしてるの♪

白ちゃん:いつから


ひいろ:すまない。ワタシは今初めてこのトークの存在を知ったところだ


白ちゃん:あ……


ひいろ:心中察するよ


白ちゃん:終わった……


[☎︎]


[通話を終了しました]

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