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未定世界の知り方を  作者: むち神
第四章 【死角の動き】
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93.横這いを

 そうかもな。とボスさんは締め括った。


 その後、寝る場所を求めて良い場所を聞いてはみたのだが、どこでも良い場所だと答えられてしまった。


 たしかにその通りではあるのだが、野宿慣れしてきたとはいえ、寝泊まりしやすいとは口が裂けても言えない現実がある。

 景色が良くても、寝つきはよくならないのだ。気分はよくなるけどね。


 ということで、ボスさんとのタッグで(主にボスさんであったが)勝ち取った寝泊まり宿は、ラキュさんとの話し合いで使われた東屋であった。


 ちなみに、道中で話を投げ合った末にとうとう呼称に関しての注意を僕も受けてしまった。

 優しく、ちゃんとさんは一緒にしなくていいからね、とのこと。


 たしかに、おかしいよねとはずっと思ってはいたのだが、注意されなかったこともあり。直すタイミングを見逃していたことで、これでいいのかと思い始めていた。

 ボスさんは、俺には処刑だの言ってただろと口論もあったがそれは、割愛しておきます...。



 翌日、目が覚めてから捜索がてら探索を開始することになった。

 なぜ、捜索に専念しないのか。それは、昨日とは状況。森の状態、情勢?が違うからである。


 前回、僕たちという物珍しい侵入者が入ってきたことによって、妖精族の大半が集まっていたようなのだ。今は、気配が大量に分散していて誰が何処なのかなんてのは、わかるはずもなかった。

 原初魔法を広範囲にすると、存在は発見できる程度。近くでも、なんとなく形くらいならわかるが特定できるのかどうか自信はなかった。


 とどのつまり、捜索には時間がかかる可能性があるからである。なら尚更、専念するという選択肢も残ってはいる。ただ、根を詰めすぎても見つかる保証はない。


 なら、折角の美しい大自然。冒険がてら探検、面白い物を探し求めての探索でもしながら気長にやろう。とボスさんが言った。


 本当に、さっさと済ませようと言っていた。あの人は一体どこへ行ってしまったのだろうと聞いてみたくなる。息抜きが大切と言いたいのだろう。ありがたい申し出だったので即了承した。


 ということで、冒険へといざ行かん!とばかりに出発を決めた。ならば、方向はどうするのかというと・・・冒険なのだ。せめて、面白い物ありそうな方向、もしくは、ハナリさんが居そうな方のどちらかである。


 ハナリさんの行方はわからないので、面白そうな方向にすることにした。実は、さっきから不思議な場所に目をつけていたのだ。最初の捜索で、原初魔法を展開していた時、近くに一ヶ所ぽっかりとした空白地帯を発見していた。


 丸い何かで覆われたような場所。いかにも、何かが隠されているようであった。

 部外者立ち入り禁止でも、ないと思われる。昨日、事前に捜索について入ってはダメな場所はあるのかと尋ねていた。ラキュさん曰く、特にないとのこと。


 それすら、隠すための発言かもしれないが、こんな近距離にあるのなら言っておかないと、どちらにせよ見つかってしまうだろう。

 なら、一般公開されている幻想的な空間があるのだろう。さっそく、行ってみることにした。


「「あっ」」


 ハナリさんはそこにいた・・・。


 森の中、広い平原でも広がっているか森の出口かもと思っていたら、そんなことはなく。同じ森。見える景色は同じなのに、原初魔法ではぽっかりと空いている。ハナリさんを中心に・・・。


「せっかく出会えたんだ。今度は逃げないでくれよ?」


 逃げ腰のハナリさんをボスさんが釘を刺しておく。


「・・・昨日は、逃げて悪かったん...」


「逃げたくなる理由は聞いたからな、それはいいさ。ただ、離れただけじゃなくなったりはしない。ここいらで決着をつけたらどうだ?」


「決着...。なにから話せばいいのか、わからない・・・」


「別に、事情やら生い立ちまで言う必要はないんじゃないか?ただ、こういったことをした。それを今はこう思ってるって気持ちだけでも話してみるだけで、晴れるもんがあるかもしれないだろ。お互いにな。まずは、歩み寄りからってな」


 しばらく、ボスさんからの助言を咀嚼して体に染みませた。その後・・・


「わかったん」


 それまで、どこか離れたがっていた様子だったハナリさんは僕へと向き直る。


「・・・ごめんなさい...。わたち、あなたの同族を殺した...。今は・・・後になってから言うのは卑怯だと思ってるん。でも、あんなことはしていいはずがなかった。そう...思ってる」


 一生懸命に伝えてくれた想い。


「うん...。殺したのは、僕もだよ。先に街が襲われたってのはあるけど、僕自身が何かされたわけじゃなかったから・・・。種族じゃなくて、個人で見れば僕が先に手を出したとも言えるのかも知れないし...。そんな僕が言うのも良くないかもだけど、やっぱり殺人は良くないと思う。だから、僕が言えるのは、これからはやめてね。くらいかな・・・」


「うん...。もちろん」


 これで、今なにかが変わったとか何かが起こるなんてことはない。意味があるのかわからないし、これだけで、立ち直るなんてこともないだろう。ただ、ハナリさんの視線の先が地面から少し離れた。


 成果は、それだけであった。


「いや、故郷が壊されて、壊した奴への仕返しが悪い訳ねぇだろ」


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