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未定世界の知り方を  作者: むち神
第二章 【旅は道連れ】
52/110

50.訝る

 タマネに駆け寄っていった二人に拳骨が落ちた。


「うるさいよ!!あんたら!!!」


 痛いと言いながらも離れる様子は二人にはなかった。


「お前はずっと眠ってたんだぞ!?声がでかくもなるだろ!?」


「そうだ!心配ばっかさせやがって!!」


 ぅん??と周囲。僕や他の人を見て理解が及んでから、恥ずかしそうに布団を口元まで持って隠した。


「どういうことだい!?なんで・・・とりあえず!落ち着け!!」


 布団に涙を流していた二人に、また拳骨が落ちた。フフッと笑ってシロクが言う。


「時間も欲しいだろう。一度落ち着いて説明をするべきでは」


 なんとか落ち着いてもらって、シロクが説明をする。長い説明が終わる頃には落ち着いていた。ユウジ以外は、


「よかった・・・よかった・・・」


「わかった、わかったよ」


 タマネさんが宥めていた。普段から焦りがちなユウジさんとこうやってそばにいたのかも知れない。


「あんたらのおかげで助かったてのはわかったよ。ありがとうね」


 ペコリとこちらに頭を下げた。


「助かったならよかったよ」


 疑問はあれど、治った?のだ。よかった、でいいだろう。

 泣いていたユウジもガバッとこちらに顔を向けて。


「ありがとう...この恩は一生忘れない」


「なんであんたが恩を感じるんだい。あたしの仕事だよそりゃ」


「まぁまぁ、落ち着いてね」


 ヒートアップしそうだったのをネルが止める。そこに感動の沼から帰ってきたライガルが告げる。


「宴だ!目覚め祝いの宴をしようじゃねえか!」


「いや、寝たきりだったのだ。食事はあっさりとしたものが・・・」


 師匠が気持ちに水を差すのもと思いながらも注意を促すが、


「ええなぁ!熱々の魚が食べたいとこだよ」


 タマネがノリ気満々だった。

 といったことから、皆で祝いの席となった。幸い、大人数というわけではなく。治療に貢献した人、使用人ぐらいの身内のみの参加となる。僕達も、もちろん頂いた。結構な人数にはなったが、少ない方らしいので助かった。

 皆喜ばしい表情を見せて騒いでいたが、長く続いたことから次第に落ち着き始める。お酒に酔って静かになる人も多くいた。そんな時にネルとエレディアナの二人と僕だけの三人が隅っこに寄って話をしていた。


「あれは、なんだったんだ?」


「なんだ・・・って言われても、治癒魔法を使ってたとしか...」


「でも・・・治癒魔法じゃなかったみたいなんだよね」


「手で触れた瞬間、相手の体内魔力がほぼないことが判断できた。下手に手を出すのはやめた方がいいとな。だからこそ、中断して腰を据えて行うつもりだったが...治り始めた。本人の魔力を使わずにだ」


「僕も肩を触った段階で魔力があまり残ってないことに気づいた。なのに別の場所から魔力が供給されていた。ユイトからね」


「・・・たしかに、相手の魔力を使う感覚を知らなかったから。自分と同じように治癒魔法をかける意識でやっていたけど...」


「それがおかしい。自分の魔力を相手に浸透させるなど、不可能だ。だがな、一番の疑問はそこじゃない。治癒魔法は傷の周囲に働きかけて治す。だが、お前の治癒魔法とやらは、傷ついた場所を直接魔力で治していた。まるで、作り出すかのように」


 詳しいことはわからない。感覚で真似していただけなのだから。その感覚がそもそも歪んでいると言いたいのかもしれないが。


「う、う~ん。なにかまずいのかなぁ・・・」


「治せたことに変わりはないからね。不思議だけど良かったね。ってことだよ」


「詳しく調べれば役に立ちそうだが・・・まあ、お前が決めることだ。治癒魔法ではないということだけ知っておけばいい」


 ではな。とエレディアナは去っていった。おそらく、借りた部屋で眠るのだろう。二人きりになってから、ネルが心配そうに尋ねてくる。


「ユイトは大丈夫?普通は、知らない力があると怖がる人もいるからね」


「うん、大丈夫だよ。ありがとう」


 今までずっとわからないことだらけなのだ。怖いもなにもない。でも・・・この力に助けられることばかりだ。頼もしくは感じているかもしれない。

 

 どんちゃん騒ぎの祝宴は滞りなく終わる。何もかもがうまくいっている。これから先も同じように楽しいことが続くのだろうと漠然と思っていた―――


 

 何やら騒がしい。


 ユイトは眠気眼で上半身を起こす。なにかを話している声がする。耳が聞こえずらい。どうしたというのだろう。明日じゃだめかな。

 扉を叩く音がする。鍵なんてかけたかな・・・。上半身を倒す。重要なら開けて入ってくるだろう。入って来ないなら急ぎじゃないはずだ。なら眠ろう。


「ユイト!鍵開けて!寝ないで!」


 鍵は締まっているらしい・・・。なら、起きるしか選択肢がない・・・。


 なんとか肉体を叩き起こし、扉へとよちよちと歩いて開ける。なにか既視感が・・・。


「嫌そうな...いや!それより、国が大変なことに!」


 国・・・一体なにが・・・。ダメだ。頭が冴えない。


「国・・・獣人が・・・?」


「いや!ストライト王国が侵攻を受けて!滅亡の危機にあるって!」



 ―――え?


  





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