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未定世界の知り方を  作者: むち神
第一章 【出入り】
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4.これが自己紹介

「さて、まずは自己紹介をしましょうか。まずは――ラナーグさんから席の順番にお願いします」


 右の前方に座っていた。先ほど、話していた人から右後ろ、真ん中前、後ろ、左前の僕、僕の後ろの順で自己紹介をしていくらしい。


「ネルーロ・ラナーグと言います。何年の付き合いになるかわかりませんが、よろしくお願いします」


 ここ、ライト学園は五年間らしいが例外として特殊、特異クラスの人、つまりは僕たちは、最低二年在籍していれば、自身の力を活かしたなにかをしてもい良いとされている。専門の機関などなど。もちろん、五年間居る者が出ても当然構わないといった方針で、だからこそなのか、特異体質だけでなく、ただただ優秀な生徒もこのクラスに入学するものがいるとかなんとか。

 おそらく、何年とはそれのことを言っているのだろう。


「オウキです」


 ネルーロさんの後ろ、深緑の髪、緑の眼をした短髪の男は短く自己紹介を済ました。

 え、それだけでもいいんだ。クロイトさんは挨拶をしておいた方がみたいなことを言ってたんだけどな、短く済ませるのも一つの方法なのだろう。


「わたく・・・私は、ルキ・ストライト。これからよろしくお願い致します。わね?」


 長めの赤い髪に赤眼なキリっとした見た目の女性だ。いや、しかし――赤髪の人って珍しいみたいなことを言ってなかった?もう二人目・・・。

 あの広々とした所にたくさんの生徒がいた。その全員を見たわけでもないけれども、そう考えるとたしかに珍しいとは思えなくもないはずだ。ならいいか。


「スイラス・ケカリスです。これから共に学びを得る仲間として仲良くしていきましょう!」


 藍色の髪、青眼のまじめそうな青年だが、思ったよりも声が大きくてびっくりした者もいるようだ。


僕だ。


「ユイトです。よろしくお願いします」


 長い必要もないみたいだし、こんなので良いのだろう。――良いんだよね?

 チラッとクロイトさんを見てみたものの特にこれといった反応はなかったので大丈夫だったのだろうと思うことにしておいた。ネルに笑われてる気がするけど、そういう人なんだろう。

 

「マロィㇳ・セイズって言います!よろしくお願いします。」


 マロ――なんて言ったんだろう。

 桃色の長すぎず短すぎない髪、赤色の眼をした他の人より肉付きが良さそうな身体だが、決して太っているという程でもない女性の声が途中聞き取りづらく聞こえなかったのを不安に感じる。


――とりあえず、マロさんで覚えて。後で、聞けば良さそう。


「さて、今日は初日なので、これからの学園の説明を軽くするだけで終了となります。」


 そう言いながら、クロイトさんの前にある板に文字を書き込んでいく


「まずは、知っての通り魔法を、そして、国の歴史、法律、算術などを教えていくことになります。ただ、このクラスは、特異な力を持っている人の割合が多いクラスです。そして、優秀でもあります」


――いや、僕は全くもって優秀じゃないですよ。クロイトさん


「なので、基本は魔法をメインに特異体質の理解を深めつつ勉学にも励むことになります」


「質問いいですか?」


 青い髪をした人。たしか...


「スイラスさん、なんでしょうか」


「このクラスは特異体質、そして、優秀な人が入ると聞いています」


「その通りです」


「ですが、特異体質で優秀ではない人物もいると思うのです!それでは、他のクラスの生徒と知識の差が出てきませんか?」


「たしかにその通りですが、そもそも別のクラスは五年間ではありますが、二~三年は専門的なことを各々習い始めるので、そこまで知識の差はできませんし、ここの生徒はその部分を特異体質を知っていくことに代わっているのです。とはいえ、特異体質には魔力が関わっているとされています。なので、他の生徒と比べて魔法を中心として習うことになり、どうしても少しの差はできてしまうのですが、支障をきたす程ではないので安心してください」


「なるほど、であれば五年ではダメだったのでしょうか」


「間違いではありませんが、特異体質も幅が広く・・・各自で別々で学んでいった方が生徒のためになる。そう判断されたわけです。より詳しい内容は二年後にお話しします。」


「わかりました!ありがとうございます」


「いえいえ、質問はいつでもお願いします。さて、説明といってもこのくらいでしょうか、学園の地図は正面の入り口にありますので、それを見るか、人に聞きながら覚えて行ってください。以上です。お疲れさまでした」


 少しペコリと頭を軽く下げて、本を持って教室を出て行ったクロイト。

 帰っていいのかな?


「帰っていいのかな」


「いいんじゃない?」


 声にでていたせいで、返事がきてしまった。声の方に顔を向けると、僕の隣に座っている。

 ルキだったはずだ。


「ありがとう、僕はユイトって言います」


 うん、この人は王族とかのはずだ、間違いない。なら、失礼のないようにだ。


「気楽にルキでいいわよ。あなたは特異の人でしょう?」


 気楽でいいんだ?


「すごいね。どうしてわかったの」


 ルキは眉間に皺を寄せながら言葉を選ぶのに時間をかける。


――しまったわ...。優秀そうに見えなかったはさすがに良くない発言よね・・・。


「色んな人を見ていると良くわかってくるのよ。知っての通り。第四王女だから」


「そういうことかぁ、すごいんだね」


 納得されてしまった。


――はぁ・・・言葉には気を付けておかないとあぶなかったわ


「ではね。私はこれで帰るとするわ、あなたも気を付けて帰りなさいね」


「ありがとうー」


 そういって優雅でありながら、そそくさと教室を出て行った。


――あっ・・・急ぎの用事でもあったのかな


 違ったことを推測しながらいると、ネルが話しかけてきた。


「一緒に帰る?」


 来た。こういったことを待っていたのだ。クロイトに友達を作るのは難しく、友達であり続けるのはさらに難しいと聞いた。こういったことで経験値を稼いでおかなければ、友達として居続けるのは不可能に近いのかもしれないと考えているユイト。クロイトが聞いていれば、どこから仕入れた情報なんだと言ってもいいほど、憶測を重ねた考え方である。


「よし、一緒に帰ったりしようか」


「え?どこかに行くの?」


「いいとこないかな?」


「決まってはないんだね・・・んー買い食いでもしよっか」


「いいね。まかせるよ」


「次はユイトが考えてね・・・」


 次が確定した!?こうやって友達であり続けるのか、難しくなってきた。後ろを振り返るといつの間にか教室に居た他の生徒たちは帰ったようだった。であれば、こちらも行くとしようかな。


 ふと、思い出す。


――マロさんの名前聞いてない...。




 





 

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