3.これから入学
常識を教えてくれると言っていたが、クロイトさんと会話しているだけのようなのだが、大丈夫だろうか?
「常識は学ぶものではなく、会話から感じ取るものだと思います。私の常識がおかしいかもしれませんし、教えるのではなく会話から常識を学ぶ方法を身に付けた方が良いかと思いまして」
そういうことらしい
そんなこんなで日々を過ごして、ついに入学の時が来た。
「今日からですね。忘れ物はありませんね」
「ないと思います」
「大丈夫そうですね。私は先に行っていますので、ご飯を食べてから来てください。」
「はい」
白の制服を着て、少し堅苦しさは感じながら着るのは二回目なこともあって普通に食事を食べ終わり。
中に教科書等をいれてある。鞄を持って扉を開ける。
「いってきます」
誰もいない家に語りかけながら外に向かって歩を進める。
外は暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい天気で問題もなくライト学園に到着すると、向かうまでにちらほらと見えていた。同じ服を着た人たちがぞろぞろと入っていくのが見えたので同じように続いて入っていく。
空気を読んでついていけば、大丈夫なはず。
そう思いながら、建物の中なのに、とても広い空間の場所、そこに同じ年齢の人がたくさんいた。
流れに身をまかせ、途中にいた大人の言葉通りの席につき、少し時間が経つと。
赤い髪の毛が特徴的な男の人が、大勢の人達より高い位置に立っていた。
「入学おめでとうございます。今日からあなたたちが通う。学園の学園長、ジスタ・ストライトと言います。」
現在の王様の弟だそうだが、優秀すぎるわけでもなく凡人と言われているらしいが、王族、公爵の地位の人間が学園長になっているとなにかと良いらしい。
実際あの人が学園長になってから、生徒の保護者とのいざこざは減った実績があるので、馬鹿にするような声は鳴りを潜めていった。
それから、長い時間の話が終わり。僕の教室への案内表を貰ってから向かう。
ここかな?目の前の教室の扉の前で案内表と睨めっこしながら扉を開ける。
ん?机が六個しかない?どこかで間違えただろうか、さっきまであんなに人がいたのに。
「あっているよ」
声がした後ろに振り返ると、黒髪、緑の瞳をした僕よりも背の高い中性的な女性。知的な印象を受ける人。女性....だよね?
「そうなんですか、貴族ですか?」
「え?違うけど。急に、どうしてかな貴族にでも見えた?」
「そっか、いや、貴族には言葉遣い変えた方がいいのかと思って」
クロイトさんは別に言ってはなかったけど、話としては、失礼すぎることはしない方がいいらしいが、失礼すぎるとはなんだろうと考えた結果。
聞けばいいかという結論になった。
「なるほど?う~ん、聞かない方がいいかも?」
「どうして?」
「貴族って聞いて気分良くする人もいるかもだけど、普通だと、困惑しちゃうかもだからかな」
貴族かどうか聞くのはやめた方がいいらしいということがわかったのが収穫か
「ユイトって言います」
「自己紹介⁉私はネルーロ・ラナーグって言うよ。よろしくね」
「貴族?」
「違うよ」
「そっか。教えてくれてありがとう、同じ部屋だったらこれからもよろしくお願いします」
ネルーロさんは平然と微笑みながら、答える
「うん。ネルって呼んでね。少し変な子だね。」
「常識をあんまり知らないだ。暇だったら教えてね」
ハハハッと楽しそうに笑いながら。
「いいね!仲良くできそうで良かった」
話をしながら前の板に書かれた机の場所を見て左前方に座る。ネルさんの方も自分の机に座ったみたいだ。慣れてるのかな、入学はみんな初めてじゃないのか。
そんなことを思いながらいると次々と同じ部屋の人が入ってきて。
最後に教師の人が入ってきた。それは、見知った人物で生徒たちの前に立ち自己紹介をし始めた。
「クロイト・サイドです。人が少ないことに驚いた人もいるかもしれませんが、この六人で全員です。今日からよろしくお願いします。」
いつものように声に出して答える
「はい、よろしくお願いします」
教室の全員から視線を向けられていたのだが、気にせず堂々としたユイトであった。