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未定世界の知り方を  作者: むち神
第二章 【旅は道連れ】
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18.一緒に考える

 二つあるベッドにお互い腰を下ろしながら、前傾姿勢になる。肘を膝の上に置き両手の指を顔の前でお互いクロスさせて顔を引き締める二人・・・。


「さて・・・・緊急会議を始めよう」

「我々の資金は底を突きかけている。これから先どう金を稼ぐかが重要になってくる。意見はあるかな?」


「ありません」


「よろしい。お手上げだね」


 僕はネルがわからないことは余計にわからないのだ。無能であることを恥じることしかできません。申し訳ない...。


「今ある選択肢を考えてみようか。商売を始める。路上で芸をして路銀を稼ぐ。兵士に志願をする。どこかで雇ってもらう・・・。他にもあるだろうけど、パッと思いつくのはこの辺りかな。まず、商売を始めるにしても元手はないし売る物もないから無理でしょー。芸はちょっと・・・。兵士は追われている身でやるとバレたら突き出されるだろうしね。雇ってもらうしかないね」


「でも、雇ってくれるの?身元不明の人間なんて・・・」


「難しいだろうねー。う~ん......自由組合を探してみる?あるのかな」


「自由組合?なにかな?」


「う~ん。説明が難しいな。なんでも屋さん?というよりは、なんでも屋さんの下請け?みたいな?」


 自由組合とは、いろんな仕事をするところらしい。魔物討伐、困りごと解決、依頼された物を採りに行く採取系。様々な仕事があるが、それらを自由組合に一度通してからすることで、責任であったり商売の資金などを肩代わりしてくれる。代わりに報酬の一部を持っていかれるそうだがそれは仕方のないことだろう。


「仲介屋って感じでいいと思うよ。自分達で仕事を取ってきて組合に通しさえすれば本当にどんな仕事でもできるからね。あ、悪いことは無理だろうけどね?」


「したくないよ。そんなの・・・」


「ほら、僕たち逃亡者だからね!」


「・・・たしかに!」


 犯罪者でした。逃げただけだから悪人とは呼ばないで欲しいけど....悪いことはしてないはずなのだ...。


「じゃあ、探しにいくとしようか!」


「はい」


 作戦会議終了。そんなわけで、お金交換の時と同じように聞きながら建物を探す。自由組合の場所は誰でも知っていることなのか。一人目で教えてもらえたので、あったことに安心しながらさっそく向かう。僕は存在自体知らなかったけどね。

 

 ガラードの建物とは少し違う。ストライト王国と似ている建物。今、比べてみると石ではないのだろう。ゴツゴツとしていない。断面はまっすぐで綺麗な建物を木の柱が支えている。扉は完全に中が見えない扉ではなく、上半分がない入り口を通って中に入る。


「すみません。二人新規で登録できますか」


「あら、珍しい。人間、しかも子供?かしら。できますよ。ちょっと待ってね」


 ガサゴソと机の下から羊皮紙を取り出して差し出す。


「これに必要な名前と年齢、種族。あとは、あなた達ができること得意なことを書いてくれると仕事で声をかけることもあるかもしれませんよ」


 丁寧な説明をしてくれる。白い耳が頭の上に高く伸びている獣人の受付さん。

 紙を受け取り記入する。得意なことはどうしようかな。特異を書くとまずいかも知れない。攻撃魔法、原初魔法。っと書いておく。ちなみに回復魔法は使えない。怪我をわざわざしたくなくて遠回りしていた。いつかは覚えようとしていたのが逃亡生活になったのだから。うん。仕方ない。


 横のネルを盗み見て言う。


「なんて書くの?」


「正直に書こうかな。攻撃魔法、回復魔法、原初魔法っと」


 それをそのまま、受付の獣人に渡す。


「え.....?あなた達・・・優秀なんですね?」


 人間は攻撃魔法を使える。だが、原初魔法はかなり難しいと聞いている。それらを使える子供ときた。真実かどうか怪しさもある。わざわざ確認するようなことはしないが・・・嘘ならいずれバレて組合からの信頼を失い仕事はなくなってしまうからだ。

 そもそも、得意なこととは、剣術や弓が得意。偵察などが得意、植物の知識がある。そういったことを書くのが普通だ。

 別の種族の登録は初めてなので人間は魔法を書くのが普通なのだと思っておく。

 

「はい。確認しました。こちらを」


 そういって差し出してくるのはDと書かれた鉄の首飾り。


「替えの聞くものですので失くしても構いませんが。無くさないようにお願いします。お二人はDランクの評価ですのでDと書いてあります。これから先、組合からの信頼や依頼の達成率などを鑑みて評価は上がります。是非とも一番上のランク。Sを目指していただけると嬉しく思います」


「ありがとうございます」


「いえいえ!何か困りごとがあればなんでも気軽に仰ってください」


 このランク制度が評価の基準らしい。上のランクだと仕事がたくさんくるのだろう。少し面白く感じる。


「わかりました。さっそくですが、なにか仕事はありませんか?」


「そうですねぇ・・・。こちらはいかがでしょうか」


 二枚の紙を受け取るがすぐさま断りを入れる。どちらも報酬が銀貨十枚と少しだったのだ。


「我儘を言ってすみません...もっと稼げるものはありませんか。お金が必要でして・・・」


「でしたら・・・」


 一枚の羊皮紙を受け取る。こう書かれている。

 街の裏路地から泣き声が毎日聞こえてくる。原因調査。報酬金貨二枚。


「なぜ、誰もやらないんだろう」


 僕の口から出た疑問に答えてくれる。


「それが、書かれてる場所に行ってもなにも聞こえないらしいですよ」


「え?」


 怖いよ・・・。





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