第八章 楽夜奪還作戦 1 いざ、ヒューリ城へ
私達は、大岩を出発してから一日足らずで、楽夜がいると考えられる場所、ヒューリ城の近くまで辿り着いた。最初は、一日半程かかると思うとオリクも言っていたけれど、楽夜を早く助けたいという思いからか、足が速まって、結果、当初の予定よりもかなり早く、ヒューリ城の近くに着けた。
さて、私達は、今、ヒューリ城の近くの茂みに隠れて、周囲の様子を窺っているの。特にヒューリ城の方から何か気配は感じないけれど……。と、ここでオリクが特技を発揮する。
「ヒューリ城の中……中心部に近い所から、戦いの気配がする。」
「もしかして、楽夜と誰かが戦っているのかしら?」
「そこまで詳しくは分からないけれど……ん? 血の気配がする……それも、大量に出血して……戦闘が終わったみたい。」
オリクは、大量に血が出ていると言っていたけれど、楽夜のものではない事を祈るわ。
さて、私の周りの様子だけれど、今、周りは、虫型の魔物が徘徊していて、迂闊には動けない状況になっているの。何せ、一匹が私達の存在に気づけば、他の個体にも気づかれてしまって、大規模な戦いに発展する事は免れず、さらに、クロム達に気づかれてしまったら、楽夜の救出という目標の達成が絶望的なものになってしまう。だから、ヒューリ城に入るのにも、頃合いを見なければいけないの。けれど、よく考えてみれば、最悪でも、クロムに気づかれたとしても、クロム達を倒せば、楽夜を倒すことができるかもしれない。なら、ここでチャンスを待って時間だけが過ぎていくよりは、いっそ、ヒューリ城に飛び込んで、クロム達を倒してしまう方が良いのかも知れないわね。
「オリク、ヒューリ城へ乗り込むわよ。今、ここで隙を待っていても、何も変わらないわ。」
「それは分かってる。でも、あくまでも、私は、確実性の高い方を……」
「俺もエミルの案に賛成するぜ。」
そう私の案に賛成したのは、レックスだ。
「レックス、ヒューリ城へと乗り込んだ場合の危険を分かって言っている?」
オリクが、そう怒り気味に言う。自分の言っている事が分かってもらえないのに苛立ったのかもしれないわね。
「ああ。だが、ここでずっと待つよりは、ヒューリ城へ乗り込んで、城の内部から動かす方が早く終わるだろ? それに、楽夜を拐ったクロムやクロームや、そいつらを動かしているグレンを倒せば、もう同じ事が起こる心配も無くなるだろ?」
「それはその通りだけど……」
「俺もエミル達の案に乗るぜ。楽夜を拐ったやつらは、俺が一矢に射殺してやるぜ!」
「……分かった。私も、前衛として、出来る限りのサポートをする。さあ、行きましょう。」
オリクはそう言うと、銃を構える。それを見て、私も、ハンマーを構える。
私は、先陣を切って茂みから飛び出す。そして、それに驚いて一瞬動きが止まった魔物に向かって、ハンマーを振るう。私のハンマーの餌食となった魔物は、遠くの方へと飛んで行く。その間に、オリクは、銃を乱射し、虫型の魔物を次々に倒していく。と、ヒューリ城の扉への道が開けた。
「オリク、シュート、レックス、行くわよ!」
私はそう言い、オリク達と共に、ヒューリ城へと向かって走り出す。後ろから、たくさんの魔物達が追いかけてくるけれど、魔物達のスピードは、私達の走るスピードに大きく劣るものだったので、何ら問題は無い。
私達は、ヒューリ城の中に飛び込み、そのまま走り続ける。と、前に見える壁から生えてきた機械が目に入り、私は、足を止める。
「これは……少し手強そうね。」
私はそう呟いた。
こんにちは、子りっくです。さて、突然ですが、今日が何の日か分かるでしょうか。
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では、正解を発表します。今日は、私の、小説家になろう投稿一周年の日です。ここまでこれたのは、読者様方のお陰だと思っております。ここまで読み進めて頂いて、ありがとうございます。
さて、ここまで読んでみてどうでしょうか。とても面白いと思っているけれど、評価をできていなかったり、感想などで気持ちを伝えていられなかったりする人、いると思います(いてくれたらありがたいな……)。そのような方、ぜひ、この節目の機会に評価や感想等していただけるとありがたいです。
今日、この節目の日に、短編小説を投稿させて頂きました。ぜひ、そちらの方も読んで頂けるとありがたいです。また、この後、活動報告を更新致します。応援コメント等頂けると嬉しいです。私がこの作品を書き始めた理由等書いていきたいと思います。
これからも、私と、私の作品をどうぞ宜しくお願い致します。




