第六章 襲撃者達 4 作戦会議
「仲間内で戦ってどうするの!?」
エミルは、二人に向かってそう言う。
「そう言われても……」
「じゃあ、どうやって決めれば良いんだよ?」
そうシュートが訊くと、エミルは、こう答えた。
「じゃあ、じゃんけんで決めましょう!」
「じゃんけん?」
「何だそれ?」
どうやら、二人とも、じゃんけんについての知識は無いようだ。エミルは、そんな二人に、じゃんけんについて教え始めた。
・
・
・
「なるほど。3つの手があり、それぞれ出した手同士に相克関係があり、その相克によって、勝敗を決める、一種の勝負、か。」
「同じ手が出たら、やり直し、か。面白そうだな。よし、ジョン! 俺とじゃんけんで勝負だ!」
「ああ! 受けて立つ!」
こうして、この世界での初めてのじゃんけん勝負が始まるのだった。
・・・・・・・・・
「よし、行くぞ!」
そうシュートが宣言し、それぞれ、拳を固める。そして……
「最初はグー、じゃんけんポン!」
そう二人で声を合わせ、それぞれが選択した手を出す。ガッチリと握り締められた拳を突き出したジョンの目が、大きく見開かれた。
「よっしゃ!」
そう叫んだシュートの手は、大きく開かれていた。
「ジョンがグーで、シュートがパーだから、シュートの勝ちね!」
そうエミルが宣言した。シュートは喜んだ様子を見せ、ジョンは、悔しがった様子を表情に見せた。が、ジョンは、シュートに近寄り、
「今回は俺の負けだな。楽夜の事、頼んだぞ。俺も、ここを守っておく。楽夜が帰ってきた時に、変える場所が無くなっていた、じゃ笑えないからな!」
そう言って、笑顔で手を出した。シュートは、その手を握り、
「ああ。楽夜は俺が救い出してやる。安心して待っておけ!」
と言い放つ。
こうして、最後の一人が、シュートに決まった。
「よし、じゃあ、エミル、オリク、レックス、シュートは、ヒューリ城へと潜入してくれ。そして、好機を見て、ヒューリ城へ攻め込み、楽夜を救出してくれ。俺とマジカル、ガードンは、ここを守る。エミル達、決して早まるなよ。楽夜を絶対に助け出してくれ。笑顔の楽夜に会える事、楽しみにしてるぞ!」
ジョンは、そう手を差し出した。その手を、エミルが握る。
「分かったわ。ジョン達も、迷宮の守護を頼むわ。絶対に楽夜を連れて帰ってくるわ。さあ、オリク達、行きましょ!」
そうエミルが言い、エミル達は、守護部屋から出ていく。
こうして、エミル達の、楽夜救出の旅が始まるのだった。
ちなみに、この勝負をきっかけに、この世界では、じゃんけんが一大ブームとなる日が来るのだが、それはまた、別のお話なのだった。
クロムとクロームに拐われた楽夜。その楽夜の救出に、エミル達が立ち上がる! 果たして、エミル達は、楽夜の救出を成功させる事ができるのか!?
次回、第七章、スタート! お楽しみに!




