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第六章 襲撃者達 4 作戦会議

 ヒューリ城への攻め込み方が決まった後、間を置かずに、攻め込む時の人選についての話し合いが始まった。


「次は、誰がヒューリ城へ向かい、誰がこの守護部屋を守るかを決めるぞ。まず、エミルは、ヒューリ城へ向かうって事で良いな?」

「ええ。クロム達とも決着をつけたいし、何より、少しでも早く、楽夜を助け出したいから、私は行くわ。」

「分かった。じゃあ、ここから、他の三人を誰にするかを決めていこうと思う。残りの三人の役割は、主に、案内、防御、回復だ。で、まず、案内だが、誰か、適任なやつはいるか?」


 そうジョンが訊くと、真っ先に、オリクが手を挙げた。


「私が行く。私は、ヒューリ城の地形については、この中の誰よりも詳しい。多分、その二人の少女よりも詳しいはず。」

「それは、すごい自信だな。その自信は、どこからやって来るんだ?」


 ジョンがそう訊いた事で、オリクの知られざる過去が明かされる事となる。


「私は、昔、ヒューリ城にいた。つい数週間前まで、ヒューリ城の主に従っていた。私は、諜報員の役を買われて、ヒューリ城に連れていかれていた。ある日、私は、五大魔物支配国の調査を命じられた。勿論、そんな任務、成功させられる訳が無かった。でも、雇い主である、ヒューリ城の主に逆らえるはずも無い。私は、調査へと出向いた。けれど、潜入に失敗し、私は、ニャロニードと戦う事になった。私は、その戦いで敗北し、ヒューリ城の主――グレンの支配から、そして、ニャロニードの攻撃から逃れる為に、逃亡してきた。私は、戦いの雰囲気に敏感だったから、エミルとニャロニードの戦いにも、すぐに気づくことが出来た。そして、この大岩の中に入った途端、グレンの支配が解けた。それで、今は、エミル達と一緒に戦っている訳。」

「なるほど。だから、ヒューリ国や、ヒューリ城の内部の構造にも詳しいのか。ところで、エミルと共に行動するという事は、その因縁の場所に行って、因縁の相手とも戦う可能性もあるという事だが、大丈夫なのか?」

「勿論。グレンとの因縁に、必ず決着をつける。」


 とオリクは張り切った様子を見せた。


「よし、じゃあ、残りの二人も、このように決めようと思うんだが、オリクが、案内と防御の両方の役目をこなせるので、防御枠は無くそうと思う。まずは、回復からだ。回復ができるのは、マジカルとレックスだが、どっちが行くか、二人で話し合って決めてくれ。」


 ジョンがそう言うと、マジカルとレックスは、どちらが適任か、話し合いを始める。


「レックスは、回復専門だから、それだけに、回復には重点を置けるんだよね。」

「だな。それに、回復ヒール力やエネルギー量の値で見ても、俺の方が上だよな。じゃあ、俺が行くって事で良いのか?」

「勿論! 楽夜の事。任せたよ。頑張ってきてね!」

「ああ!」


 マジカルとレックスは、そう話し合い、それから、


「ヒューリ城には、俺が行く。楽夜、絶対に助けてやるぜ!」


 とジョンに報告する。


「分かった。じゃあ、エミル、オリク、レックスに加えて、追加で一名、誰が行くかを決めたいと思う。誰か、立候補する者はいるか?」


 そうジョンが訊くと、シュートとジョン自身が手を挙げた。


「俺達の雇い主が拐われたとなったら、下に付く傭兵が駆けつけない訳にはいかないだろう? ここは、俺が行く。ジョン、それで良いだろう?」

「いや、俺も、楽夜に召喚された身だ。楽夜を助けたいという思いは、シュートと何ら変わりない。さて、どうするか。」

「ここは、真剣勝負で――」


 と、ジョンとシュートの周りが険悪ムードになった、その時だった。


「スト――ップ!」


 と叫び、二人の間に割り込んだのは、エミルだった。

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